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18 実朝元服

 十月八日 風のない穏やかな秋日和だ。

 いぬの刻(午前八時頃)北条名越邸で十二才の千幡(実朝)の元服の式が執り行われた。中原広元、(最高文官五十五才)小山朝政おやまともまさ(頼朝旗揚げより従軍、五十才)、安達景盛(かげもり)(広元に次ぐ文官、流人であった頼朝の頃からの家来、盛長もりながの長男、49才)、和田義盛(頼朝旗揚げから家来、猛者として知られる五十六才、和田一族の長)、中条家長なかじょういえなが(転戦し、強兵で知られる、38才)、を始めとした御家人百人あまりが座に着いている。

 千幡は、まだ少年の身体つきながら、凛々しく上座に座っている。髪の事は義時、加冠の事(冠をつける係)は平賀義信ひらがよしのぶ(源氏の古老、平家と戦った平治の乱の頃からの古い家来、筆頭御家人、60才)が受け持った。

 休みどころでの食事は北条泰時(やすとき)(義時の息子)江間親広(義時の娘婿)が担当した。

 

 十月九日

 うまの刻(昼)、に千幡あらため実朝は名越邸から輿で、御所に向かった。

 鎌倉幕府の御所は鶴岡八幡宮から三浦半島の東海岸に抜ける金沢街道の道筋、十町(約1キロ㍍)に満たない距離に建てられている。方形の敷地の海方向が正門の南門だ。実朝の隊列は、その南門から入って行った。

 昼過ぎより政所始めが行われる。義時と広元が政所の建物の執務室に着座して、政所執事の二階堂行光が、めでたい文書を書いた。

 その文書を時政が受け取り、御簾を下げた政所、将軍の座にいる実朝に手渡した。実朝将軍は、その文書に眼を通すのである。

 その後、時政が執務室に戻ると、御家人等が座している料理が用意されている別室の会場に一同は足を運ぶ。実朝将軍も入ってきたのを見届けると、広元は大きな声で告げる。

「これより、将軍、兜始めの義、取りおこないます。御家人各位、ご照覧願います。」

 実朝は時政らの助けで甲冑を身につけた。少年のための甲冑とはいえ鉄板を各所に縫い込んだ甲冑はずしりと重い。実朝は力が弱い方だから辛い。

 それでも甲冑を身につけた実朝は初々しい。わき起こるように、居座る武将達の中から拍手と歓声が巻き起こった。









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