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錬金堂繁盛記 絵無し版  作者: 三津屋ケン
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012 『吸血』スキル

 さて、あれからソロの敵限定でバトルを重ねた。


 セット練習とスキルLV上げが目的だ。

 昼間ステ1なのは、ほぼ種族特性だからどうにもならない。諦めた。

 磨くべきはまずスキルLV。

 それぞれのスキル効果を底上げすれば戦闘も楽になるはず。


 そして俺個人のプレイヤーズスキル。

『ハメ投げセット』の精度向上がメインだな。


 あと『回避』にも注目したい。

 敵の攻撃をいちいち大げさに避けていると、攻撃のチャンスが減ってしまう。

 紙一重でなるべく小さく。いずれは回避と攻撃が一体になる境地が理想だ。

 それにはひたすら練習あるのみ。

 反復練習こそが上達への一本道なのだ。

 亡くなった爺サマがよく言ってた。


 そして足下に倒れ伏す紫キノコ氏。

 なかなかの強敵であった。


 投げまくったけどね。


 ここまで、まだ試していないスキルがある。

 リストの上から『吸血』『暗視』『見切り』である。


『暗視』『見切り』は常時発動のパッシブスキルっぽいな。

『暗視』は夜も目が見える効果かな? 今は出番がなさそうだ。

『見切り』は戦闘になんらかの補助がありそうだな。

 LV1じゃ違いがわからんけど。いずれハッキリするだろう。


 というわけで今、試せそうなのは『吸血』だけなのだが。


 うーん。やっぱ噛みつかなきゃいかんか?

 正直、抵抗がある。

 まぁ、とりあえずお試しだな。


 ちょうどいい。

 向こうにソロのガジガジ草がウロウロしている。

 アレにしばしお相手していただこう。

 大丈夫、ちょっとだけだから。

 ちょっぴり献血してもらうようなモノだろう。多分。


 まず、投げセットで普通に戦う。多少は慣れてきたかな?


 そう思ってたら途中、ムチ攻撃をかわしそこねた。

 HPバーが半分になった。油断したぜ。

 だけどまぁ、良いタイミング、かな?


『影縛り』


 影の柔腕がガジガジ草を拘束する。

 今回はフトコロには入らず背後に回り込む。

 目の前には首筋?に相当しそうな部分の茎。

 ココでいいのか?


『吸血』


 スキル発動を意識すると口元に違和感が生じた。

 指で確かめてみると上側の歯が2本、長く伸びていた。

 左右の犬歯だな。これが鋭い牙になった。


 おお、吸血鬼っぽい。


『影縛り』の拘束時間は短い。急いで噛みつかないと。

 ガジガジ草のグリーンの首筋。見るからに硬くて苦そうだ。

 意を決して噛みついた。

 即席の『吸血牙』が表皮を貫く。


 口の中に苦く青臭い味が広がる。

 う、これ。青汁だよ……。

 ごっくん。頑張ってのみくだす。

 マズイッ、もう一杯ッ。


 HPバーとMPバーがググッと回復した。

 多くはないな。全体の2割くらいか。

 パキンと拘束が破れる音がした。

 あわてて離れて距離を取る。

 ここからは通常バトルだ。気を引き締めて。


 バトルを終えた。


 うん。一戦ごとにセットの微調整が進んでるな。

 こういうのってホント楽しい。やり甲斐がある。

 普段使いのPCをカスタムしてるみたいな?


 戦闘もかなりスムーズに進められるようになってきた。

 あくまで1対1限定だけどさ。


『吸血』スキルなんだが、充分頼りになるコトがわかった。

 回復、特にMP回復は貴重だ。

『影縛り』連発してるものだから消費が激しいのだ。

 さすがの『再生』スキルさんも守備範囲はHPのみだしな。

 骨折まで治しちゃうのは凄いけど。

 ただ、腕がくっついた時にはMPバーがガクンと減ったようだった。

 何事もタダではないということだな。


 今後は戦闘の中に『吸血』を必ず組み込むようにしよう。

 MP抜きでは俺のバトルは成立しないのだ。


 しかし味がなぁ。もうちょいナントカならんか?

 健康に良さそうな味ではあるんだけどさ。

 紫キノコにも試すべきだろうか。

 しかしムラサキだからなぁ。味は期待できなさそうだ。

 吸血って厳しい。


 その後。

 紫キノコはダシ汁のような味だった。

 干し椎茸から取ったような。

 甘口のうどんつゆみたいで、意外と美味かった。

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