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プロローグ「始まり」

プロローグです。この話は主人公がわかりにくくなっておりますのでご留意ください。

とある町、少年が一人、車通りの多い街を歩いている。少年は学校が終わり帰宅の途についているところだった。

少年は染めているわけではないが軽く茶色がかった髪をしていて、目鼻立ちも整っており、利発そうでありながら穏やかな気持ちにさせる、これまた茶色の瞳が特徴的な少年である。


(早く帰ってご飯をつくらなきゃな・・・・テストも近いし・・・・ん?)


いつも通る通学路、住宅街に差し掛かってきたところに入ると人の気配がなくなったような感じがした。


(珍しいな・・・まぁ、こんなこともあるか)


もともとそこは人通りが少なくなる場所であるためそこまで疑問に思うことなくスタスタと歩いていく。

いつもと同じ帰り道、いつものように家に帰り、いつものようにご飯を食べ、いつものように眠る。今日もまたそうだろうと少年は思っていた。信じていたといってもいい。


「・・・えっ?」


足元が光る。自分を中心にして見たことないような文様で描かれた円形の陣、・・・まるでおとぎ話に出てくる魔法陣のようなそれが描かれている。


(足が・・・!? いや、体が動かない・・・!!)


魔法陣の光がどんどんと強まり、ついに目も開けられなくなるほどに光り輝き・・・

・・・光が収まった後、魔法陣も消えてなくなっており、そして少年もまたどこかへといなくなっていた・・・・





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とある場所、窓のない石造りの部屋。出入り口は凄まじく頑丈そうな扉1つしかなく、地下に造られたここは、まさしく牢獄と呼ぶにふさわしい場所である。そこに一人の男が鎖につながれていた。


その男は、まるで鋼のようであった。


鍛え上げられた肉体、決して折れないであろう意志を感じさせる風貌、いくつもの戦場を越えてきたことを示すような数多の傷跡、男は、鎖につながれながらもなお揺るぎ無い存在感を持ってそこに佇んでいた。



(・・・む?)


男はカッ・・・、コッ・・・と石造りの床に響く足音をとらえた。そのまま足音は扉の前まで来て、一人の兵士が牢へと入ってきた。


「しょ、食事・・・だ!」

「・・・・・」

「ひ、ひぃ!?」


明らかに怯えた様子の兵士が食事を置いていった。まるで、猛獣を前にしたかのようなありさまだった。


(・・・目を向けただけであろうに)


男はおもわずため息をつき、改めて食事をとろうとして・・・・・・


「うん?」


いきなり自分の下に光り輝く魔法陣が描かれ、その光を強めていく。扉の外で見張りの役目をしていたのであろう兵士が目を回さんばかりに驚き、急いで扉を開けようとしている。

そして、光が収まっていくと男は光とともにどこかへと消えていった・・・・・・





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とある世界、VRMMO(POSSIBILITY WORLD ONLINE)通称PWOと呼ばれるゲームの仮想世界。とある城の一室にて、青年がなにやら準備をしていた。


「・・・・ふむ、こんなもんかね?」

「お! 遠征ですかギルマス?」


青年に話しかけたのはまさしく「骨」であった。禍々しい鎧を着た人骨がどうやってか声を出して話しかけているのである。


「そうだよ、生産部から素材を依頼されてね。ちょっと死滅の森までいってくるからね。」

「・・・・そこ最前線一歩手前なんですけど?ソロで大丈夫ですか?」

「はははー、問題ないんですよねこれが」

「・・・うわぁ、そこにしびれる、あこがれない・・・」

「はっはっはー」


ちなみに青年の容姿は黒髪金目の割と整った顔をしていて、見た目としては普通に人間である。人骨君は顔もないのに動きだけで見事にドン引きしている感情を表現し、なぜか上機嫌な青年に問いかける。


「・・・それじゃあ、俺たちはイベントこなしてきますから。ギルマスも死なないように頼みますよ?」

「大丈夫、だいじょーぶ、いってらっしゃい。」


その後、彼がイベントエリアへ転移していったのを見届けた後、自分も転移しようとしたとき・・・・


「んー?」


いつもの転移エフェクトとは異なった魔法陣が描かれ、それに少し疑問に思い・・・・

光とともに消えていった・・・・





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そしてとある国、魔法陣の描かれた祭壇にて、一人の少女と数人の騎士、そして多数の魔術師が儀式を行っていた。

魔術師たちは玉のような汗をかきながら一心不乱に魔法陣へと魔力を送り続けている。凄まじいほどの魔力に満ちた儀式上の中、騎士たちの中にはその魔力の濃さに恐怖を覚えている者さえいる。にもかかわらず、その一人の少女はしっかりと祭壇の魔法陣を見つめている。


(始まった・・・)


彼女は知っているのだ、これから自分の行うことがこの国に大きな影響を与えることを。自分の行動で国の行く末が決まるかもしれないということの責任を自覚しているのだ。


(許されるとも、許してもらえるとも思わない。だけど、わたしはやらなくてはいけない。)


彼女はまた知っている。この行いの罪深さを、どれだけ取り繕おうとも、国のため、民のためと言い張ろうとそれは変わらないことを。


「・・・・!」

「おおっ!」


ついに魔法陣が役割を果たし祭壇を光が満たす。その場にいるものは息をのみ、魔術師たちは疲れ果て倒れ込む者さえいる。そして、光の中で少女は願う。


(ごめんなさい・・・・。そして、どうか・・・私たちを助けてください!!・・・・・・”勇者様”!!!)












・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・

物語は始まる。様々な意思をのせて、様々な願いをのせて。

これは勇者の物語、これは英雄の物語、そして、これは偽りの魔術師の物語




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