09
どうしてこうなった……
現在、ニルシェ王都M区画中央商店街の大通りを、
イルレーシュさんとふたり、お手々繋いでお買い物中。
ってか、これってどっからどう見ても、おデート……
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眼鏡リーダーさんの講じた策は、
"イルレーシュさんはとっくにらぶらぶですから"作戦。
恋人とのらぶらぶお買い物デート姿をがっつり見せつけることによって、
ストーカーどもの心をバッキバキにへし折る、という情け無用の強硬策。
って、俺の心が先に折れちゃいそうですが……
「私とのお出かけ、楽しくありませんか」
いえいえ、めっそうもない。
とても楽しいですよ、俺は。
ただ、ここって普段はリルシェさんと買い物に来ている商店街なので、
馴染みの店員さんたちの視線が、責めているというか呆れているというか……
「事が済み次第、ショセ様の方からしっかりとフォローしていただけるとのことですし、今は作戦完遂を目指して頑張りましょうね」
ぎゅっ
えーと、そんなに強く握られると、
ただでさえ汗ばんでる俺の手がえらいことに……
「大丈夫ですよ」
「私の手も緊張で火照っておりますから」
「後ほどリルシェ様には責任を持ってご説明致しますので」
ぐいぐいっ
……チカラ強いっすね、イルレーシュさん。
流石はお屋敷メイド隊で一番のツワモノとの誉れも高い逸材。
ってか、明らかに俺なんかよりもお強いですし、
そもそもキュみみ会の護衛なんて全く必要無いのでは。
「いつだって、守ってほしいのが乙女心ですよ」
俺、いつだって守られっぱなしな気がする……