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錬金堂繁盛記 絵無し版  作者: 三津屋ケン
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101 初戦と事情聴取

「よーし、さっそく行こうか」


 挨拶を済ませた俺たちは連れだって町を出た。

 向かうは予定通り『叫びの森』だ。


 お二人さんにはハードだろうが、ケアはキチンとするつもりだ。

 到着までにLVアップもさせてやろう。

 ミライナ先生じゃないが促成栽培だ。

 大したもんじゃないけどね。





「きゃーッなんか出たッ!? 花みたいなの出た!?」

「うわッ!? こっちもキノコッ、キノコきたッ!?」


 街道を行くなり出現した植物コンビ。

 体験版カップルは大騒ぎだ。

 うーん、初々しいね。

 そうだよな、最初はビックリだよなぁ。


「シロ、『雄叫び』だ。

 イズミは、にし…、いやサッチーのフォロー頼む」


 イズミがうなずく。

 久しぶりのバトルだ。魔法はナマってないか?


「『ワオーンッ!!』」


 返事代わりに雄叫び発動のシロ。さすが素早いね。

 よし、植物コンビの足が止まった。


「『ロック・ウォール』

 サッチーさん、距離取って!」

「『影縛り』

 トージョ、今のうち攻撃だ!」


 土の壁がガジガジ草を遮り、影乙女の柔腕が紫キノコを拘束する。よし、封じた。


「落ち着いて攻撃だ。大丈夫、いちばん弱い敵だから」

「サッチーさん。呪文唱えて、ロックオンしたら発動です!」


 これ以上は手出し無用だな。

 頑張れ、お嬢と執事。


「こ、この、くらえ!!」

「う、『ウインド・カッター』!?」


 トージョの鉄剣がキノコを吹っ飛ばし、サッチーの魔法がガジガジ草を切断した。おお、攻撃魔法強いな。


「トージョ追撃! それで倒せる!」

「おおお!!」


 大きく振りかぶりつつ疾走。

 ズバッ。鋭い斬撃がキノコを仕留めた。


「や、やったか!?」

「ふー、こわかったぁー」


 二人して一息ついている。

 ご苦労さん。なかなかやるじゃないか。

 よしよし。初戦は快勝だな。

 お、向こうから次の敵がくるな。いいぞ。練習だ。


「ありがとうイズミちゃん! フォローすっごい助かったわ!」

「いえいえ。助け合うのは当然です」


 サッチーがイズミに懐いている。

 指示が的確で具体的だからな。

 初心者にも安心のフォローだった。いい仕事だ。


「それに比べてヒジカタは適当だよな。イケとかビビルナとか」

「失敬な。前衛はそんなもんだよ。お前、ダメージ恐れすぎ」


 敵を引きつけるのも前衛の重要なお仕事だ。

 ダメージ覚悟でまずは突っ込む。

 無謀も戦術のうちなのだ。

 臆せずガンガン行けばイイ。

 傷薬もたんとあるしな。作り損ねた☆1だけど。


「お前自身はどうなんだよ。補助魔法ばかり使ってたけど」

「こう見えて俺は投げキャラなのだよ。もちろん前衛だな」

「その格好で? 生産職かと思ってたぞ」


 まぁ、実際半分くらいそうだけどな。


「お店を構えているので生産職といえばそうですね。

 職業もわたしが商人。マスターが調合師ですから」


 ? そう考えると半分どころじゃ無いな。完全に生産職か。


「土方くん、あなた……」

「土方、お前……」


 二人そろって妙な目つきで俺を見ている。ナンだよ?


「お前、イズミちゃんに『マスター』とか呼ばせてんのか!?」

「ご主人様って意味でしょ!? ヤダッ!? ヘンタイッ!!」


 そこかよ!?

 いや、それはだな。

 ちょ、ヤメテッ、汚物を見る目は!?





「ホント? ホントに土方くんに変なプレイ、強要されてるワケじゃないの?」

「はい。それどころか、マスターは『ご主人様』の呼称を拒否しました」


 容疑者である俺の弁解はすべて却下された。

 いま被害者イズミさんの状況説明が進められている。

 頼むぞイズミさん。俺の潔白を証明してくれ。




「なるほど。ヘンタイ紳士なら絶対食いつくエサなのに」

「ただ、このメイド服をわたしに与えたのはマスターです」

「土方くん?」


 イズミさん!? なぜそれをココで出す?

 容疑が増えちゃう!?


「ハダカ同然で転生したわたしに着せるため、なけなしの所持金をはたいて購入してくれたのです。大事な宝物です」

「ハダカって……。いったいどういう状況で仲間になったの?」

「それは秘密です。ですがわたしは感謝してますよ?」


 そうそう、その通り。

 エネミーだったイズミを、追いかけ回して吸血しまくった挙げ句にムリヤリ眷族にした。とかは絶対に秘密です。

 容疑が増える、というか罪状がグレードアップされてしまいそうだ。


「そもそもマスターはヘタレです。強要などあり得ません」

「たしかに……」

「それもそうねぇ……」


 イズミの供述によって、俺は不起訴を勝ち取った。

 が、なんだろう。この敗北感は。

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