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災厄たちのやさしい終末  作者: 2XO
2章 犬とネコとの冒険
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19.サンドアングラー捕獲作戦

 目的地ロス・ガザトニアに到着してサンドアングラー目前にして腹ごしらえ中。腹が減っては戦はできぬって言うよね。


「いただきます」

「ヴァフヴァッ」


 ゲッカも食べる前に頭を下げるようになった。

 

「ほらクローバーも」

「なんですかそれ?」


 そんな気はしてたけど、いただきますとか言う習慣はないんだな。


「飯ってさ魔物なり植物なり命を食うだろ」

「そうですね」

「誰かの体の一部を食って生かされている、それに感謝して"いただきます"、食べ終わったら"ごちそうさま"て言うワケよ」

「はぁ」


 首をかしげている。


「ま、考え方だけでも知っておくといいさ」

「知識としては覚えておきます」


 それでも忘れられるよりは全然いい。




 魔物に挑む前にステータスを確認してみる。ゲッカのLVは45。出会った頃は20くらいだったから2週間ちょいでずいぶん成長した。


「そろそろ進化しないかな?」

「ヴァフッ!」

「俺とクローバーのLVは変わらずか……」


 何気なくクローバーに解析を向けると苦情が入った。


「……あの、断りもなくホイホイとステータス見るのマナー違反なんですよ」

「あ、ごめん。印象悪いかな?」

「解析って基本敵か不審に思っている人に対して行うので挑発や敵対の意思ありと見られることもそれなりにあります」


 言われてみれば確かに。人に対して使う時は気を付けよう。


「……と、休憩も終わった所でサンドアングラー捕獲について説明しましょうか」

「おう!」

「ヴァ!」


 クローバーによるとサンドアングラーとはは土の中に住み、発達したヒレでモグラのように土中を掻いて泳ぐ大型の魚。目は退化して明るさくらいしか判別できない代わりに音と振動に敏感な生き物だ。


「当初はゴルファフロッグの鳴き声でおびきるつもりでした」

「うんうん」

「作戦の流れは変わりません。ゴルファフロッグの代わりにラグナさんに振動を起こしてもららっておびき寄せます」

「地震でも起こせばいい?」


 この辺に大きな街とかなさそうだし、砂漠だから揺れてもそんなに大きな被害は無いだろう。


「山を崩すような地震なんて起こしたらサンドアングラーが逃げるのでダメです」

「アッハイ」

「それから沼の時みたいに地面割るのも勘弁してください。やりすぎなければ方法はお任せします」

「ヴァウヴァウ」


 うんうんと頷いてるゲッカはどっちの味方だ。

 ……なに、沼破壊はいくらなんでもありえない?いやそれは悪かったってば。


「地面を揺らすのは分かった。その後は?」

「サンドアングラーをおびき寄せたらラグナさんにはそのままサンドアングラーの餌になっていただきます」

「いやちょっと待って」


 何だその"何かおかしなこと言いました?"って顔は。

 これ俺が抗議するのおかしくないよな??


「だってラグナさんですよ?食べられたって平気でしょう?」

「お前俺の扱い雑じゃない?」

「雑なくらいがちょうどいいじゃないですか!山から落下しても無傷だし!リザードマンをデコピンで無双するし!殴ったボクが逆に怪我するし!」


 確かに。

 いや納得するところじゃないんだけど実際何してもほとんどダメージないんだよなこの体。囮として適任すぎる。


「まぁゲッカやクローバーを危険な目にあわせるわけにはいかないか、ひと肌脱ぐぜ!」

「それ以上脱がれると困るんですが」

「例えだよ例え!!」




 音と振動を出す、ね。歌でも歌ってみるか!



 作詞作曲:ラグナ


 荒野に来た俺達アングラー探しに没頭

 素材探す気分はギャンブラーまさに最高潮

 険しい日差しにはサングラス日焼けはよそう

 失敗しては半通夜 願う獲物の登場


「イエア」


 ヒップホップはいいぞ。

 本当はブレイクダンスとかしたかったけどほら、この腰布1枚、はいてない姿でブレイクダンスはさすがにないわって考えなくても分かるわけで。

 しかも観客に女の子いるわけで。いや男しかいなくてもやらないけど。

 などと考えていると胡乱な目でクローバーが見てくる。


「なんですかそれ」

「ヒップホップをご存じない!?」

「韻を踏んでるのは分かりましたがリズムがイマイチですね」


 ……。

 ゲッカちょっと軽くかじっておいてくれる?尻尾以外ね。


「うわたたた!待って、ごめんなさい!耳はやめてっ!ひゃあ!」

「ヴァウッ!ヴァウヴァフルルルルッ!!」


 やれやれ、弱点の多い娘だ。



 その時、土を掻きわけながら大きな何かが近付いて来る。あれがサンドアングラーか!

 ここまでは狙い通り!

 

「来たなアングラーちゃん!俺が餌だ、来い!」


 大きな口を開けたサンドアングラーが砂から飛び出した。

 俺ではなく、キャンキャン吠えながらクローバーを追いかけまわすゲッカの方に。


「えっ」

「あっ」



「……ヴァ?」


 呆けたゲッカの鳴き声と同時にばくん!!と大きな音と共にサンドアングラーの口が閉じられた。その口の中にゲッカを収めたまま。


「ゲ、ゲッカ――――!!!」


 ゲッカを食べたサンドアングラーは再び地面に潜りこみ、猛烈な速度で土の中に潜り込む。

 まずい、音と振動で呼ぶといったのにクローバーとゲッカに騒がせた俺のミスだ。


「大変だ、追いかけるぞクローバー!」


 足じゃ追いつけない。

 魔法を使おうかと思ったがどの魔法使ってもゲッカまで巻き込まれてしまう。


「何か投げるもの出してくれ!ロープとか!武器とか!」

「ちょ、ちょっと待ってくださいそんなすぐには……」 


 クローバーが慌てて収納魔法を漁っていると、突然サンドアングラーが動きを止めてもがきだした。


『ギャッ、ギャルゥウゥアア!』

「な、何ですか?!」


 口をもごもごさせながらのたうち回る。


「……ゲッカが腹の中から攻撃してるんだ!」


 地面から頭を出すサンドアングラーの口からは炎が洩れる。この分だと腹の中から口の中まで大火傷だな。目玉から煙を噴き上げながらサンドアングラーは息絶え、モゾモゾと口の中からゲッカが出てきた。


挿絵(By みてみん)


「ヴァウ!」

「ゲッカーーー!ごめんな俺のせいで!」


 幸い体の小さなゲッカはサンドアングラーに丸呑みされたため噛み傷とかはない。

 とにもかくも無事で良かった。ゲッカは尻尾を振って大物を捕らえた喜びを表している。


「まさかサンドアングラーを捕まえるとはな」

「ヴァウ!!」

「Bランクの危険な魔物なんですがあっという間でしたね」



 紆余曲折あったものの無事にサンドアングラーゲットだぜ!


 それにしてもサンドアングラーとにかくでかいな。

 全身売れるとはいえ、確かに収納魔法でもない限りこんなでかいの運べないわけだよ。


 ゲッカが内側から燃やしたものの、心臓といった目当ての器官には傷ひとつない。

 ……ゲッカは自分でぐずぐずにした目玉や脳を食べてるけどな。絵面がちょっと、なんというかいろいろアレ。


「ゲッカ、ちょっとくらい肉分けてやるからわざわざそんなとこ食べなくてもだな」


 いやでも魚の目玉には栄養あるって言うし明らかに食べ物ではないゴーレムのコアを食べるよりはいいかな?と思っていると突然ゲッカが震え出した。


「おわ、痙攣か!?クローバー来てくれ!」


 ゲッカの呼吸が荒くなり、筋肉が小刻みに震えだす。ふさふさの尾がぶわりと広がっていく。


「これ進化じゃないですか?」

「進化!?」


 そういえば魔物や一部の亜人は進化すると聞いた。


 とうとうゲッカが成長する時が来た。このかわいいモフモフがどうなるのだろう。

 俺の期待と心配をよそに、ゲッカの体が光り、徐々に大きくなっていく。

現在の3人のステータス。

-----------------

 名前:ラグナ

 種族:魔人

 LV:6/7[LIMIT]

 HP:4853/4853

 MP:40/365

 速度  97

-----------------

 名前:ゲッカ

 種族:荒野の幼狼

 LV:45

 HP:389/389

 MP:196/196

 速度:175

-----------------

 名前:クローバー

 種族:ケットシー

 LV:14

 HP:82/82

 MP:380/380

 速度:127

-----------------


◆ラグナのスキルツリーと修得スキル

-----------------

 所持スキルポイント:0

 火属性LV2 Next:火属性魔法の消費MPを軽減。

 ∟天属性LV1 Next:天属性魔法の消費MPを軽減。

 ∟爆発属性LV0 Next:魔法を修得。

 ∟光属性LV0 Next:魔法を修得。

 水属性LV1 Next:派生属性を解放。

 風属性LV0 Next:魔法を修得。

 地属性LV1 Next:派生属性を解放。

 ∟金属性LV0 Next:魔法を修得。

 ∟植物属性LV1 Next:植物属性魔法の消費MPを軽減。

 ∟創属性LV0 Next:魔法を修得。

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 修得スキル

 嘘つきの炎   火属性 MP330

 伏ろわぬ神の雨 天属性 MP345

 六夜の洪水   水属性 MP325

 天牛降臨    地属性 MP300

 世界樹の繁栄  植物属性 MP350

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