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15 北条内の歪み

 9月15日 突然、朝方に千幡の乳母、安房の局が時政邸から大蔵御所内の政子邸にやって来てこう言った。

「お姉様、それが良いと若君が時政邸に移られましたが、よくよくまきの方(時政の後妻)の様子を見ると笑顔の中に害心が含まれていて、お守役として信頼できません。このままでは、きっとよくない事が起こると思われます」

 尼御台所(政子)はこの言葉に答えて言う。

「そうですか。私は孫の一幡が、比企との争いに際して亡くなった時から父と、父を裏で操っている義母のやり方に疑惑を持っておりました。牧の方は若君の命を狙っているかもしれません、すぐに千幡を迎えに行かせましょう」

 尼御台所は北条義時、三浦義村、結城朝光ゆうきともみつを呼び出して千幡を迎えに行かせた。

一刻のあと、五十騎にものぼる一団が北条時政の名越邸に荒々しく駆けつけた。門衛が何事かという顔をして一行を見上げると、いつもの顔見知りの上司の面々ではないか。

「いかがなされましたか?」と門衛が声をかけると、「千幡君をお迎え申せと、尼御台所の下知げち(命令)があった。若君を連れて帰る、すぐここにお連れしてくれ」と、一番年上の三浦義村が馬上から声を発した。

「それはまことですか」

「この面々を見て言う言葉か、千幡公を粗末に扱うという伝聞があったので、急遽ここにやってきたのだ、すぐお連れもうせ」

 北条時政は邸に不在だった。奥にいた牧の方は迎えに来た顔ぶれを聞いて事態のただならない事を感じて、千幡を連れて門まで出てきた。

 義時は、牧の方を無視して言う。「若君、尼御台所がお連れ申せと下知なされました。一緒に来てくだされ」

「母が呼んでいるのですか?時政おじいさまはご存じなのですか?」

「良いのです。お母様のご一存なのです」

 千幡は、こうして尼御台所邸に連れ戻された。夕刻戻ってきた時政は政子と義時がやったことを牧の方から知らされて激怒した。









 

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