13話「社内研修(チームビルディング合宿)」
部署間の連携強化を目指し、自然豊かな場所でのチームビルディング合宿が企画された。最初の課題は、与えられた材料で竹を組んで橋を作るというもの。普段から不器用な田中は、竹を割るにも一苦労し、チームの足を引っ張っていた。
「田中、お前、本当に役に立たないな! その細腕じゃ竹も割れないのか!」
チームリーダーである部長の苛立ちの声が響き渡る。田中の顔が真っ青になる。
「パードゥン?」
その瞬間、ドォン!と地響きが起こり、田中は「パードゥン田中」へと変貌した。彼の巨大な体が、合宿所のロッジを揺るがす。
「不器用? とんでもない! 完璧な橋を、今ここに!」
パードゥン田中は、与えられた竹を素手で軽々と割り、まるでレゴブロックを組み立てるかのように驚異的なスピードで橋を組み始めた。その橋は、芸術品のように美しく、かつ強固な構造で、どんな重さにも耐えられそうに見えた。しかし、調子に乗った田中は、橋の材料としてロッジの柱を引き抜き始め、建物の一部が傾きだした。
「田中くん! 何してるのよ! ロッジが崩れるわ!」
斎藤さんが、田中の暴走を止めるべく駆け寄る。
「斎藤さんか! これもまた、究極のチームビルディングだ! 我が橋は、あらゆる災害に耐えうる!」
「災害を起こしてるのはあなたよ! 宇宙拳・構造の調律!」
斎藤は、田中の手に触れ、その破壊的な力を巧妙に吸収し、崩れかかったロッジの柱に自らのエネルギーを注入した。すると、ロッジはギシギシと音を立てながらも、元通りに安定していく。同時に、田中が作った橋も、より宇宙の法則に則った完璧な強度と美しさを兼ね備える橋へと変化した。
田中の体が元のサイズに戻り、彼は自分がロッジを壊しかけていたことに気づき、青ざめた。
「さ、斎藤さん…私、また…」
「まったく、ハラハラさせるんだから。でも、おかげで最高の橋ができたわね。しかも、ロッジの歪みが直って、長年の雨漏りが止まったみたいよ」
斎藤は微笑んだ。チームビルディング合宿は、まさかのロッジ修繕という、予期せぬ成果と共に幕を閉じたのだった。
 




