表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
85/90

79話「続・渚の検証」

「謎解き社内イベント」の一件を収拾し、オフィスに平和が戻った。しかし、渚は今回の「未来予知謎解き」から、新たな仮説を立てていた。


「田中の『地球拳』は、過去や未来の情報を物理的に具現化する力がある。もし、その力を、斎藤さんの『宇宙拳』で制御できれば…!」


渚は、その仮説を検証するため、大胆な実験を計画した。それは、田中の能力を意図的に暴走させ、過去の情報を具現化させるというもの。渚は、田中と斎藤さんが席を外している隙に、田中のデスクの上に、彼の最も過去のトラウマである「小学生時代の通信簿」をそっと置いた。


田中がデスクに戻ってくると、そこには見覚えのある通信簿が。田中は、見るだけでゾッとするほどの低い評価が並ぶ通信簿に、顔を真っ青にする。


(うわぁ…懐かしいけど…見たくない…!)


田中は、目の前の通信簿に絶望する。そのもどかしさが、彼の心臓にずっしりと響き始めた。


「パードゥン


その瞬間、ドォォォォォン!と微かな地響きがオフィスを揺らし、田中はパードゥン田中へと変貌した。彼の巨大な体がオフィスを突き破り、ビルを突き抜けて青い空にそびえ立つ。


オフィス中の社員が悲鳴を上げ、混乱する中、パードゥン田中は、通信簿に巨大な指をそっと触れた!


「通信簿? とんでもない! 最高の過去を、今ここに!」


パードゥン田中が通信簿に触れると、オフィスはなぜか全自動で田中の小学生時代を再現し始め、社員たちは皆、小学生の姿になってしまった。しかも、その小学生の姿になった社員たちは、なぜか皆、田中の通信簿に書かれた内容通りの性格になり、授業中に居眠りをしたり、宿題を忘れたりし始めた。


しかし、その過去は過剰だった。小学生になった社員たちは、なぜか会社の備品で野球を始め、オフィス中を走り回って大騒ぎになった。


「田中くん! 何やってるの!」


異変に気づいた斎藤さんが駆けつけた。彼女はアクロバティックに、走り回る小学生たちを避け、パードゥン田中の巨大な指先へと飛び乗った。


「薫さんか! これもまた、過去の創造だ! 究極の過去を創造するのだ!」


「過去はいいけど、みんなを小学生にしちゃダメでしょ! 宇宙拳・因果律修正!」


斎藤さんはパードゥン田中の巨大な指の上で身を翻し、指先に向かって流れるような拳法の動きでエネルギーを集中させ、オフィスを元の状態に戻し、社員たちを元の姿に戻した。


田中の体が元のサイズに戻り、彼は自分が何をしていたのか覚えておらず、ただ斎藤さんの顔をきょとんと見つめていた。オフィスは元の状態に戻っている。


「ごめんなさい、薫さん…僕、また…」


「もう、いいの。でも、おかげでみんな、昔を思い出して楽しそうだったわね。」


斎藤さんは、そう言って優しく微笑んだ。


---


その頃、橘は、ジャングルの奥地にある村で、相変わらず「聖なる守護者」として崇められていた。彼は、今朝、村人たちから「聖なるお告げ」を告げられたばかりだ。


「聖なる守護者よ。神々(田中と斎藤さん)が、過去の世界を創造されたようだ。我々も、過去の文化を学ぶ必要があるだろう。」


橘は、村人たちが石器を使って火を起こそうとするのを見て、絶望に顔を歪ませた。


「うわあああああああ!やめろおおおおおおお!原始時代には戻れないんだあああああああ!」


彼の絶望の叫びは、今日もまた、遠い日本の空に届くことはなかった。橘の受難は、今日もまた、新たな局面を迎えるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ