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錬金堂繁盛記 絵無し版  作者: 三津屋ケン
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138 生産は楽し

『薬草☆1』と『毒キノコ☆1』をいつも通りの超みじん切りだ。

 ……見られている。緊張するぜ。


「ムムム。マスターもかなりのモノですね。みじん切り」

「これぐらい細かくしないと『傷薬☆2』になってくれないんだよ」


 俺の技術がまだまだ低いというコトなんだろう。

 スキルのLVがアップしても楽にはならないんだよな。


「『手間を手間と思わなくなるのが上達だ』って大将がおっしゃってましたよ?」


 さすが大将。渋くてイイコト言うなぁ。


 どんなにスキルが上がっても、ハードルの高さ自体は変わらないってコトかな。

 爺サマも似たようなコト言ってたよ。


「わたしも『オムライス☆2』作れるようになりましたけど、楽になったとは感じませんね。

 面白くはなりましたけど」


 ああ、分かるような気がするよ。

 作ってるウチに工夫の余地が見えてくるというか。

 その結果がまた予想通りだとニヤリとしてしまうというか。


「工夫を繰り返してるウチにスキルLVが上がると嬉しいですよね」


 ああ、努力の積み重ねをちゃんとカウントしてくれてる気がするな。


「やればやるほど工夫の余地が見えてきます。

 生産って奥が深いです」


 イズミが真剣な目で包丁を刻んでいる。

 それでいて口元は楽しげだ。

  



 イズミと他愛なく話してるうちに超みじん切りは完了。

 次は刻んだこの素材を、薬研でペースト状に潰しつつ魔力を注ぐのだが。


「昨夜はゼンブ、ここで失敗したんだよなぁ」


 いかんな。苦手意識が芽生えつつあるぞ?


「まぁ、取りあえずやってみてくださいな。

 見ててあげますから」


 今日はイズミが先生だな。

 だけど『調合』わかるのか?


「わかった。妙なトコあったら教えてくれよ?」


 ゴーリゴリゴリ。薬研を回す。

 今回は失敗の原因を探る目的もあるからな。

 気が楽と言えば楽だ。リズミカルに回すぜ。

 できあがったペーストを包み紙に分ける。それを5包み。


「……ありゃ?」

「出来てるじゃないですか。『傷薬☆2』」


 イズミの言うとおりだ。『傷薬☆2』が5包完成した。




 なんでだ?

 特に変わったことはしてないしスキルLVも同じだ。


「気分じゃないですか?

 わたしとお話しできて嬉しかったんですよ」


 ナニサマだよ、イズミちゃん。

 ドヤ顔すぎてデコピンしたい。


「次はわたしのみじん切りをゴリゴリしてくださいな」


 刻んだ素材をまな板ごとよこしてきた。

 うむ。なかなかのみじん切り。


 同じ調子でゴーリゴリゴリやってみた。リズミカルに。


 完成。☆2カケル5だ。


「なんだ。簡単じゃないですか」


 いや、そんな簡単なハズはないんだけども。

 昨夜あれだけ重ねた失敗作の山はなんだったのか。納得いかんぞ。


「その失敗作がこの成功を生み出してくれたのですよ? 

 まさに失敗こそ成功のマザーなのですッ」


 ドヤ顔で宣言するイズミちゃん。

 だからあなたナニサマですか。


 うーむ。

 やっと薬研の扱いに慣れることができた、てコトなのか?


「もっとも、わたしの精神的貢献もかなりのモノですよ?」

「わかったわかった。

 お前様のおかげですよ。ありがとうございました」

「わかればいいのですよー♪」




 イズミが得意げだ。まぁ、コレは置いといて。


 『傷薬☆2』もメデタイが、イズミとのコンビ調合で同じ結果が出せたのがとてつもなく大きい。

 作業を分担できるので『調合』の作業効率が跳ね上がるのだ。

 おそらくなんでも分担できるワケでなく、前準備の部分だけだろうが。


「イズミ、もう一度やってみよう。

 ただし、今度は2セットずつで」

「薬草10枚と毒キノコ2本ですね。了解ですよ?」


 さっそく検証再開だ。


 乳鉢より大きい薬研はより多くの素材を扱える。

 一度に2倍3倍量の調合だってできるのだ。


 これも成功すればさらなる効率アップが狙える。攻めるぞ。


「あ。『料理』スキルがLVアップしましたよ?」


 なんと。たしかに包丁捌きは上達しそうだが。

 コンビ調合、お得だな。

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