166 先生に質問
あー、エライ目に遭った。
イズミめ、ログインしたら覚えてろよ。
オトコの乳首をドリルみたくいじくり回すとは。正に鬼畜の所業。
乳首のドリル遊びすなッ。
5分くらいで止んだのがせめてもの救いだったな。
西崎の俺を見る目が冷えきっていたのが気になるけど。
狂乱の右乳首責めから立ち直り、俺は改めて勉学に集中した。
1、2時限目を無難にクリアーし、いま3時限目が終了した。
科目は情報処理だった。
担当は笹山先生。ちょっと枯れた感じのベテラン教師だ。
「先生、ちょっと相談乗ってもらっていいですか?」
授業を終え、職員室に戻ろうとしている笹山先生を捕まえた。
ちゃんとした大人の意見も聞いときたいのだ。
「どうした土方。今日の授業内容か?」
「いえ、別口の話で。例えばの話なんですけど」
相談とはあの件だ。グランドクエスト。
「カラの人間の肉体にAIをインストールしたら、そのAIは人間になれますかね?」
「いきなり突拍子も無い質問だな。
無理だ。
AIと人間の意識は根本的に違う。まったく異なるプログラム言語のようなものだ。
互換性は無い。
インストールしたとしても、そのAIが肉体を動かすコトはできないだろう」
「じゃあ、互換性を持つように変換してやればイケますか」
「理屈の上ではそうかもしれないが……。
それにはまず、人間の意識をプログラム言語化する必要がある。
これは大勢の学者が長年にわたって研究を続けているが、まったく成功してはいない」
うーむ。変換は難しそうだな。
カーミラさんにも相談してみるか。
「じゃあ、カラの肉体はどこで買えますか」
「人身売買は違法だぞ」
つまり、違法なトコなら買えるってことだな。
こっちはまだハードルが低いな。
「医療用のクローン培養でもひとり丸ごとは違法だ。国にもよるが」
「日本でも技術的には可能なんですね」
「……可能ではあるな」
ふむ。やりようはイロイロありそうだ。
「しかし、仮定とはいえ突飛な話だな。
……ひょっとして、『D&C』が関係してるのか?」
「はぁ。世話になってるNPCが人間になりたいと言い出しまして」
「ゲームの中の話だろう?」
「リアルもゲームのうちですよ」
先生が目を丸くしてるな。
心意気の話ですよ?
おっと、長話になってスミマセン。
ご助言ありがとうございました。
またヨロシクお願いします。