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錬金堂繁盛記 絵無し版  作者: 三津屋ケン
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597 共鳴スキルの実験

「「「「「『陣形盾!!』」」」」」


 巨大なGゴーレムの打ちおろしパンチを重装タンク組が跳ね返します。


「『レイ・ライン』!」 

「『レイ・ライン』!」

「『レイ・ライン』!」

「『レイ・ライン』!」

「『レイ・ライン』!」


 反動でよろけたところに魔法組の呪文が一斉発動。

 天へ次々放たれた光線呪文は、遙かGゴーレムの頭上で待機する金属鏡で反射。

 垂直下に反転して頭頂の弱点彫刻を雨あられと連続爆撃。


 Gゴーレムの動きはまるでスローモーション。

 弱点にダメージが入るたびに硬直するからです。


 このスキにタンク組が態勢を整えてます。

 足止めありがとうございます。


「「「「『レイ・ライン』!」」」」


 プー子さん、ツー子さんに合わせてわたしと『影木霊』でわたしの姿を写したカゲリが呪文を輪唱。

 共鳴スキルを発動させます。


 同時に放たれた4筋の光線は金属鏡を目指す途上で共鳴、集束して1本の極太ビーム化。

 反射して頭頂に炸裂しました。


 グオォッ!?  


 呪文の雨に耐えていたGゴーレムもこれは効いたのかよろめきました。  

 共鳴レイ・ラインの威力増幅はかなり高効率のようです。


「よっしゃぁーッ!! 大ダメージッ!」

「!!~♪」


 『共鳴』スキルには数分クールタイムがあります。その待ち時間。

 プー子さんがカゲリとハイタッチしています。良い笑顔。


 カゲリはいま回復支援から一時離れて攻撃班に回っています。

 対Gゴーレムなら心配無用とのタンク組の進言です。


 巨大なGゴーレムといえども対単一敵ならかなりの高精度で完封できるそうです。

 警戒すべきは小さくとも数の暴力。


「4人共鳴はスゴイ威力ですね。

 この調子なら撃破も近い?」


「うん。そうかもしれないけど…」


 ツー子さんだけが妙に考え込んでます。心配事でも?



『おやおや、もったいなや。こんなものではなかろうに』

『そうかもしれんが黙ることだ。蛸坊主』

『おっとっと。口が滑った。運営に叱られよう』


 神サマ達の思念が聞こえました。

 なんですか? 思わせぶりな。


 ツー子さんが目を見開いています。あれ?


「もしかして、聞こえました?」


「……聞こえた。これが、神託?」


「あー、まぁそうですかね?

 カゲリの影手と鏡に宿っておられる二柱サマですよ?」


 向こうのプー子さんには聞こえてないようです。

 偶然じゃない?

 

「……やはり『共鳴』にはまだ先があるんだな?

 あの時の違和感は気のせいじゃなかった?」


 なにやらツー子さんの鼻息が荒いですよ? 


「神サマがわざわざ聞かせているのは理由があるはずですけど。

 心当たりがおありですか?」


 お話によると、以前『共鳴』にスキル不所持の魔法使いも相乗りできないか実験したことがあるとか。

 なんて研究熱心。


 セタガヤ姉妹の間に魔法使い1名を入れて、同じ攻撃呪文を同じタイミングで詠唱。

 ですが結果は失敗。

 セタガヤ姉妹の共鳴呪文と通常の呪文が別々に発動しただけでした。


 ただ、魔法使いは詠唱が引っ張られるような違和感を覚えたそうです。

 それが引っかかり何度もリトライしましたが結果は同じだったとか。


「だが『共鳴』の相乗りには手応えを感じていたんだ。

 4人共鳴の成功がそれだったのかとも思ったけど……」


 迷ってる様子です。

 実験したいんですね?

 ただ今はレイド戦の最中。


 特にわたし達魔法組は既にかなり自由にやらせてもらってます。

 この上に戦術を止めて実験をやらせて欲しい、とは言い辛いトコロです。


 くいくい。


 カゲリがツー子さんの服を引っ張っています。

 振り返った彼女の眼前に、グッと力強いサムズアップを突きつけました。


「か、カゲリちゃん、様……?」 


 おやおや、イイトコロを取られてしまいましたよ?


「『迷ったらフルスイング』が錬金堂の営業指針です。

 全面協力しますよ?」 


「やっちゃおうッ!

 魔法組全員で実験だッ!

 声かけてくるよッ!」


「♪♪~♪」


「みんな?

 ありがとう。……よし、やるぞぉッ!」


 女子4人、4つの拳骨ぶつけて気合注入。

 準備開始です。


 ちなみに男の子なシロはタンク組と前衛で奮闘中。

 お先に頑張ってます。


「じゃあ、わたしはタンク組に話を通しておきますね」


 結果が出るまで彼らの負担増は間違いありません。言葉を選ばないと。

 ただ成功すればさらなる火力アップが期待大。決して損ではないのです。

 そうそう。神サマのご神託を前面に出しましょう。ご威光お借りしますよ?


「点と点を結んだ線上ではダメだった。

 ……今は4人。4頂点からなる面上なら……? 

 4人で作った正方形の中に相乗りの魔法使いを入れて一緒に……?

 いや、先に『共鳴』発動してスキルの結界を構築してから呪文詠唱を……」


 タンク組の賛同を得て戻ると、ツー子さんが地面に顔を寄せゴリゴリ枯れ枝で図面を描いています。

 腰痛めますよ?

 ブツブツと独り言の合間にフフフと含み笑いが……。順調なようです。


 この間まで、魔法ってスキルポイントと交換で得た呪文を詠唱して完成だと思ってたんですけど。

 『共鳴』が登場したことで応用の幅がドカンと増えちゃったようです。

 困ったモノですよ? 楽しそうですけど。

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