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第14章 亮平の過去

この章も亮平目線で書かれてます。

彼の過去の恋愛に触れていきます。


んー、頭痛い……。頭を何度も叩かれてる様だ…。


僕は気が付くとベッドの上…。


そうか、瑞希が僕を運んでくれたのだろう。


重たかっただろうに……。


だけど、今日は僕にとっては休日。


とにかく、頭痛薬を飲むか……。



僕は起き上がり、台所を覗くと、テーブルの上には朝食と思われるお握りと卵焼き、それにお鍋には味噌汁。

後はメモと頭痛薬が置かれてる。


【2日酔いで頭が痛いと思うので薬出しときます。味噌汁は温めて食べて下さい。仕事に行って来ます】


何と気が利くんだ。

僕にとっては最高の彼女だ。

昨日は悪い事をしたな。

晩御飯を用意してくれてたのに僕はすっかり泥酔状態だったはずだから1人で夕食を食べてたのかと思うと心が痛む…。




そう、僕は2日前のあの日、まさか、彼女に再会するなんて夢にも思ってなかった。


運命の悪戯とはこういう事かとさえ思えた…。




2日前……


「…佐川先生、お疲れ様です」

「…あっ、お疲れ様です」

「今日はもうそのままご帰宅ですか?」

「はい、そうですが何か?」

「いえ、たまには軽く一杯どうですか?」


そうだな、いつも誘い断ってるから悪いし。

僕は少しならと同僚達と居酒屋へと飲みに行く事にした。

勿論、瑞希にその事をメールすると、直ぐ様、返信がきた。


【楽しんで来て下さい】


本当は瑞希の顔を見たくて待ち遠しいが今日は仕方ない。



僕は同僚の行き付けの居酒屋へとやって来た。


店内は凄い賑わいだな。


「佐川さん、あそこ空いてるみたいなんで座りましょう」


僕は誘導される様に奥側の端っこの席へ座る。




「……いっらっしゃいませ!」


元気で愛想の良い女性定員が注文を聞きにやってきた。


「ご注文はお決まりですか?」


僕は何気にその女性定員に視線を向けた時だった…。

女性定員の声はどこか懐かしく聞き覚えのある声だった。


そう、彼女には見覚えがある。

だけど、まさか……


その予想が的中したかの様に女性定員が口を開いた…。



「……もしかして、亮ちゃん?」

「…えっ?」

「…覚えてない?私だよ」


数秒経ってからはっと、何かを思い出した様に再び彼女と視線を合わせる。


「……真梨子」


どうして、こんなとこで会うんだ。

忘れてた相手なのに…。


彼女は高校時代付き合ってた彼女、佐々木真梨子(ささきまりこ)だ。

僕にとっては余り良い別れ方じゃなかったから忘れるのに時間がかかった。


その後は医者を目指す為に大学の医学部で勉強の日々。

忘れるには好都合とも言えた。


別れた原因は僕の彼女に対しての独占欲と束縛が酷かったのが理由らしい。

しかし、今となっては否定も出来ない。

確かに縛り付け過ぎた。


僕は過去の記憶が鮮明に蘇った。



「…亮ちゃん、久し振り。何年振りかな?」

「…何年かな。忘れた」


素っ気ない僕の態度に少し寂しげな笑みを浮かべる真梨子。


そんな彼女は僕達の注文を聞き終えると仕事へと戻っていった。



「…佐川さん、さっきの定員さんと知り合い?」

「…あっ、はい。高校の同級生です」

「…そうなの?良いね、あんな可愛い人と同級生って」

「…からかってます?」


冗談半分の馬鹿な会話が弾む中、グラスを手に、乾杯!の挨拶。

久し振りのビールは美味しい。


と、ここでも瑞希の顔が浮かぶ。


少し酔いが回ってるかも。そろそろ帰ろう。

後の連中はほっといて、自分の分だけ会計済ませ店を出ようとした時だった。


「亮ちゃん、待って!」


帰ろうとする僕の背後から真梨子が呼び止める。


「…亮ちゃん、明日会えない?話があるの」

「…話?僕はないよ」

「私はあるの!」


振った男に今更、何の話があるんだ。

過去の話を持ち出して同情とかなら勘弁して欲しいが……。

気分は乗らないけど……。


「…分かった」

「…ありがとう。じゃ、明日ね」


真梨子はそう言い残し、仕事へと戻って行った。


結局、僕は真梨子と明日の夕方、会う約束をしてしまった。


他の女性と会うのはまずい?とも思うが、やましい事はないから問題ない。


瑞希には特に何も告げずにいつも通り、夜はベッドで愛し合う。


最近、瑞希は益々、綺麗になっていた。

それに彼女の白い肌も潤いがあって触れ合うだけで僕の心は癒された。

だから、何の心配はない。


その時までは……。




真梨子と会う当日を迎えた。


僕は仕事を終えて約束の場所へと向かった。


そこには真梨子の姿があった。



「…あっ、亮ちゃん」

「…ごめん、待った?」


真梨子は首を横に振ると、さっと僕の手を握った。


「?!」


突然の事で驚いた僕は彼女の手を払い除けた。


「何するんだ?」

「…ごめん、亮ちゃん。ほんとはあの時、別れたくなかった」

「…えっ?何の冗談?」

「冗談じゃない!ほんとは頼まれたの、亮ちゃんと別れてくれって、亮ちゃんの両親に…」

「…何だって?」

「…亮ちゃん、お医者さんになるのが夢だったでしょ?勉強で大変な時に彼女が居てたら勉強に支障が出る。だから別れてくれって言われたの。今更だと思ったけど、誤解されてるは辛かったから。ごめんなさい」


今の話は本当なのか……動揺してるせいで直ぐには把握出来ない。


だけど、暫く冷静に考えてると有り得ない話ではなかった。


あの当時、特に父親かな。

僕に対して厳しい教育者だった。

医者になる為に手段は選ばなかったのだろう。

そうだからと言って、真梨子にまで目を付けてたとは……。

申し訳ない気持ちが一気に沸き上がり、それと同時に振られた訳ではないと分かる…。


「…真梨子、色々と悪かった。お前も辛かったんだな」

「…だって、亮ちゃんの為だもん。それに私は亮ちゃんの独占欲と束縛も嬉しかったし全然、大丈夫だったよ」


真梨子の目からきらりと光るのが流れた。

顔は笑ってるけど、内心は……。


そう思うと、耐えられなかった。


僕は最後の最後に真梨子を軽く抱擁した。


「…真梨子、本当に済まなかった。泣かないでくれ」


今の僕にはこれぐらいしか出来ない。


「…亮ちゃん、ありがとう。ねぇ、私達友達には戻れない?」


友達かぁ…。

それぐらいならと改めて連絡先を交換した。


「…まぁ、友達として何かあったら相談に乗るよ」

「…ありがとう。所で、亮ちゃんは彼女居るの?」

「あぁ、居てるよ。結婚を考えてる」


その瞬間、真梨子から笑顔が消えた。



真梨子と別れた後、無性にお酒を飲みたい衝動に駆られ、近くのバーに足を踏み入れた。


カウンターバーに座り、溜め息を吐いた。


普段、ほぼ飲まないのに今は飲まないと居られない。


後悔の念で一杯になっていた。


今だけでも酔いたい。


酔うだけ酔って忘れよう、過去の事も今日の事も…。



気が付くと、僕は酔いがかなり回ってるようだ…。

やばい、眠たい……。

瞼を開けてられない………。

駄目だ………


バタン!


「…お客様?大丈夫ですか?こんなとこで寝られたら困りますよ?」


僕をこのまま放置出来ないのでバーの店長はタクシーを呼び、僕を乗せてくれてるのは感覚で覚えてる。


それから先の記憶は覚えていない…。



しかも、次に起きた時にはベッドの上だった。


恐らく、瑞希に介抱されてたに違いない。


服にはお酒の匂いが染み付いていたからどこに行ってたかなんて十中八九分かるし。


その時は軽い気持ちで居てた。


まさか、瑞希が僕の携帯を見てるなんて知らずに……。














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