男子高校生の日常ⅲ
高校2年になって一人暮らしを始めた俺は、急いで支度を済ませて、家の鍵をしめる。
春から夏の季節の移り変わりのせいか、ブレザーを脱げば少し肌寒いし、着れば暑いし。
面倒臭い季節だ。
チャイムと同時に校門をすり抜けた時、勢いに任せて、後ろから背中を押された。
「疼夜アウトー!!」
「うわぁっ!」
大声で叫んでしまった…。
この時間帯のため人が少ない、いや俺らしかいないのが唯一の救いだ。
「……龍己…」
力強いし…。
「お前また遅刻かー?」
「そ〜言うお前もまた遅刻だな!流石遅刻魔!」
もうチャイムはなり終わっているのに、下駄箱についた途端余裕こいて歩く俺ら。
まぁ、ここまでくれば遅刻扱いにはならないのがこの天羽高校の緩い校則の一つだ。
「あ、そーいや龍己買った変なゲームってどれ?」
教室まで長い廊下を歩きながら、龍己がカバンをゴソゴソと漁る。
「これだ!なんかやばそーじゃね?」
「…何処がだよむしろ普通だろ」
手にあるのは何処にでもあるような普通のゲーム機
確かに形は少し変…ってか見たことないな。
スマホみたいに薄い割に形は歪。
何処をどう操作すんだよこれ…
「まぁ、でも新しいゲーム機ならありな形だなw」
「そ!れ!が!これ中古なんだよ!しかも超安いんだぜ?!」
「まじ?!これでか?!」
最初は嘘臭くて乗り気じゃなかった俺も興奮気味。
「なぁなあ、やるしかなくね?」
その言葉に顔を見合わせた。
こうなると行く場所は限られる。