2ndプロジェクト 依頼内容 ※特に陽介君! 機密情報に気をつけて!
依頼者 塩見 湯治 大学四年 男性
依頼内容 一週間以内に蛭間 堅蔵という男性から最低でも50万円を奪い返して欲しい。計画は共に考えていこう。
動機内容 依頼人の父がターゲットの蛭間に株のいい話があると乗せられて、300万円以上をだまし取られたらしい。
追記 家族には絶対にバレてはいけない。奪い返した金は自分のアルバイトや仕事で得た給料に少しずつ上積みしていくから、家族や親類には絶対に黙っておくこと。
詳細 蛭間という男は営業者であり、課長をやっている。不正を金でもみ消した怪しい噂がある。
謝礼 金額は後で交渉。
ぼくと河井さんは依頼内容が書かれたメモを置いて、話を済ませてきた東堂さんと古月さんの方を向いた。
「依頼なんていつの間に受けてたの?」
「今日の朝、私が通学中に、とある暗い路地で男の人に呼び止められてね。私って噂でも有名みたい」
依頼人は男。誰かに目撃でもされていたら女子高生が男に路地裏へと無理矢理連れてかれたんだと勘違いして、通報されることは間違いなし。下手したら、パトカーが何台も出動させられるという事態になっていただろう。
自分で想像しておいて、身が竦む。少し恐ろしいな。
「それで……二人は……大学に……?」
「そこでしっかり、聞いて来たわ」
「へえ……ありがと」
「どういたしまして」
親しげに会話をしていることから、どうやら古月さんと河井さんの自己紹介はとっくに終わっていたらしい。
「そう…………で、窃盗? ……強盗? 詐欺にするの?」
「いきなり、アタシに聞かれても困るよ!?」
河井さんも早速、腹の中でエグイこと考えますね。もう完全犯罪のことを考えていたとは。人が何に思考を巡らせているのか分からないものだと、つくづく実感する。古月さんはそのことに驚いて動きが完全に静止していた。良かった。同胞がいて。
そこへ東堂さんが解説を始める。まるで、いつも犯罪を妄想しているかのように……。
「窃盗や強盗は証拠が残りやすい。それに非力な私、ユニちゃん、エナちゃんには難しい。かといって、陽介君一人なのは、そういう犯罪をするのにも危険。失敗しても証拠を消せる人がいないから、命取りになっちゃう。そこから検討をつけていくと、一番安全なのは詐欺だよ! ねえ! ユニちゃん!」
「『ねえ』と言われても。ねえ!?」




