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I'm a GOD'S CHILD

作者: 柳幽

神様がいました。

神様は数多のものに命を与えてきましたが、特に意味はありません。

一度神様の手に渡り、その手から離れたものは否応なく広がる闇の中に堕とされ、静かに命を宿します。

神様に捨てられることにより命は生まれるのです。



ある時、神様は澄み切った青いガラスのグラスを拾い上げました。


中にはなにも入っておらず器だけがただ青く輝いています。

光に当てると眩く輝きを増し、また闇に沈めると静かに深い青を魅せてきます。

神様もここまで美しいものを手にするのは初めてであり、ひと時目を奪われてしまいました。


しかし、グラスであり置き物ではないため、さすがにこのままずっと眺めてられる訳もなく少し飽き始めていた時。

何かを思い立ったように神様は闇の中に目を巡らせ、その中から鮮烈に輝く8つの命を掴み取りグラスの中に入れていきます。



「黄、薄緑、緑、水色、青、紫、赤、橙」



どれも神様が捨てる時の感情を写し出すように鮮やかに輝いていました。


神様はこの鮮烈に輝く命を入れることで、先ほど光に当てた時以上にこのグラスが美しく輝くと考えました。

しかし、グラスの中は8つの命が互いの輝きを消すように光を放ち、グラスの中に収まった時にはどす黒く腐敗したように澱み、8つの光は殺されてしまいました。グラスも眩く光を反射することも、静かに深い青も魅せることはありません。


途端に神様は期待とは違う変容と、気味の悪さから如何しようも無い嫌悪感に襲われグラスから手を離してします。

手から離れたグラスは闇の中へ何の抵抗も受けることなく、ただただ深くへと堕ちていきます。


闇の中に堕ちたそれは命を与えられたと同時に8つの命を離すまいと丸く形を変えていき、中に命を宿す球へと形を変えました。


閉じ込められた8つの命は行き場をなくし少しずつ球の中で一つになろうとしていました。

8つの命は重なり合い一つの命へと形を成していくと、どす黒く澱んでいた球も少しずつ本来の美しい鮮やかな青へと色が変わり始めました。

8つの命は重なり合い一つの命へと形を成すとそれは神様以外存在するはずのない意思ある命として青い球の中で生まれ変わりました。


しかし、8つの光は意思ある命の内側に輝きを秘めるようになり、その命自体は黒く澱んでいます。

青く輝く球の中、澱んだ命だけがそこにはあり、その命に映る球は同様に黒く澱み腐敗したように映ります。




未だに深い闇の中へと堕ち続けている命は上を見上げ、どす黒くも輝きながら言いました。


「I am a GOD’S CHILD]

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