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閑話・王都に居る少女の話1

短編で出していた「乙女ゲームの舞台にあがったのに攻略対象が不在ってどういうことですか? 」を少し修正したものになります。

とある王都で、可愛らしい女の子が産声をあげました。

両親は喜び彼女を大切に大切に育てていきました。

そんな彼女はある特殊な能力を備えてこの世界に生まれついたいたのでした。





突然だが私は、前世の記憶もちである。


なぜ前世の記憶を持って生まれたのかはわからないが・・・私の前世は普通の女子高校生だった。


毎日学校へと通い友達とバカやったりして楽しく生活を送っていたはずなのに・・・

気が付いたらこの世界に生まれマリアと呼ばれていた。


前世の記憶を持ったまま新しく授かった人生を心行くままに歩んでいた。

父と母は優しく、街で洋服店を営んでいた。

裕福な生活とは言えないが、毎日食べるものにも困らず、ごくごく普通に生活を送っていた。

私はそんな両親に可愛がられスクスクと育ち将来はこのお店を継ぐわ!と息巻いてた。


しかし10歳になったある日、雨が上がり買い物にでもいこうかなと、街中へ繰り出すと聞き覚えのある名前が耳に入った。


「ねぇ聞いた?第一王子のカレヴ様、この前、街へ視察にきていていたの、私見たのよ!」


「えぇっ、うそ!?私も一目見たかったわ!すっごくかっこいいんでしょ?」


カレヴ?どこかで聞いたことあるような、そう・・・ずっと昔・・・。

私は立ち止まり、噂話に耳を傾ける。


「ええ!かっこいいだけじゃねくてね!子供ながらカレブ殿下は大変聡明で慈悲深いお方よ!あぁこの国の将来は明るいわぁ!」


「それだけじゃないわ、彼の周りには11歳で類稀なる秀才と噂されるガゼル様・12歳にして剣の実力が認められたグラクス様・10歳にて凄腕の策略家の噂されるヴァッカ様がおられるのよ!皆容姿端麗で目の保養だわ!」


「まぁでも私たちには手の届かない存在よねぇ~。」


彼女たちの笑い声が耳に響く。


カレブ・ガゼル・グラクス・ヴァッカ・・・・


あぁっ!!!!

ここ・・・私が前世にやっていた乙女ゲームの世界だ。


どっと脳に膨大な過去の知識が蘇る。

あまりの情報量に足がぐらつく感覚を覚えた。

私はそばにある壁に寄りかかり、頭を押さえる。


高校の友達と、この乙女ゲームの押しキャラについて語ったわ・・・。

そんな事を考えていると、ふと道にできた水たまりが私の姿を映した。

この顔は・・・乙女ゲームの主人公マリアじゃない!

まさか、この私が前世でやっていた乙女ゲームの主人公だなんて!


挙動不審のまま、買い物もせず、私は急ぎ足で家へと戻ると、勢いよく玄関を開き階段を駆け上る。

階段の上るとすぐにある自分の部屋へ飛びこみ、ベットへとダイブする。

マクラに顔をうずめ、足をばたつかせた。

やばい!乙女ゲームの世界とか、しかも主人公に生まれ変われるとか!


「神様!!!ありがとうぉぉぉぉぉ!」


私の叫び声は家中に響き渡った。


興奮が少しずつ収まり、私はこのゲームの事を思い出そうとベットに仰向けになり天井を見上げる。

確かこのゲームは・・・私が王都一番の学園に16歳になると入学し、そこで1年間攻略対象と関係を深めていくよくある乙女ゲームだったはず。

名前なんだったかな・・・好きな声優さんが出ていたからそれだけ見て買っちゃった気がする・・・。

えーと確か攻略対象者は4人の男性に隠しキャラ1人でだったはず。


攻略対象一人目はガゼル様

王子の側近であり、プラチナの髪をなびかせ、いつも爽やかな笑顔で登場する。

澄んだエメラルドの瞳で笑いかける姿のスチルがあったなぁ。

しかし心の底では、低レベルな学生達を蔑み、笑顔や容姿、地位や金によってくる老若男女を利用し学園を掌握している裏の顔をもつ。そして自分に逆らったものや不正を行ったものに対しては生かさず殺さず自分の怖さを存分に教え込みながら、笑って見据えるドS設定だった。


しかし王都の学園に入学した平民女性(私)が普通の者とは違い知的で彼の容姿、地位、金に見向きもしないさらに彼のドSにも立ち向かってくるひたむきで、純粋な彼女の姿に次第に興味を持っていく。


二人目はグラクス様

王子の護衛騎士の一人、黒い短髪に赤い目が特徴で寡黙である。

彼は父や母から常に女性は守るべき対象だと教え込まれ育つ。

しかし彼が女性に優しくしようと行動や言葉を発すると、女性が泣いてしまったり、怒ってしまたり、ひどいときには逃げて行ってしまったりとそんな過去の経験から女性に対して苦手意識をもつ。

そうして彼は常に沈黙を保ち女性を遠ざけるようにしている。

しかし、平民である彼女(私)の虐め現場に遭遇するが、怒りもせず、泣いたりせず、逃げもしない、毅然とした態度で貴族に立ち向かう勇ましさを目の当たりにし徐々に彼女へひかれていく。


三人目はヴァッカ様

これまた王子の護衛の一人執務もこなす優良株、主人公と同じ年で同クラスになる。

人懐っこい笑顔で周りを明るくするクラスでのムードメーカだが、実は二重人格で常にニコニコ笑顔を絶やさない一面、一度切れると誰にもとめれないほど暴れまわる。

そして彼は王都での暗殺や密偵なども担当しており、攻略を進めて彼の裏の顔を知ることになる。


普通の者が彼の怒りに触れると、恐怖の表情を浮かべ逃げ出す中、彼女は彼の怒りを真正面から受けようとするその姿に次第に興味がわいていく。


先ほどの噂話では入っていなかったが、

もう一人の攻略対象ルーカス様

辺境の地からこの学園にやってきた深い青の美しい髪に、ブラウンの優しい瞳で笑顔を浮かべるフェミニストだ。

しかし女性に対して常に一線を守り接する姿に周りの貴族女性が、ルーカスを射止めようと醜い争いをしている。

彼の攻略を進めていくと、彼は叶わない恋をしていて、彼はその女性をどうしてもあきらめることができず、その悲恋で苦しい心をどうにかしてしたいと悩んでいることが明らかになる。

そんな彼に献身的に寄り添うのが主人公であり、そんな彼女の理解を示す心にひかれ叶わない恋を忘れていく。


そうして4人を攻略することで、隠しキャラの攻略が可能となる。

この国の第一王子、カレヴ様。

私たちよりも1つ年下なので学園で出会うことはない。

容姿鍛錬、運動神経もバツグン、民衆の支持もあつい完璧王子である。

彼とはどうやって出会うんだっけ?

あれ・・・彼の容姿や攻略内容は思い出せないな・・・。

私は彼を攻略する前に死んだのかしら?



いつの間にか眠っていた私は、翌朝目覚めるとすぐに行動を開始した。

今の現状では彼らに会える学園へ入学できるはずがない・・・。

だってまったく勉強していなかったもの。

私は攻略対象に会うため、お母さんに頼み、参考書を買いに走った。

家に帰ると、ご飯やお風呂以外はずっと部屋に引きこもりただただ勉強に精を出した。

神様は私に前世の知識を授けてくれたが、瞬間記憶能力や、魔法が使えたり、そういった前世での小説にあるようなチート能力授けてくれなかったようだ・・・。

だから私はただただ机に向かいペンを走らせ地道に頑張るしかなかった。




数年の時を経て、私は学園の入試を受けた。

手ごたえはバッチリだ・・・はず・・・!

合格発表には両親も付き添い私の名前が記載されている街に張り出される掲示板を確認しにいくと、私の名前を見つけ、家族3人で抱き合い喜びあった。



そうしてようやく・・・学園の入学である。


私、頑張った・・・!ついにやり遂げました!!!神様ありがとう!

念願の学園の既定の制服を広げ、真っ白なブラウスに袖を通し、紺色のワンピースを重ねる。

皮の手提げかばんを持ち、父と母にいってきます!と告げるとはやる気持ちを抑え学園まで優雅に歩いた。

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