(続) 光里の恋愛奮闘記
その後の物語になります。
娘、光里の可愛い恋愛事情が書かれています。
ーー運命の恋って本当にあるんだ。
これは私のお母さんとお父さんの話。
お母さんは幼い頃から心臓が悪かったみたい。
そこでお母さんはお医者さんだったお父さんと運命的に出会う。
お父さんに一目惚れしたお母さんはお父さんにアタックしてお互い愛し合う様になって見事に結婚!
そう、私はその2人の間に産まれた娘、佐川光里11歳の小学5年生。
私の自慢のお母さんとお父さんです!
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ピリリ、ピリリ
「……うーん、もう朝?あぁ、起きたくないよー!」
普段から朝が苦手な私。だけど今日は特に嫌だ!
なぜなら今日は授業参観日。科目は嫌いな算数…。
もう憂鬱で仕方ない。
しかも、実は嫌な事がもう一つ。
授業参観の後、お母さんの友人の七海さんのご家族と一緒にファミレスでお食事の予定なんだけど…。
その息子の崇之君とは幼い頃からの知り合いで毎回会う度にいつも私に意地悪ばかりする。
崇之君は私より2つ歳上で今は13歳で中学1年生のはず。しかも会うのが2年振りになる。
何回も溜め息ばかりだ…。
「ちょっと、光里!起きなさい!何時だと思ってるの?!」
あぁー、いつもの日課が始まった。
「…起きてるよ!直ぐ行くー!」
私は季節が春だからとお母さんが用意してくれたワンピースに着替え、リュックサックを手に持ち、慌てて2階から階段を駆け下りていく。
「おはよう!お母さん、お父さん!」
「おはよう、光里」
「わぁ、私の好きなパンケーキだ!」
「さぁ、座って。早く食べましょう」
「はーい!」
食卓のテーブルを囲んで家族団欒の朝食を頂く。
今日は嫌な日だけど、ただ1つ嬉しい事もある。
それは今日の授業参観日にはお母さんだけじゃなくお父さんも来てくれる事だ。
「…今日は光里の授業参観楽しみにしてたんだ。いつもお母さんばっかりだったから」
「うん!私もお父さん来てくれるから凄く嬉しい!けどね…」
「うん?けど何?」
「…今日どうしても七海さん達と会わなきゃ駄目?私だけ1人先に家に帰ってたら駄目?」
「駄目!」
「えー、嫌!帰るー!」
「駄目って言ったら駄目!」
「はーい…」
駄々を捏ねたせいで私はお母さんを少し怒らせちゃったみたい…。
諦めるしかないか。
朝食を終えて、私は一足先に学校へ向かった。
授業参観は昼過ぎからだからお母さん達はまだ家でゆっくり寛ぐみたい、夫婦円満で…。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
授業参観の時間が迫るにつれて洋服タンスの前で光里の母、瑞希が考え込んでいた。
「うん、どうした、瑞希?」
「うーん、上に何を羽織ろうかなと思って。亮平、どれが良いと思う?」
「そうだな。春らしく淡い桜色のカーディガンが良いんじゃない?」
「うん、そうね。これにするわ」
「瑞希、そろそろ出よう。授業参観の時間に間に合わない」
「あっ、いけない!急がなきゃ!」
丁度、外は桜の花びらが満開に咲き誇っていた。
「綺麗ね」
「そうだな。…ほら手を出して」
「手?」
瑞希は手を差し出すと亮平は彼女の手を取り、ぎゅっと握る。
「…久し振りね、この感じ」
「あぁ。でも少し照れ臭いな」
2人は暫しの幸せな気分を味わっていた…。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
キンーコンーカンーコン
「はぁー、終わった。後は問題の算数だけ。それにしてもお母さん達まだかな?」
私は後ろを振り返ると、丁度お母さんとお父さんが仲良く教室に入ってきた瞬間だった。
私はそんな2人に手を振りながら、叫んだ。
「お母さん!お父さん!」
すると、お母さんとお父さんが笑顔で私に手を振り返してくれた。
やっぱり授業参観は2人一緒が良いな。
でもお父さんは仕事忙しいし毎回は無理だね。
そして算数の授業が始まった。
私は自分から進んで手を挙げ、苦手な問題を解いたりと大注目。
この日の為に猛勉強したんだもん。
私だってやれば出来る子!
無事、授業参観を終えると家族3人で待ち合わせのファミレスへと向かった。
私はお母さんとお父さんの真ん中に割り込み、2人の手を取り握った。
「お母さん、お父さん今日は光里頑張ったでしょ?」
「うん、うん。偉かったよ、光里」
「光里は僕に似て賢いな」
家族3人の束の間の幸せを満喫したのだった…。
ファミレスへ到着すると店内から手を振る七海さんの姿を見たお母さんは手を振り返していた。
そして私達は店内へと入った。
「七海、ごめん、お待たせ!」
「瑞希、久し振り!」
ソファー席に七海さん達と向かい合わせに座ると私の目の前には崇之君の姿が…。
あれ?でも以前と違って大人しいと言うか、何も言ってこない。
何で…?
「ねぇ、光里何する?取り敢えずドリンクバー頼もっか?」
「あっ、うん!」
私はドリンクバーを取りに席を立つと、崇之君も同じ様に席を立った。
「えっ?崇之君」
「僕もドリンクバー取りに行くんだよ」
「あっ、そっか」
私は崇之君と2人きりになった。
何か話さないと駄目だよね。
私は取り敢えず、コップにオレンジジュースを注いでいると、
「…光里ちゃんもオレンジジュース?僕もオレンジにしようと思ってたんだ」
「そうなんだ」
今なら話せそう。
私は勇気を振り絞って崇之君に疑問に思ってる事を聞いてみた。
「ねぇ、崇之君?今日は何で意地悪言わないの?」
「えっ?」
「だって、今までは私に会ったらいつも意地悪してたでしょ?だから今日はどうしたのかな?って」
「…うん、確かに光里ちゃんを傷付けたよね、ごめん。でも僕だってもう中学1年だし光里ちゃんを傷付ける様な事はしないよ」
「崇之君」
「だから、もう大丈夫」
「……うん!……崇之君、これからもたまには2人で会おうよ!」
「えっ?」
「私は会って崇之君と遊びたいし喋りたい!」
「光里ちゃん。…うん、僕も光里ちゃんと遊びたいし喋りたいよ!」
「ありがとう!」
「じゃ、光里ちゃん小指出して」
「えっ?小指?」
「指切りしよう」
私の小指と崇之君の小指が絡まる。そう、これが2人だけの指切りげんまんとなった。
そう、この時は子供だったから何気に交わした約束だったけど、これが私と崇之君の始まりだったのかもしれない…。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「…ちょっと、光里!まだ寝てるの?早く起きなさい!」
うーん、お母さんの声……?
あー、眠たい……。もう少し布団の中で寝たいよ……。
「光里、今日は崇之君と会うんでしょ!」
崇之君……?
ーーー?!
「あっ!やばい!寝過ごした?!」
私と崇之君はファミレスでの指切り以来、頻繁に遊びに出掛ける間柄になった。
って、言っても今日で会うのはまだ2回目だけどね。
この前、初めて出掛けた時はお昼にファーストフード食べて、2時間程、カラオケで歌ってその後はゲームセンターで遊んだっけ。今までの関係が嘘かの様に凄く楽しめた。
「早く準備しないと!」
私は行く用意を済ませ大急ぎで自宅を飛び出した!
少し早歩きで待ち合わせ場所の映画館前へとやってくると私は直ぐに崇之君の姿を見つけた。
「崇之君、お待たせ!待った?」
「大丈夫だよ。光里ちゃんが観たがってる映画まで少し時間あるし」
「良かった」
今日は私がリクエストしたラブコメ映画。
今から楽しみだ。
劇場へ入場する前に崇之君と一緒にコーラとポップコーンを購入。映画と言ったらこれが定番だ。
面白い映画は時間が経つのも早い。
私は暗い中、ふと崇之君の席に視線を向けた。
その瞬間、ばっちりと目が合ってしまった。
私は咄嗟に小声で、
「…お、面白いね」
「…あっ、うん」
何だろう。お互い子供なりに照れ臭くて私達は再びスクリーンに視線を向けた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
その頃、光里の母、瑞希の自宅には親友の七海がお邪魔していた。
「…本当に瑞希もすっかりお母さんね」
「それを言うなら七海もでしょ?貴方達には驚かされたわ。まさかあんなに早く結婚するなんてね」
「仕方ないわよ。同棲して半年ぐらいで妊娠しちゃったから。だから結婚を早めたんだし。本当なら結婚はもう少し先だったんだけど。でも、正哉も結婚を望んでくれてたし」
「だけど、以外だったわ。あの彼がちゃんと就職して七海と結婚までするなんて。正直、心配してたの」
「うん、ありがとう。でも大丈夫だったでしょ?」
「そうね」
「所で今日、崇之は光里ちゃんと出掛けてるみたいだけど、何処へ行くか聞いてる?」
「確か、映画に行くって聞いてるわ」
「そうなんだ。あの子、ただ光里ちゃんと出掛けるとだけしか言わなかったから」
「ふーん。でも相手は崇之君だし心配してないわよ?」
「私も光里ちゃんならと何も心配はしてないわ」
「もしかして、将来、結婚してたりして?!」
「本当にそうだったら凄いわね!」
冗談半分でその場は盛り上がっていた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
一方、映画を終えた私の目には笑いの涙が溜まっていた。
「はぁー、面白かった!」
「本当だね。光里ちゃん疲れてない?」
「ううん、全然。元気!……それよりこの後、どうする?」
「うーん、光里ちゃんは何処が良い?」
「私は崇之君と一緒なら何処でも楽しいから良いよ!」
「…光里ちゃん?」
「うん、何?」
「手、繋ごっか?」
「えっ?手?うん…」
その時、崇之君の暖かい手が私の手をぎゅっと握った。
「これで、はぐれないね」
「あっ、うん!」
嬉しい様な恥ずかしい様な微妙な雰囲気を小学生ながら感じていた。
「…あのね、崇之君?」
「うん、何?」
「私、中学は崇之君と同じ中学へ入学しようかなって考えてて崇之君はどうかな?」
「…それゃ、僕は嬉しいけど光里ちゃんの家からだと少し遠くならない?」
「うん、それぐらい大丈夫!」
「そっか。じゃ、中学生になったら光里ちゃんと学年は違うけど毎日会えるね!」
「うん、会えるよ!」
私は家に帰った途端、速攻お母さんに中学校の件をお願いした。
「ねぇ、お母さん。私、中学へは崇之君と同じ中学へ入学したいの、駄目?」
「えっ?崇之君のとこの中学へ?でも少し遠くならない?朝の弱い光里に行ける?」
「大丈夫!頑張る!」
「それならお母さんは何も言わない」
「ありがとう、お母さん!」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
そして、2年後…
この日、私は崇之君と同じ中学へ入学。
クラスは1年3組。
崇之君は中学3年生でクラスは確か3年2組。
崇之君は日に日に顔付きが男らしくなっていって私にとって頼もしい存在となっていた。
それに比べ私は自分の顔を鏡で見る度、溜め息が出る。
私、全然変わってない気がする。
自分の中で少し焦りを感じていた…。
午前中の授業を終えた私は直ぐにクラスの女子達と馴染み、友達も出来た。
お昼休み、私は教室を抜け出し崇之君の3年のクラスへとやってきた。
崇之君は確か2組だよね?
私は2組の教室の窓から中を覗き込むと私の目に飛び込んだのは女性生徒に囲まれ、普段とは違う大人びた崇之君の姿だった。
私の知らない崇之君の表情や仕草に私は呆然とその場に立ち尽くす。
だけど、それ以上に衝撃事実を偶々通りかかった3人程の男子生徒が噂していた。
「おい、聞いたか?崇之って同じクラスの沙保里って子と付き合ってるみたい。良いよな、美男美女カップルで」
その瞬間、私は目の前が真っ暗になった…。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ーー崇之君、彼女いたんだ…。
余りの衝撃で私はその場から逃げ出していた…。
それに何でこんなに悲しいんだろう…。
結局、私は崇之君に会う事なく学校を後にした。
この日の夕方、崇之君からメッセージが届いていた。
【光里、今日会えると思ってたのに残念だよ。僕もついクラスの友達と話し混んでたから……ごめんね】
いつの間にか、光里って呼び捨てになってるし。
沈む気持ちを高めようにも高まらない。
食事も余り喉を通らなかった…。
「光里?ハンバーグ美味しくない?」
「えっ?あっ、そんな事ないよ。美味しいよ!」
「そう?なら良いけど」
「今日はお父さん、遅いんだね」
「うん、飲み会みたい」
「そうなんだ…」
母は私の様子で何かを悟ったのか、こう告げた。
「光里、悩みがあるならちゃんと打ち明けてね?何でも聞くから」
「ありがとう。でも本当に大丈夫」
そう、私の勝手で崇之君の中学へ入学させて貰ったのにこれ以上、我が儘は言えない…。
私は幸い、クラスの女子と仲良く出来ていた。
そのお陰で学校へ通う事が出来た。
崇之君とはあれ以来、メッセージのやり取りも素っ気なくなり以前みたいに接する事が出来なくなっていた…。
次第に距離が空いたまま過ごす事、3年が経過した…。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
そして…
私は無事に高校1年生。
今回は崇之君とは違う高校だし会わずに済む。
今までの仲の良さが嘘の様に彼との連絡が途絶えた…。
高校生になって分かった事がある。
私は、崇之君の事、好きだったのかもしれない…。
今更の話だが…。
それに彼はもう高校3年生。
あの時の彼女とはまだ続いているのかな…?
って、もう関係ないんだから。
いつまで引き摺ってるのよ。
彼とはただの親友…か、どうかも今は怪しいけど割り切らなくちゃ!
そんな思いとは裏腹に現実はそう上手く行かない。
ある日の休日、私は食材の買い出しへとスーパーへ立ち寄ろうとした時だった。
見覚えのある男性とばったりと目が合った。
「…光里」
「…崇之君」
3年振りかの再会だった。
久し振りに見る彼の顔に私の胸の鼓動は激しく動く…。
「光里、久し振りだね。本当は連絡したかった。だけど、光里はそんな雰囲気じゃないのが伝わって…。次第に連絡もしなくなっちゃったけど…。でも、ここで会えたのも偶然じゃない。そう、思いたい。…光里、僕は君が好きだった。ずっと」
「えっ?」
「君は、気付いてない様だけど僕はファミレスで会った日から、いや違うな。きっと君に悪戯してたあの頃から子供なりに好きな思いがあったと思う」
「な、何を言ってるの?だって崇之君には彼女がいるんじゃ?」
「何の話?」
「えっ?」
私は思わず呆気に取られる…。
「私、中学の時、噂で聞いたよ。確か沙保里って子と付き合ってるって」
「確かに沙保里とは仲良くしてたけど付き合ってないよ」
「えっ?付き合ってない?」
「うん。そんなのただの噂だよ。仲良かったからって何で直ぐ噂にしたがるのか理解出来ないよ。……もしかして連絡が途絶えたのってそのせい?」
「……う、うん」
私は静かに頷いていた…。
「…そういう事か。けれど良かった、理由が分かって」
「…うん、ごめんね」
「…だけどさ、友達に彼女が出来たぐらいで連絡しなくなるのはどうかと思うよ?」
彼のこの言葉に私の胸は痛く突き刺さる。
確かにそうだよね。やっぱり、私は…。
「光里、好きだ」
再び、彼の告白が私の胸を熱くする。
「返事は?」
「もう!分かってるくせに!」
私は彼の胸に飛び込んだ。
そして、口付けを交わしたのだった…。
しかもスーパーの前で…。
この日から私は崇之と交際をスタートさせた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
付き合い始めて1ヶ月が経った頃、私達のお祝いも兼ねて崇之の両親も交えた祝福パーティーを開かれた。
テーブルの上には沢山のオードブルが並べられていた。
家族全員が私達にクラッカーを鳴らした。
クラッカーの紙くずが私達を更に盛り上げた。
「おめでとう、2人共!これからも仲良くね!」
拍手が部屋中に鳴り響いていた。
そして、崇之が急に椅子から立ち上がり改めた表情で私の両親に向かって爆発発言をした。
「将来、光里さんと結婚させて下さい!お願いします!」
両親の前で頭を下げる崇之に私は心が打たれた。
あぁー、やばい、涙出そう…。
涙を堪えていると、
「…それじゃ、光里は?」
「えっ?」
「将来、崇之君と結婚したい?」
母からの質問に私は一切の迷いもなく答えた。
「はい!」
私達はまだ始まったばかりでこれから先は分からない。
だけど、私は崇之が大好きだ!
この思いだけは貫きたいと心に誓った瞬間だった。
続編を読んで頂きありがとうございます。




