189 お土産にどうぞ
ドロップ品を見て俄然やる気が出てきた。
「よーし、頑張って狩りまくるぞ! 歩きシメジ!!」
「まずは山頂ですよ? マスター」
どこかで聞いたやりとりだな。まぁ、いいのだ。
ところでマツタケが☆2だ。
これも部位破壊ボーナスに違いない。
「この山って宝の山じゃないのか?」
「食材的にはそうですねぇ。
だけどシメジもマツタケも査定額は高くありませんよ?
鶏肉と同じく」
プレイヤー間でも高値なのは、レアな武器防具に加工できる素材だからな。
食材は見向きもされてないのだ。
もったいない。レア装備もいいけどさ。
「攻略組の皆さんも、『なんの魅力も無いダンジョン』て評価でしたし」
わかってないな。攻略組。
たしかに攻略には関係ないが。
「リアルでなかなか食えない高級食材を思う存分食える、って凄いコトだぞ。なにげに」
「サッチーさんもそんなコト言ってましたね」
あいつはコッチに食いに来てるだけだからな。100%それだ。
「それにだな、イズミ。
このシメジと松茸、お土産にいいと思うんだ。
カーミラさんと大将に」
イズミがポンと手を打った。
「それはとてもいい考えです。マスター」
「わうッ」
「だろ?」
ゲーム内のどんなレアアイテムも、あのヒト達にとってはあんまし意味がないと思う。
自称魔界の住人だし。
しかし美味しいものは別だ。
グルメは時空を超えるのだ。
「カーミラさん、重いツマミはつらがってただろ?
その点、シメジや松茸なら持ってこいだと思うんだよ」
「大将ならいくらでも美味しく出来ますよ? きっと」
ちょっと思いつくだけでも茶碗蒸しや酒蒸し。
俺たちの知らないレシピもきっとイロイロ持ってるハズだ。問題ない。
「これは忙しくなりそうですよ?
合宿も大事ですけどお土産も大事です」
そうなのだ。やっと見つけた喜んで貰えそうなモノなのだ。
「キノコもニワトリも、とにかくエンカウントしたエネミーはゼンブ部位破壊必須だ。
頼むぞ、イズミ」
「お任せあれ」
ジト目で腕まくりだ。頼もしいぞ。
『ロック・シュート』でトサカ。
『ファイア・ボール』で子キノコだ。
ガンガン破壊してくれよ?