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錬金堂繁盛記 絵無し版  作者: 三津屋ケン
146/607

146 交渉


 俺は『紅蓮のサトウ』。

 攻略パーティ『フレイムクリムゾン』のリーダーだ。


 こういっちゃナンだが、プレイヤーの中じゃけっこう有名人だ。


 我が『フレイムクリムゾン』はガチの攻略組。

 特にダンジョン探索では1、2を争う実績をたたき出している。有力パーティなのだ。


「『マナポーション☆2』の受注生産を依頼したい。

 代金は標準の2倍出す」


 ダンジョン探索においてMP補給の重要性は言うまでも無い。

 魔法職のMP残量こそがパーティの継戦能力そのものと言ってもいいからだ。

 だからこそ忙しいさなか、リーダーの俺直々に調達に来ているのだ。

 断じて店員の可愛いメイドさん目当てではない。


「スミマセン。そういうのやってないんで」


 ヒジカタと名乗る白衣の店主はそうアッサリ断った。

 紫肌の可愛いメイドさんもそうだったな。

 お前らどんな関係だよ。


「攻略の手助けするのは生産職の義務だろう」

「そういうのやり出すと、『マナポーション』作るだけのゲームになっちゃいそうなんで。

 それは避けたいんですよ」

「ひょっとして、生産専門じゃないのか?

 店まで構えてるのに」

「そうなんです。

 だから受注生産や予約販売は今後もしない方針です」


 白衣の店主はそう言い切った。

 むむう。これは手強いな。

 

 錬金堂の店主は奇妙な男だった。

 まず服装が奇妙だ。白衣にマフラーとか、なんともチグハグだ。

 地味な生産者かと思えば、頬には意味不明のタトゥー。

 丸眼鏡の下からは怪しい眼光が洩れている。

 地味なのか派手なのか、やはりチグハグだ。怪しい。


『マナポーション』を作成してる生産職だから、ローブ姿の魔法使い系を想定してたのだがハズされてしまった。

 むしろ科学者系の見た目だ。


「ご期待に添えず申し訳ありません。

『マナポーション☆2』は明日から販売再開の予定です。またご利用ください」


 そう言って軽く頭を下げる。

 口調は柔らかだが、依頼を引き受けるつもりはないようだ。むう。


「ならせめて、今ここで売ってくれないか?」

「まだ準備中なもので。申し訳ありません」


 取りつくシマも無い。

 サービス精神とかないのかよ?


「わかった。じゃあ、明日またくる。

 だけどウチの依頼を断ったんだ。

 ヨソの連中にも同じ対応で頼む。

 俺たちは互いに競争相手なんだ。

 依怙贔屓は無しでお願いする」

「そういうコトなら。善処させて貰いますよ」


 そうとだけ答えて、柔らかく笑う。

 余裕かよッ。


 クソッ、結局なんの言質も取れなかった。完敗だ。

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