表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

第1話

すみません。


書いている内容が未熟と感じたので一から書き直しました。


2話以降も徐々に変更していきます。(2度目)

――15:30

 ホームルームが終わり、中平 泰斗<なかひら たいと>は席を立つ。

 行き先は図書室、目的は授業の復習と予習をするためだ。

 短い髪を眉の少し上で綺麗に切り揃え、高校規定の制服も一部の隙もなく着こなしている。

 やや厚めな眼鏡をかけ、常に穏和な表情を浮かべる姿は『優等生』、という単語を浮かばせる。

 夕陽が差し込む廊下に、泰斗は一定の間隔で足音を刻み進んでいく。


 五分ほどで、図書室の前に到着すると、泰斗は静かに引き戸を開け中に入る。

 放課後の室内は静寂に満ちていて、泰斗には居心地の良い場所だ。

 大半の生徒は部活か帰宅に向かい、ここに来るのは真面目な図書委員か、文学好きの奇特な女生徒くらいである。

 泰斗は西日の影響が少なく、本棚に近い席にいつものように座る。

 そして、カバンから筆記用具一式を取り出し、勉強を開始する。

 テキストに目を通し、ペンを動かし始めると、泰斗の視線は釘付けになる。

 目はただ文字だけを追いかけ、ノートに書き込まれる音だけが、耳に小気味良く響き続けた。


「ふう・・・」

 一区切りつけた泰斗は安堵の息を吐く。

「相変わらず、精が出るな」

「あっ、東野さん」

 泰斗は目の前に座る女生徒に気付く。

――東野 圭子<ひがしの けいこ>

 自称、文学少女で泰斗と同じく図書室の常連だ。

 自己申告で室内の本を読み漁り、創作活動をしているとの事だ。

 時折、泰斗の前に座って、愚痴とも取れる話をする。

「何時からいたの?」

「20分くらい前だな。まあ、君を観察していたから、退屈はしていない」

「ど、どこか、おかしかったかな?」

 泰斗は慌てて居住まいを正す。

「違う、非常に興味深い、ということだ」

 東野は尊大な口調のまま小さく笑った。

 長い黒髪を自然のまま靡かせる東野は、均整の取れた顔立ちをしている。

 美人と言っていいが、無愛想な表情となだらかな鼻梁に小さな眼鏡を乗せている。

 これで白衣を着せれば、立派な『研究者』だな、と泰斗はいつも思っている。

「今日はどんなお話ですか?」

 泰斗が問いかけると、東野は伏目がちに眼鏡の縁を撫でる。

 間を取るときの、東野の癖だ。

「・・・実は君に頼みがあるんだ」

「ボクに頼み、ですか・・・」

 泰斗は目を丸くして反芻する。意外な言葉だった。

 そんな泰斗を見ながら、東野はゆっくりと言葉を紡ぐ。

「私の文章を見てもらいたい」

「えっ?! いいんですか?」

 泰斗は思わず声を上げて問い返す。

 小説のような物を書いている、と言っていたが、肝心な内容を東野は話してくれなかった。

「君に協力してもらいたいんだ」

「それなら、もっと信頼できる人、先生や友人の方が良いんじゃないの?」

 内心の戸惑いを隠しながら、泰斗は疑問を投げかける。

 そもそも、放課後の図書室で、少しお喋りをするだけの関係でしかないのだ。

「・・・だから、君に頼んでいるんじゃないか」

 東野は少し呆れたように答えを返す。

 その表情は少し怒っているようだ。

「ご、ごめん」

 東野の怒気を察した泰斗は、すまなそうに頭を下げた。

 馬鹿な事を言ったと、泰斗は自己嫌悪で顔をうつむける。

「ふふ、そう気にするな」

 東野は明るい声色で笑い飛ばす。

 根に持たない性格のだろうか、怒ってないことに泰斗はホッとする。

「で、引き受けてくれるか?」

「ボクの出来る範囲であれば」

 無下にするのも気が引けたので、泰斗は控えめに了承する。

「助かる。で、肝心の文章なんだが、パソコンで作っていてね」

「それなら大丈夫です。持ってますから」

「なら、話は早い」

 そう言って、東野はカバンから赤いプラスチック状のホルダーを取り出した。

 大容量記憶媒体、USBメモリというヤツだ。

「コレに過去の文が詰まっている。それを見て、君の意見を聞かせて欲しい」

「わかりました。じゃあ、週明けにこの場所でいいですか?」

 幸い、明日から土・日と休みが続くから、時間はたっぷりあった。

 これだけの時間があれば、期待に応えることが出来る。

 泰斗は素早く算段したのだ。

「わかった。楽しみにしている」

「もう帰るの?」

「こっちも色々とやることがあるからね」

 東野はそう言って腰まで伸びた髪を靡かせ、図書室を出た。

 そして、残った泰斗は東野から渡された、USBメモリを手の平で遊ばせる。

「小説か・・・」

 泰斗は嘆じるように呟く。その手は微かに揺れていた。

 やがて、それをポケットに仕舞い込むと、泰斗はまた黙々と勉強を続けた。

突っ込みを希望します。


後は着実に経験値が増えてLvがあがります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ