173 先輩?
「遅いですよ、先輩?」
セーラー服の女子がベッドで横になっている。
俺の横に。
ビックリ起き上がった俺も、何故か学生服姿だ。
さっきまで通ってた学校と同じ。
俺が着てた学ランとクラスの女子が着てたセーラーだ。
あれ? ログインしたよな?
「どうしたんですか、先輩?」
俺はいま高一だから先輩呼びしてくれる女子などいない。
中学の時はいたけどさ。
「はやく『義務』を。優しくしてくださいね?」
「あ、あぁ」
『義務』をせがむからにはイズミなんだよな?
だけどいいのだろうか。
制服の女子をベッドに押し倒して。
「先輩。……セーラー服は、脱がしちゃイヤですよ?」
「……やられた。完敗だ」
くっ、ため息しか出ないぜ。
『義務』だけ済ませてログアウトした。
腕の中に残るのは制服の手触りとイズミの体温。
……あたたかい。
ここで制服をもってくるとは。
さっきまで学校だっただけに背徳感半端ない。
しかも最初の『義務』を思わせる消極仕様。
最後まで目を合わせず、恥ずかしげに押し黙ったままだった。
そんな態度で従順にされたら、説教なんかできないだろ!
それに、なんだよ『先輩』って⁉
お前、いつから俺の後輩になったんだよ⁉
なんという萌えるシチュエーションなのか。
いったい、どこでそんなの学習してくるのか。
そもそも制服のデザイン、どこから手に入れた?
底知れぬ情報収集能力。なんという眷族ちゃんなのか。
イズミ。恐ろしい子……。
「ふふふ。戦略の勝利です」
サッチーさんに服屋のカタログ見せておいてヨカッタ。
リアル制服とほぼ同じモノがあったのです。
昼、ミライナさんにスク水着せたトコで気付きました。
『露出面積の火力で押すよりも、いけない背徳感で絡め捕る方が強力かもしれない』コトに。
黒ビキニのわたしより、スク水ミライナさんの方がヤバイ感じがしましたからね。
その場で制服を男女揃えで購入しました。
学ランは吸血鬼セットに乗せればたちまち吸収&擬態。
寝ているアバターに着せて準備OK。
ただ、わたしの方が困りましたね。
セーラー服のスカートが思ったより短くて。
寝っ転がるとイロイロ見えてしまうのです。
恥ずかしかった……。
マスターはログインしてるワケで。
寝てるだけのアバターじゃないのです。
お願いしたら目をそらせてくれましたけどね。
まぁ、結果良ければ全てよしです。大勝利ですよ?