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エピソードゼロ 3話「治癒の力と宇宙拳の導き」

高校生になった田中は、相変わらず気弱で、些細なことでも悩む日々を送っていた。しかし、彼の中に眠る「パードゥン田中」の力は、時折、彼自身も意図しない形で現れることがあった。


ある日、部活動中に友人が足を骨折した。痛みでうずくまる友人の姿を見て、田中は激しく動揺した。「僕がもっと早く気づいていれば…」と自責の念に駆られ、彼の感情が極限に達したその時、「パードゥン?」と口から漏れてしまった。


ドォォン!と轟音と共に、田中は再び「パードゥン田中」に変身。彼はうずくまる友人の傍に駆け寄ると、思わずその骨折した足に触れてしまった。すると、信じられないことが起こった。友人の足に走っていた激痛が引き、彼が「あれ…? 痛みが引いた…?」と驚きの声を上げたのだ。病院で診察を受けた結果、骨折は奇跡的に自然治癒していると診断された。


この出来事を斎藤に話すと、彼女は深く頷いた。


「やっぱり…田中くんの力は、破壊だけじゃない。宇宙の生命エネルギーは、破壊と創造、そして再生の力も持っているから。田中くんの体が過剰にそのエネルギーを生み出す時、それが周りのものの乱れを正そうとするのよ」


斎藤は、田中の力が、病気や故障の「乱れた状態」を「正常な状態」へと再構築する力を持っていることを確信した。彼の「生命エネルギーの過剰供給」は、まるで宇宙の治癒力そのものだったのだ。


「だから、私は田中くんの暴走を止められるんだ。宇宙拳は、その膨大なエネルギーを『調和』させるための武術だから。田中くんの力が宇宙のエネルギーと繋がっているなら、私の宇宙拳もまた、田中くんの力を『あるべき姿』へと導けるはず」


斎藤は、田中の能力が持つ危険性と、同時に秘められた可能性を理解していた。彼女は、田中の力が「調和」を失い暴走すれば、破壊しかもたらさないことを知っていた。だからこそ、彼女は自らが宇宙拳で田中を導き、その力を良い方向へ使えるようにしようと心に決めた。それは、幼い頃に祖母から教わった「宇宙の調和」を守るという、彼女自身の使命でもあった。

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