096 孤児院とお肉
「「「「シュークリームだーッ!!!」」」」
はいはい、沢山ありますからねー。
まず小さいお子さんからですよ?
「はぁーいッ!
ありがと! 魔女のおねえちゃん!!」
元気いっぱいですね、子供たち。
持ち込んだシュークリームの山にドンドン突撃してきます。
40人はいますかね。けっこう迫力ありますよ?
「ありがとうございます。
こんなに沢山の甘いモノは初めてです」
優しそうなシスターさんですね。
この孤児院の院長先生だそうです。
本物のシスターです。
シスター姿と言えばカーミラ様ですが、あのヒト本職は大吸血鬼ですからね。なんちゃってシスターなのです。
孤児院は教会の慈善施設らしいのですが。
予算が限られているそうでいつでもオナカいっぱい、ってワケにもいかないそうです。
この世界の宗教組織は基本質素なようです。
商売下手というか。
だからミライナさんも母校の危機?にひと肌脱ぐワケです。
「慈悲深き『ヒジカタ錬金堂』に女神のご加護あらんことを……。
え、ミライナちゃんも?
ええ? なんですかこの銀貨の山?
えッ、寄付!?」
さらに追加で、市場で大量に買い込んだお肉と野菜をポーチから引っぱり出します。
50人分の焼肉セットです。
これはミライナさんの手土産ですね。
院長先生が息を呑み、叫びました。
「みんなッ!
今日はお肉よッ!!
ホンモノのお肉よッ!!!」
「「「「わーッ!!
お肉ッ!!お肉ッ!!お肉ッ!!
ホンモノのお肉ッ!!!」」」」
皆さん大興奮です。
院長先生までガッツポーズで雄叫び上げてます。
ところでホンモノじゃない肉ってなんなんでしょうね?
「エリンギ炒めて焼肉のタレつけるとそれっぽくなるので」
ミライナさんの説明です。
ほほう。今度マスターで試してみましょう。
しかし、ここまで喜んでくれると手土産のしがいがあるというか。
「……わたし、頑張って働くので次もお願いしますね!」
メチャクチャ気合い入ってます。ミライナさん。
「こちらこそ。錬金堂の未来はミライナさんにかかってますよ?」
これは本当です。
マスターが予定通り『錬金術師』になれたとしても、生産ばっかりやってるワケにもいかないですからね。
いちおう冒険者で。
少なくともログアウト中の錬金堂はわたし達が回すのです。
「これからも、はりきっていきましょう。
当然、シロもですよ?」
「はいッ!!」
「わうッ!!」
いいお返事です。
ヒジカタ錬金堂の未来は明るいですね。
あれから孤児院で焼肉パーティに突入。
わたし達もチャッカリご相伴に預かりました。
超楽しかったです。
40人以上の子供達と仁義なき焼肉大会。
生存競争の厳しさを思い知らされましたね。
戦果? 惨敗ですよ。
シロは勝負を避けて肉をおねだりする作戦に移ってました。
多大な戦果を上げたようです。賢すぎます。
ミライナさんはあのまま孤児院に残りました。
お泊まりするそうです。
里心って言うんですか?
院長先生や後輩の皆さんと一緒に寝るそうです。
嬉しそうでしたね。
家に帰ってきた、って感じでした。
ちょっと羨ましいですね。
家族とか、わたしはよく分からないので。
初めての食べ歩きの旅は、ジャンクフードに始まりラーメンを経由し焼肉パーティに終わりました。
実り多き旅でした。
ちょっと食べ過ぎましたかね?
いきなりラーメンスープは厳しいですが、他のレシピはなんとか作れそうな気もします。
焼肉ならすぐにでも。
うん。家で焼肉大会、いいですね。
当然マスターも一緒に。楽しみです。




