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主人公になりたいっ!  作者: 孝友
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6/11

王国のようです。

感想とか批判とか書いてくれると嬉しいです。

 扉に入って見えてくるのは、筋肉の兵士、兵士、兵士である。扉から玉座に続くように整然と並んでいる。男の筋肉が整然と並んでいるのを見るのは気味が悪いというのもあるが、ここまで並んでいるとむしろ清々しさを感じる。


 そうこの大きな背中、ゴンズイさんに続いて玉座に続くレッドカーペットを歩いていくと玉座を目の前に捉えることが、出来ない。出来ないというのはその玉座であろう場所に座っている肉のカタマリがとても巨大であり、玉座がほとんど見えないためである。


「ようやくきたか、ゴンズイよ。して、その空から降りてきた客人というのはどこにいるのだ。」


「はっ。お待たせしてしまい申し訳ありません陛下。こちらがカシマ オーイチ君です。」


 ゴンズイはこの玉座の間に入った時からビシッと決めており、陛下の前では膝をつき目を伏せ、相手に礼を欠かさないように返答する。

 

 その一方でこちらはここから何が起こるのかという不安感と筋肉の集まりによる圧迫感が心の中を占めていく。


「カシマ オーイチ」


そう、厚みのある重い声で俺の名前を呼ぶのは国王である。その声は筋肉にも向けられていた意識を国王へと集中させるのに十分な効果を発揮した。そして静寂に包まれた、国王は一言。


「やぁやぁ、勇者召喚の儀式を少し間違えてしまってね。変な風に召喚してしまったんだ。あはは、メンゴメンゴ。」


 そうやたら軽いノリで返してくるのは先ほど発声されたものとは違う、ふざけた感じの声色でこちらに声をかけてくる。違う!注目するべきは“勇者召喚”の部分だ。変な召喚をしてしまったせいで俺がこの世界に来てしまったのか。しかも、恋人や親友との青春の一ページを邪魔されてまで。そこで不安や圧迫感が不満と怒りにかわり、国王に何か言ってやりたかった。しかし、残念ながら喋ることができないので目で睨み返すことだけにする。


「いやー。怒りたい気持ちはもっともだと思うし、帰って友達とかとも会いたいっていうのもわかるんだけどね。参ったな、これがテンプレ通り返す手段をしらないんだわ。」


(ふざけるな。筋肉ダルマ。この脳筋)


 と、この場にいる誰に言っているか分からないような悪口をいう。


「だから、ごめんって謝っているじゃん?そんな感じに振る舞っていくと彼女にも嫌われるぞー。そんなことよりも自分のチカラがどれくらいか調べてみない?そういうの気になるじゃん?とりあえずこっちに来ない?」


 そうして、国王が手を挙げて合図をすると意外なことに筋肉ではなく、普通の体系をした侍女が水晶玉だろうか、それらしきものを持ってきた。


 まぁ、実はそんなことは些細な問題あった。こいつは俺の言葉にしたいことというよりも心で思ったことに対して、そのまま返答をしてきたのだ。本当に返答しているのかは不明でもあるが。


(そこのところどうだろうか?)


「あ、うん。それくらい出来て当然だろう?一応、これでも巷では魔王を倒した勇者王とまでいわれているんだぜ?そこんところは後で話すから準備もできたし、早く来て水晶玉に手を当ててみ?」


ここでようやく、さっきから発声して返事をしていないことに気付く。


 はい

→いいえ


そう答え、水晶玉に手を当てる。すると、水晶玉は赤く(・・)光り輝き、目の前の空間に映像というよりもホログラムといったほうが伝わりやすいだろうかが映し出される。


名前 カシマ オウイチ

称号 異世界人

Lv 1

HP 20

MP 6

筋力 15

防御 15

魔力 15

素早さ15

器用さ20

運   7

スキル 勇者の加護(残りカス)


と表示された。が、正直言ってどれくらいの強さなのかの基準を全く知らないので自分には比較できない。


「あーうん。正直言って、一般人レベルカナー。キンリョクイガイハ。まぁ、この国で最強クラスになるとそこのゴンズイみたいに筋力が5,6万程度ないとつらいかな。」


(勇者の残りカスってなんだよ?それは置いといたとしても、一体勇者を召喚して何がしたいんだ?魔王討伐でもさせる気か?)


「だーかーらー、魔王は倒したんだって。勇者として召喚した人には最近活発になっている魔族とかそれ以外にも色々と刈ってもらいたいんだよね。自分がいければ一番いいけど、この城を起点として都市全体を結界で覆っているわけで、王様の義務としてもここを離れるわけにはいかないんだよ。本当に困ったことだよね」


(困っているのはこっちだよ。そんな生きて帰れるかも分からないことするわけないんだよ。そんなことは兵士とかにやらせろよ)


「ところがどっこい。俺が勇者王になってしまったせいで、この世界の人は勇者を宗教としてあるいは観光資源としてあるいは産業としてとりいれてしまっているんだけれども、それもそろそろ潮時でね。それが崩れてしまうと被害がこっちにまで及ぶワケ。だから、君にはそれらにも新しい風を呼び込んでもらいたいんだよね。」


(こと)


「じゃあ、死ぬ?」


心で思うよりも先に相手に言葉で制されてしまった。


「正直な話、こちらの思惑通りに動いてくれない勇者なんていつ力をつけて反逆されるか分からないし、生かしておくだけ国の利益にならないんだよね。ま、今了承してくれるんならば君のか弱いステータスのためにこちらの最強の騎士を預けるんだけれども」


それは先ほど言ったようにゴンズイさんだろうか。

「まぁ、うん。()の(・)ゴンズイなら最強だろうね。」




 それからの話はゴンズイも加わり、自分が何も話さずとも勝手に進んでいってしまっていた。話は聞いていたが、分からない単語や町、村らしい名前が出てきていた。


「一緒に飛ばされたであろう、人々の捜索はこちらでも行うことを約束してあげよう。君の恋人や友達も見つかるかもね。」


 と、だけ最後に付け加えられていた。


 それから、ゴンズイの保護下に置かれるらしく、また屋敷へ馬車に乗り戻る最中であったが、緊張から解き放たれるとはいかなかった。


 なぜなら、よくわからない町か村の名前のあとに聞きたくなかった言葉があった。


 鍛錬を積ませるついでに盗賊を狩ってこいと。


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