表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
災厄たちのやさしい終末  作者: 2XO
1章 災厄の目覚め
4/163

3.初めての魔法

 階段を見つけて登った先には俺が目覚めた部屋に似た金属装置のある部屋に着いた。

 金属装置からは紫の光が柱状に帯びてる。ケトゥスの柱はこの紫の光のことだろう。

 俺たちが入って来た道の反対側にはまた別の道が奥へと続いている。


 まずはケトゥスが言っていた柱をチェックする。

 タブレットを光の柱にかざすとタブレットの液晶部分が光り柱の光が揺らめき始める。数秒ほどで柱の光はスイッチが切れたかのように光を失い、同時にタブレットは場違いな電子音を鳴らした。


 -ピコン-


【ステータスが一部解放されました】

【スキルツリーが解放されました】

【解析機能が解放されました】


 どうやら光の柱はタブレットの機能を解放してくれるらしい。

 さっそく解放されたというステータスを確認する。


-----------------

 名前:ラグナ

 種族:魔人

 LV:1/2【LIMIT】

 HP:4620/4650

 MP:352/352

 速度:96

-----------------


 名前と種族、HP、MP、速度が表示されるようになった。

 【LIMIT】っていうのはLV上限かな?1/2ということは、俺の今のLVは1、上限2?

 えー……最高LV2って低すぎない?

 でもさっき石を壊した時に上限が上がるって通知が来たからもしかしたら赤い石を集めて行けばLV上限が増えるかも。


 ところでHPとMPの差、いくらなんでも大きすぎない?

 10倍どころじゃない差がついてるけど。


 それから解放されたスキルツリーというやつもチェックだ。


-----------------

【スキルポイントを属性に振り分けられます】


 所持スキルポイント:1

 火属性LV0 Next:火魔法を修得

 水属性LV0 Next:水魔法を修得

 風属性LV0 Next:風魔法を修得

 地属性LV0 Next:地魔法を修得

-----------------


 どうやら4つの魔法を修得できるみたいだ。

 このスキルポイントってやつを属性LVに振ればいいのかな。

 適当にタブレットの文字に触れると表記が変わった。


【風属性は現在LV1です。風属性にスキルポイントを振りますか?】

【はい】

【いいえ】


 このタブレットでスキルポイントを振れるらしい。"いいえ"に触れると元の画面に戻った。

 好きな魔法を覚えられるようだ。

 何覚えようかな、カッコいい魔法はどれだろ!


「ヴァウ!」

「分かってるってゲッカ」


 さすがにカッコ良さそうという理由で即ポイントを使う真似はしないぞ、1しかないし。

 必要になった時に魔法を覚えよう。


「あと解析が解禁されたんだっけ?」


 タブレットの"解析"モードを選択してみるとタブレットにはたまたまタブレットを向けていた先にいたゲッカの姿と表記が映し出された。


-----------------

 名前:ゲッカ

 種族:荒野の幼狼

 LV:18

 HP:95/280

 MP:83/125

 速度:103

-----------------


「…なるほど、俺以外のステータスも見れるのか」

「ヴァフ!」


 ところで種族名に荒野って書いてあるけど、地底湖って本来の生息地とかなり外れてるよね?


「ゲッカはどうして湖にいたんだ?親は?」

「ヴフッ」


 ソッポ向かれた。聞かれたくないのかもしれない。

 少なくとも近くに親はいないようだ。


 自称天使達なりに俺の願いを叶えるためになんとか犬に近い生き物を、と狼であるゲッカを俺の近くにねじ込んで届けてくれたのかも。

 そう思うことにしよう、良ければ次はネコもお願いします。



 その後も解析を試してみたけど解析は物には作用しないようだ。

 俺とゲッカのステータスは分かったけれど比較対象がないから高いのか低いのかイマイチ分からないな、俺のHPは多分かなり高いと思うけど。



 さて確認も済ませたことだし。


「ゲッカ、戻ろう」

「ヴァ?」


 (きびす)をかえし、意気揚々と先ほどの地底湖へ向かうと不思議そうな顔をするもののゲッカは大人しくついて来る。


 ケトゥスと会った所まで戻れば先ほど倒したイカの脚がまだ転がっていた。

 でかいけど倒してから時間は経っていない。つまりまだ新鮮。


「ゲッカ、人はな火を得て文明を発展させたと言われてるんだ」

「ヴォウ?」


 火山や落雷で、もしくは石を叩き石器を作っている時。

 偶然にも人は火を知った。そして火で夜や獣、寒さを克服した。

 焼くことで硬い肉も食べられるようになり、鉄を作れば文明ができた。

 人の歴史に火は欠かせない。


 何が言いたいかと言うと。

 俺は火を使った料理が食べたい!


 必要になった時に魔法を覚えることにしよう、そう言ったな?

 必要な時は、今だ!!


「ヴァッフ!?」

「タブレットーーー!スキルポイントを火に振るぜ!!」


【火属性は現在LV1です。火属性にスキルポイントを振りますか?】

【はい】

【いいえ】


 迷わず"はい"を選択だ。


 ゲッカから抗議の声が聞こえる気がするが誰も俺を止められない!

 飯のために妥協はしないぜ!!


【火属性がLV1になりました】

災厄魔法(ディザスタースペル)・ "嘘つきの炎(ロプトフランマ)"を修得しました】


 俺の体にそれまでなかった力が入り込んでくる。

 教わらなくても見本を見なくともまるで初めから俺の一部だったかのように俺はこの炎の魔法の放ち方を理解した。

 何かタブレットに気になるワードが表示された気がしたけど早速使ってみよう。



 俺は今、焼きイカが食べたい!


 

 そう強く願えば胸の奥が熱くなる。

 燃えて燃え盛ってあふれ出る。自身が炎になったかのような感覚。

 昂っていくこの気持ちが、初めて魔法を使う高揚からくるのか魔法による効果なのか分からない。


 いける。魔法を、使う!


挿絵(By みてみん)


「いくぜ!"嘘つきの炎(ロプトフランマ)"!」

「ヴァウヴァウヴァウ!!!」





 轟音。







 地底湖は火の海になった。





「………いったい誰がこんなことを?」





 俺かな?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ