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錬金堂繁盛記 絵無し版  作者: 三津屋ケン
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045 心配されてました

「さぞかしお楽しみだったようで、とてもようございました。

 しかし、少し遅すぎるんじゃございませんか。

 森番さんなんて、捜索に出る準備までしてくれていたのですよ?」


 心配されてたのは俺でした。


 日の暮れた森の入り口、拠点の門前にイズミは立っていた。出発時よりギロリと座ったジト目で。

 そりゃ単独で森の奥まで入って、夜になっても帰ってこなけりゃ騒ぎにもなる。


 すまない。心配かけた。だけど仕方ないんだ。

 まずボス戦になってしまったし、帰り道も夜エネミーが手強くて楽しくてつい相手しちゃったのだ。

 と、いうか、その。イズミさん?


「ごめんなさい。ご心配おかけしました」


 俺は深くアタマを下げた。

 心配してもらえるのは、とても尊いコトなのだ。理由があろうとなかろうと。


「分かって頂ければ結構です。

 まぁ、わたしも途中まではついていくべきでした。

 マスター、森に入るなりヤラれてましたし」


 げ、知ってたのか。開幕袋だたき。

 眷族ってそういうの分かるの?


「少しだけですけど。その後、順調そうなので放置しましたが」


 静かに怒る眷属サマをなだめつつ、俺たちは小屋に入った。ごめんな?




 拠点小屋の中はちょっとした宿屋のようだった。意外と広い。


「おう、にいさん無事戻ったか。遅いから心配したぞ」


 長椅子に腰かけてた森番さんがホッとした顔をしている。

 すみません。ご心配お掛けしました。

 大丈夫、ピンピンしてます。


「夜の森だ。迷ってるんじゃないかと思ったが、嬢ちゃんが夜は大丈夫と太鼓判押すもんでな。

 大したモノだ。いや、ヒトは見かけによらんな」


 森番さんから見れば、素人が一人でマンドラゴラ採りなんて不安の塊だったんだろう。

 タネを明かせないのが心苦しいな。


「今日はもう遅い。泊まっていくとイイ。

 飯は妻が用意している」


 おおっ、ありがたい申し出。

 お言葉に甘えさせて貰うことにした。ありがとうございます。

 マッシブ森番さん、いい人だ。


 俺たちも長椅子に腰掛けた。

 イズミがお茶を貰ってきてくれた。ありがとう。

 ふぅー。生き返るな。アンデッドだけど。


「それでマスター、ご首尾は?」

「ああ、バッチリだ。かなり多めに採取できた。それと」


 森番さんに聞いてみるか。ガーディアンのことだ。


 話を振ってみるとたいそう驚いている。

 これまでそんなの出たコトないらしい。

 職員さんも言ってなかったよな。


「御神木のコトは知っていたが……。

 まさか化身が出るとはな。どんな奴だった?」


 詳しく教えておいた。

 耐性の無い人間が遭遇したら全滅間違いなしだからな。

 あの絶叫はヒドイ。


「一度に10本も掘ったから、御神木が怒ったのかもしれませんねぇ」


 数を聞いて森番さんは呆れ顔だ。

 普段は捕まえた野獣に引っ張らせて1本ずつらしい。

 それだって月に3本も取れれば御の字だそうな。

 貴重品だな天然マンドラゴラ。そりゃ依頼も出るわ。


「錬金術組合とギルドが専属にほしがるぞ。にいさん、どうだ?」


 ありがたいお話ですけど、そればっかりてのも困るので。すみません。




 森番さんの奥さんが夕食を用意してくれた。ありがとうございます。


 小柄なヒトだな。ローブを目深に被ってて顔はよく見えない。

 かなり若い? 筋肉オヤジと並ぶとむしろ妹か娘みたいだ。


「おいしそう……」


 またイズミが感動している。

 お前、もう料理スキル取っちゃえよ。


 俺たちはテーブルで手料理を頂きながら今日の首尾を語り合った。

 ちなみに子犬は足下で骨付き肉をかじっている。幸せそうだ。


「こちらの採集はかなりの成果があがりました。森番さんがご指導してくれたので。

 野草採集の継続可能な作法もレクチャー頂きました」


 ああ、アレだな。俺も勉強になったよ。


「嬢ちゃんは飲み込みが早くて教え甲斐がある。

 それに『鑑定』もしてくれたからこちらもイロイロ助かった。お互い様だな」


 へぇ、スキルを明かしたのか。信用できそうなヒトだしな。


 ☆5の件は……。コレは危険だな。

 知ってしまったら無理するかもしれない。

 耐性無いヒトにガーディアンは死神そのものだ。


「にいさんもレアスキル持ちらしいが、ナニも言うことはないからな。

 冒険者が手の内を明かす必要は無いぞ。こっちも聞かん」


 人生の先輩らしく、俺の逡巡を読み取ってくれた。

 そう言ってもらえると助かります。

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