表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/116

11 さぶろうもの

 こうした庶民を思う天皇の気持ちは、大和朝廷の正史である日本書紀・続日本紀にも度々書かれている。今日思われているほどには平安期の天皇家は執政をないがしろにしていたわけではない。源氏物語などが政務をとる天皇を描写していないから政治と朝廷は無縁のように思わせているのかもしれないが真剣なものであったと言い得る。しかしながら平安後期に至って陳腐化した相続と売官がはびこり、人々の苦悩を考えない代官と政治に情熱を持たない貴族が増大し、肥大する貴族達の贅沢は確実に人々を貧困な暮らしに引きずりおろさざるを得なかった。まさに積み重なる人々の不満こそは政権打倒の原動力なのだ。

 保元の天皇の座を巡る争いに際して、貴族の長い安眠が打ち破られる。それまでは政権の争奪は暗殺や流罪といった比較的、小さな闘争によって決着が着いていたが、この抗争に(さぶろうもの)が加わることによって騒乱は一層はげしいものとなった。ついに騒乱は貴族の手におえないほど大規模なものとなりはてる。こうなると政権を握る騒乱の中心勢力はもはや(さぶろうもの)達となった。殿中の警備役である(さぶろうもの)は皇族から席を臣下に落とされて、何代も経ったものたちだ。従来は殿中にいる者としてはとるに足らぬ低い、卑しい身分と血なまぐさい仕事の下働き立ちだが、気がついてみれば、この殿中の庭で雨の日も雪の日も微動すらせず侍している者達さぶろうものに日は燦々と当たり始めたのだ。(さぶろうもの)達のなかでもとりわけ源氏と平氏はその武力と経済力をもって、諸国に育ってきた武装開拓領主の利益を守る事ができた。それは平氏も源氏も筆頭の開拓領主でもあるからであった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ