表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/7

夕暮れの帰り道

 ランドセルを背負った子供たちが、こちらに向かって歩いて来るのが目に留まった。どうやら、道路にひかれた白線の上だけを選んで歩いている様子だった。

「いいかい?白い所は天国。黒い所は地獄だからな。」

「分かってるよ。ところで、ブロックの上は天国?それとも地獄?」

「ブロックの上はセーフにしようよ。白でも黒でもないし。」

 どうやら“ごっこ遊び”をしているようだ。黒いアスファルト部分は踏まずに、白線の部分だけを歩いて帰る遊びらしい。ブロックはセーフと決まった瞬間、白線からブロックへと飛び移った子が何人かいた。

「あのさ、もしも黒い所を踏んだらどうなるの?」

「地獄に落ちるに決まっているじゃないか。」

「じゃあ、横断歩道は?」

「もちろん白い部分だけだよ。」

 横断歩道は、梯子型ではなく縞模様型のものだった。子供たちが決めたルールに従うならば、横断歩道の白い部分だけを選んで飛び越えて行かなければならない。白い所は天国。黒い所は地獄。上手く飛び越えないと、地獄に真っ逆さま・・・。


 それを目撃したのは私だけだったのだろうか?

 子供が一人、姿を消してしまうその瞬間を。

 うっかり、足を踏み外してしまったその瞬間を。


「馬鹿だな。だから“地獄に落ちるって言ったのに・・・。」

「どうする?」

「地獄に落ちたらもう、どうしようもないよ。」

 ランドセルを背負った子供たちは、何事もなかったかのように先を急ぐのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ