080 時間は楽しく、義務は優しく
他にもイロイロ相談した。
所持金やアイテムについては全部イズミに任せることにした。
しっかり者だし商売スキルもある、きっと上手くやってくれるだろう。
「それから、あんまり根を詰めすぎないようにな。
息抜きも適当に入れる。
店も暇になったら早めに閉めちゃっていいし」
「わかりましたが。商売としてそれはどうなんでしょう?」
いいのだ。
ゲームなんだから時間は楽しく使えばいい。
それに客が来たとしても目当ては日産10本だけのマナポーション。
売り切れたら本日営業終了でもいいのだ。
それで経費は確保できる計算だ。
今のトコこれくらいかな。
想定外のトラブルは無理に解決しなくていい。
次に俺がログインしてから対応すればいいし。
しかし、ずいぶん話し込んでしまったな。
もうじき日が変わるぞ。
「いけませんね。
急いですませてしまいましょう」
イズミがシャツの裾をめくって脱ぎ始める。
ちょっとお嬢さん!?
「おいッ、ちょっとッ!?」
「ちゃんと着てますよ? 期待しましたか?」
薄いタンクトップ姿になったイズミが髪をかき上げた。
シャンプーの花みたいなイイ匂いが鼻をくすぐる。
う、なんか色っぽい。
「さ、マスター。優しくしてくださいね?」
悪戯っぽく舌を出す。
ぐぐぐ、可愛いじゃないか。この。
腕の中にイズミの肢体が収まっている。柔らかくて熱い。
心臓のドキドキが止まらん。
『義務』が終わると、やはりイズミはぐったりと身を預けてきた。
弛緩した様子で目を閉じて余韻に浸っている。可愛いぞ。
俺たちの『義務』、吸われる側はかなり消耗するようなのだ。
直前までイズミが妙に挑発的なのは空元気なのかもしれないな。
年頃の女の子が男に首筋を噛まれるのは恐怖だろうし。
無防備な唇から寝息が洩れはじめた。
今日は狸寝入りじゃないみたいだな。
慎重に寝かせてシーツを肩まで掛ける。
けっこう厚手なので寒くはなかろう。
ご苦労さん。
ゆっくり休んでくれよ。
明日から忙しいのだから。
さて、こっちは工房で調合の続きだ。
傷薬だが、あと150包は作っておきたい。
売れないにしても在庫ぐらいないとな。
いちおう『錬金堂』を名乗るのだし。
まだ調合師だけどさ。
調合のペースは良い感じに上がっている。
スキルLVもだが、『調合師』にジョブチェンジしたことが大きいな。
調合作業の精度、スピードともにかなり向上しているのだ。
かなり大きな補正が入っている感じだ。
特殊なスキルが追加されたわけじゃないが、地味に有効なジョブなんじゃないのか?
就いてみて正解だったぜ。
しかし歯痒いな。
せっかくの新規オープンなのに出来ることがこれくらいしかない。
面倒ゴトを全部イズミに押しつけるカタチになってしまった。
すまん。なんか埋め合わせはするからさ。
ああ。
そういや貯水槽の水もかなり減ってしまってるハズだ。
蒸留水やら風呂やらでかなり使ってしまった。
ログアウト前に汲んどかないとな。
やれやれ。
時間が無いときほどやりたいコトが増えていく。
皮肉なもんだよ。
徹夜すれば調合と水汲みの時間ぐらいは作れる。
この2つはやっとかないと。
完徹してログアウトは初めてだが、まぁ大丈夫だと思う。
ここで徹夜してもリアルの自分は8時間たっぷり寝ている。
さらにこっちのアバターも、次のログインまで3日間寝たきりなのだ。
睡眠不足のペナルティが付くとは考えにくい。
心配は無用だ。
よーしッ。もうひと頑張りしますか!




