16話「緊迫のシステムトラブル対応」
ある日の午後、突然会社の基幹システムがダウンした。全社員の業務がストップし、オフィス内はパニックに陥った。システム部の田中も、復旧作業に追われるが、焦るばかりで何も手につかない。
「田中! 何とかしろ! このままだと会社の損害が莫大になるぞ!」
上司である情報システム部長の怒声が響き渡る。田中の額に脂汗が滲む。
「パードゥン?」
その瞬間、パチパチと静電気が走るような音と共に、田中は「パードゥン田中」へと変貌した。彼の巨体が、サーバー室の入り口を塞ぐ。
「トラブル? とんでもない! 全てのシステムを、瞬時に復旧させましょう!」
パードゥン田中は、サーバーラックの扉をこじ開け、無数のケーブルを光速で抜き差しし始めた。彼の指先が触れるだけで、複雑なエラーコードが瞬時に解読され、システムが修復されていく。彼は一度に20台のモニターを操り、まるでハッカーのように高速でコマンドを打ち込み、ダウンしたシステムをわずか数分で完全に復旧させた。しかも、以前よりも高速で安定した状態になっていた。
「すごい…! 一体どうやったんだ…!?」
「でも、サーバー室がめちゃくちゃに…!」
その最中、パードゥン田中がサーバーの配線をいじる際に放った微細な電流で、なぜか社員たちのスマートフォンが全てフル充電されていた。
「田中くん! サーバー室を破壊しないで!」
斎藤さんが、田中の暴走を止めるべくサーバー室へと駆け込む。
「斎藤さんか! これもまた、究極の復旧作業だ! 未来を見据えたシステム強化だ!」
「強化と破壊は違うわ! 宇宙拳・情報の安定化!」
斎藤は、田中の手に触れ、その暴走で発生していた過剰なエネルギーを吸収し、サーバー室に乱れ飛んでいた電磁波を穏やかな波動へと変えていく。すると、田中の手によってめちゃくちゃになったサーバー室の配線が、まるで意志を持ったかのように、最も効率的で美しい形で自動的に整頓されていった。
田中の体が元のサイズに戻り、彼は自分がサーバー室で何をしたのか分からず、ただ呆然と斎藤を見つめていた。
「さ、斎藤さん…私、また…」
「まったく、ハラハラさせるんだから。でも、おかげでシステムは完全に復旧したし、むしろ以前より速くなったわね。しかも…」
斎藤は微笑んだ。そして、システム復旧後、田中がサーバーをいじったことで、長年原因不明だったネットワークの遅延問題が解決し、全社員のPCの動作が劇的に改善されていたことが判明した。システムトラブルは、まさかの「ITインフラ大改革」という、前代未聞の結末を迎えたのだった。




