020 『支配される魔女』
決まり手はジャーマン・スープレックス・ホールドでした。
周囲にはまだ土煙が舞っている。けむい。
スティックの爆風攻撃と、それにカウンターで合わせた『空気投げ』の名残だ。
待ちスティックが地面に逆立ちしている。無残なや。
シルクハットがガッツリ地面に突き刺さっているのだが。どんな硬い帽子だ。
爆発の衝撃をすべて吸い取った『空気投げ』は、もの凄い威力で待ちスティックをKOした。
ジャーマンは和名を原爆固めとかいうらしいが、まさにそんな威力だった。
ドゴォン!と派手な土煙が上がったし。嫌な和名だけどね。
しかし強敵だったな。
とっさに『空気投げ』が発動しなかったらどうなってたコトやら。
怖いぜランダムポップ。
つーか、こんなのがウロウロしてるフィールドがどっかにあるってコトだよな。
気が重いぜ。相当遠くなんだろうけど。
だけど『怪力』発動中だったが『空気投げ』がよく仕事してくれたよ。
がっちりホールドしてたしな。爆発の勢いが強いが単純だったおかげもあるかもしれない。
「………『支配する杖』は仲間を呼んでいる」
!? いきなりアナウンスが流れた。
「『支配される魔女』が現れた!」
おお? 増えた?
新しく現れたエネミーは魔女らしい。
灰色の長髪に紫のドレス。
前髪に隠れて顔はよくわからない。
どこか作り物っぽい感じもするな。
魔女は逆立ち状態のスティックにスーッと滑るように近寄った。
そしてグイと地面から引っこ抜いた。
「『支配される魔女』は『支配する杖』を装備した。
なんと『杖に支配される魔女』にランクアップした!」
アップじゃねえだろ!
あくまでメインはスティックなんだな。
どうやらまだ続けるらしい。さすが高LVモンスター。
魔女は砲台かな。いかにも強力な魔法を使いそうだ。
まさかの連戦だ。気を引き締めろよ、俺。
「『杖に支配される魔女』は逃げだそうとしている」
逃げるんかい!?
逃げるために呼んだの? 可哀想だな魔女。
しかし逃がすか!
まだ経験値もドロップ品も貰ってないのだ。
さんざん痛い目に遭わしといて、それは通らん。
「しかしヒジカタは回り込んだ!」
自分で言いながら回り込む。
まさかコッチ側になる日がくるとは。
レアドロップ置いてけ!
「『杖に支配される魔女』は様子を見ている」