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第12章 同棲の始まり


早朝……私は早くに目が覚めた。


正直、昨日の晩から全然眠気が襲って来なくて深い眠りにつけなかった…。


何故かと言えば、遂にこの日が来てしまったから。


そう、今日は先生が私の親に挨拶へ来る日。


この事を親に話したのは昨日の朝方だった。




1日前に遡る……。


遂に明日か~先生が家に来る日が近付く…。

流石に明日だから今日言わないと……。

良し!

私は意を決して台所に立っていた。


「…どう、言おう」


まぁ、普通で良いよね?

頭の中で色々な言葉がぶつかり合う。

はぁー、緊張で頭の中が真っ白になりそう…。


暫くすると、母親も加わり、朝食の準備。



私は普段通りに振る舞っていた。

いつも通りの何気ない会話が途切れた瞬間、母親からの言葉を遮るかの様に私は先生との件を話し出す。


反対されるだろうかと…不安が頭の中を過る…。

けれど、母親はにこやかに微笑みかけた。


「良かったじゃない。明日会えるの楽しみだわ」


案外、大丈夫そう?

私が予想してたより母親の表情は穏やかで落ち着いていた。

はぁー、良かった~。



で、今に至る……。



まぁ、私が心配し過ぎだった訳だ。

でも先生と同棲なんて、先生と初めて会った当時の私からは予測し難い事…。

でもそれが今は現実になってる。


早く先生に会いたい。


時間が経つにつれて会いたい気持ちがつのっていく…。


そんな私の気持ちを遠くから感じ取ったかの様なタイミングで私の携帯に着信が!


画面には先生と表示されてる。


私は慌てて通話ボタンを押した。


『…もしもし?』

『あっ、瑞希、僕だけど起こしちゃった?』

『うぅん、起きてたよ。それよりどうしたの?』

『ただ声が聞きたかっただけだよ』

『?!』


先生の少し甘く低い声に私の胸は一瞬でときめいていた。


面と向かって言われてたら、私の心臓…持たなかったかも…。


『…あの、先生?』

『ん?何?』

『…緊張してないの?』

『…してない様に見える?』


微かだが…先生の声は震えていた。


言葉にも詰まりがあって、緊張してるんだと察しがついた。


『…実は私も緊張してる』

『何で、瑞希が?』

『だって、初めての事だし、相手が先生だから』

『えっ?』


私は先生に相応しい女性かと問われると、否定するだろう。

持病のお陰で今まで諦めてきた事が多いのも事実だし。


だけど、先生だけは私の心を揺さぶり離そうとしない。

好きな感情を抑える事が今の私には出来そうにない。

だから……


『…先生、好き』

『…瑞希』


私は溶け出しそうな感情が今にも溢れ出しそうだった。


先生もまた私の思いに応えるかの様に気持ちを言葉にする。


『僕も好きだ』


電話での甘いやり取りを終えると私は一旦、ベッドに横たわる。

緊張が解れたせいか、睡魔が私を襲う。

重たい瞼を開けていられず、気付くと一眠りしてしまった…。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 



んー、あれ?寝てしまった?


私はゆっくり瞼を開け、天井を見上げた。


不意に時計が目に入り、はっと眠りから覚めた。


「あっ!やばい、こんな時間?!」


気付くと先生との約束の時間が迫っていた。

私は身体を起こしパジャマを脱ぎ捨て、普段着に着替えた。


「…あっ、この顔じゃ、まずい」


洗面所で化粧をして寝癖の付いた髪の毛を整えてた時だった。



ピンポーン


あっ、来た!


私より人足先に母親が先生を出迎えていた。


「初めまして、佐川亮平です。これつまらない物ですが」

「あら、ありがとう。頂くわね」


先生はスーツ姿にネクタイで本格的だ。

文句の付けようもない程、完璧。

やばい、凄く格好良い!


客間に案内される先生と私はすれ違う際、お互いの手が触れた。


触れた指先は熱を帯びてる。


ほんの一瞬なのに、先生は私の心をかき乱す…。


悔しいなぁ。私ばっかドキドキして鼓動が収まらない。


だけど、今日の先生は頬が少し強張ってて緊張してるせいか、いつもの余裕の表情はない。


初めて見る先生の顔から焦りと不安を感じ取った。

だけど、私は黙って見守る形になっていた…。




その後、同棲と結婚への決意を改めて挨拶に込めた先生。

正座の体勢からゆっくりと頭を下げる。

隣で私はそんな先生の言葉と姿に胸が締め付けられた。

嬉しさが込み上げる。



そんな姿に両親から何かを諦めたかの様に一息吐くと、重たかった口元が微かに緩んだ……。



「……亮平さん、瑞希の事、宜しくお願いします」


はっと顔を上げる先生。

私もそんな先生に横から視線を送る。

喜びを隠せない。

私達は微笑み合った。


そして、心から祝福してくれた両親に私は心から感謝した…。






















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