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第15章 すれ違い


亮平さんが泥酔して帰った日、私は彼の身体を背負い、寝室へと運び、寝かせた。


「ふー、重かった」


流石に息が切れる。

何となく、一緒に寝れないな…。あんなメール見たら。


それに折角、作ったすき焼きも食べる気がしない。


良し、今日はもう寝よう。


ソファーの上は寝心地が良いとは言えないけど……私はブランケットをかけて眠りについた…。



翌朝、私はソファーから起き上がると節々に痛みがあった。

ソファーで寝たからだ。

気持ちを切り替え、私は朝食の準備を始めた。


亮平さんも起きてこなそう。

正直、顔を合わせたくない。

だけど、彼の為に手料理を食べて貰いたい。

私はついでに頭痛薬も出しといた。

そして書き置きのメモも一緒にと……。

複雑な心境の中でも仕事は行かないとね…。


私は静かに亮平さんのマンションを出た。



職場に着いた私はいつも通り作業を始めるが中々、捗らない。


昨日のメールが頭に焦り付いて離れないからだ。

あぁー、もう嫌。こんな事ならメール開かなきゃ良かった。


罪悪感もあるけど、開いてなかったらずっと彼の浮気?に気付かなかったかもしれないし。

でも、ほんとに浮気なの?

彼の事は疑いたくない。でも、あのメールを見た限り浮気の可能性を視野に入れて探りを入れるのも一つかな。


考えが纏まらない…。




「…どうした、守口、手が止まってるけど?」

「…あっ、何でもないです。すいません」


やばい、上司だ!仕事しなきゃ!

焦って手が滑る。

仕事に集中、集中。失敗してからでは遅い。



私は気合いだけで今日1日仕事を乗り切った。




無事に仕事を終えて一息付けるかと思いきや、また亮平さんの事が頭に過る。


すると、私の携帯のバイブが鳴った。


うん?亮平さんからメール?


【瑞希、今日の晩御飯は昨日作ってくれたすき焼きにしよう。冷蔵庫に入ってたの見たから】


あっ?!思い出した。

結局、食べずに冷蔵庫に入れといたんだった。

亮平さんは今日休みで家に居るんだった。

だから冷蔵庫開けて気付いたんだ。


取り敢えず、帰ろう。


亮平さんもお腹空かせてるはず……って私ってどこまで人が良いのかしら?好きな気持ちが日に日に強くなってきてる気がする。

だから嫉妬もする。


他の女性と一緒に居ると思うだけで精神的に不安定になりそう。


そうこう考えてる内に亮平さんのマンションの前に着いていた。


はぁーと溜め息が出る。


私は亮平さんのマンションの部屋の合鍵を取り出し、そっと鍵穴に入れる。



ガチャ



扉を開ける音に気付き、亮平さんが私の傍に駆け寄る。


「お帰り」

「ただいま」


重々しい空気に耐えきれず私はその場から一歩下がった。


「私、手を洗ってくるね」


わざとらしい避け方しちゃった…。


洗面台で口を濯いでる時だった。

私の炊いたすき焼きの匂いが漂ってきたのは…。


良い匂いに誘われ、台所を覗くと亮平さんが晩御飯の準備をしていた。

と、言ってもただ温めたご飯をお茶碗に入れてついでにすき焼きに付ける生卵も器に割ってかき混ぜてくれてる。


「瑞希、準備出来てるからこっちにおいで」


亮平さんの瞳に引き込まれる様に私は彼の傍へ近付く。


「瑞希…」


彼にぐいと手首を掴まれ、抱き寄せられた。


「…昨日はごめん」


抱き締められたら抵抗出来ない。

だけど、やっぱり……


「…まりこさんって誰?」

「…えっ?」


彼の表情が一瞬、険しくなった。

まずい事を聞いたかも。


「…亮平さんが寝惚けてその言葉を言ってたの。それで魔が差してつい亮平さんの携帯見てしまって…」

「…まさか、メールを見たのか?」


私は恐る恐る頷いた。

でも携帯を見た私にも非はある。だから謝らないと……。


「…ごめんなさい」


亮平さんは呆れもしない怒りもしない、ただ顔を俯いたまま上げようとしない。


内心は怒ってるに違いないよね…。


私は抱き締められてる両腕をそっと手解き、すり抜ける様に亮平さんの傍から離れた。


「……瑞希?」


私が離れたお陰でようやく顔を上げる亮平さん。


「……私達、まだ同棲早かったみたいですね」

「……何でそんな事。僕の方こそ、みっともない姿見せたみたいだね。後……真梨子は元彼女だよ。偶然、再会して。話をすると長くなるが……」


もう隠し切れないと悟ったかの様に彼は真梨子との事を語り出す。


知れば知る程、無性に悲しくなっていく……。

私の知らない過去に触れるのがこんなに切ないなんて……。



ただ、どうして今また、元彼女とまた連絡取り合ってるの?

私は今の現状に理解出来なかった…。


「……どうして、また連絡取り合ってるの?」

「…あいつも色々あったし、友達としてなら良いかと思って」

「…友達?向こうはそう思ってないかも」

「えっ?」


亮平さんの口元が少し歪むと、険しい表情で私を見つめる。


「…信じられない?僕の気持ち」


信じたくない訳じゃない、頭では分かってても心がついていかない。


「……ごめんなさい」

「…何で謝るの?確かに僕も悪いよ。でも気持ちに嘘はない。君が好きだ」


好きだと言う気持ちに偽りがないのは分かってる。


でもどうしても嫉妬してしまう自分が居た。

このままじゃ駄目。

お互い傷付け合うのは目に見えてる。


「…取り敢えず、ご飯食べない?」

「…あっ、そうだな」


私は話題を変えて視線を食事に向けた。


勿論、お互い気まずいので会話などなく、沈黙状態が続く……。

でもすき焼きは美味しい。


自分の中である程度の決心は付いていた。

行動に移すのは明日かな。

亮平さんの為にはその方が良いよね。

そして、お互いの為に……。



この日、私達はベッドの上で一緒に寝るだけで終わった…。





翌朝、太陽の日差しが窓に差し込む…。


その光が眩しくて私は目を覚ました。


隣で眠る亮平さんの額に私は軽くおはようのキスをする。


すっかり熟睡してる。この様子なら起きる気配はない。


私が一晩かけて悩んだ挙句、出した結論は一旦同棲を止める事。


取り敢えず、メモにはこう書いた。


(お互いの為に一旦、同棲止めよう。私の荷物は邪魔だと思うけど次に帰ってきた時の為に置いといて欲しい。もし最悪、別れる事になった場合は引き取りに来ます。今の私は嫉妬してるからお互い傷付け合うだろし離れてみるのが良いかもしれない。貴方の事は本当に好きです。それだけは知っていて欲しい)



私は置き手紙をして亮平さんのマンションを出て行った……。




















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