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3度目の正直

 3度目のサチと会うことになった当日。

 私は前と同じようにプレゼントを持ってきてここへ来た。サチを見ると手に包装紙に包まれた箱を持っている。私と同じ、多分プレゼント用の代物。

 アレは一体何だろう?

「サチ、久しぶり」

「うん、久しぶり!」

 嬉しそうな笑顔を浮かべているサチ。この顔の向こうでは通り魔として強いられていた顔があり、私に対して怯えていた顔もある。

 その私に対しての怯えは落ち付いてきたのか、今日は初めから調子が良さそう。

「これ! アミに」

「私もこれ」

 いきなり渡してくる物だから、私も釣られて渡した。

 なんか照れくさくて笑みが漏れてしまう。サチは「開けて良い?」と上目づかいで聞いてくる。

「良いよ、私も良い?」

「うん!」

 いっしょに包装紙を外していき、プレゼントを開けていく。そして、開ける同時に「えっ!」と、同じ言葉を漏らした。

 お互いの中身を見比べる。

 中身は日記帳。デザインは違うけれど、同じ物がそれぞれ入っていた。

「サチ、どうしてこれを?」

「え、えっと。アミのこと思いだしてたら日記のこと思いだして、カシューさんに交換日記をしてみたらって言われて」

 凄く不安げで泣きそうな声で言う。表情も今にも泣きだしそう。

 私はその言葉に思わず笑い声を出てしまう。

 それに合わせるようにサチの顔は不思議そうに目を大きくしていた。

「ご、ごめん。私もね、そうしようと思って買ったの。サチはよく日記付けてたから。じゃあ2冊でしよっか。私とサチのと2冊で」

「う、うん!」

 さっきの表情が嘘のように太陽を顔に浮かべた。

 予想外なことになったけど、おかげで緊張が解けた。今なら、全部うまくいきそう。

 私は立ち上がる。いきなり立ち上がったせいかサチはびっくりして少し縮こまった。そんなサチに近づいて背中から抱きついた。

「好きだよ、サチ。会いたかった」

「だ、だめ!」

 急に暴れはじめるけど、私は外さない。そのまま「どうして?」と、聞く。

「私は誰にも、幸せになっちゃいけないの! 止めて!」

「でも、サチは私に会いたかったんでしょ? それとも嫌いなの?」

「嫌いじゃない! 嫌いじゃないけど、ダメなの! ダメダメダメ、カシューさ――」

 いけない、このままだとまたやり直しになってしまう。もう、目のようにはしたくない。


「サチ!」

 

 自分でもびっくりするくらいに大きな声が出ていた。同時に時間が止まったようにすべてが静かになった。動かないサチの身体を見ると震えている。

「サチ、何があったの? サチの口から聞かせて。私は何もかもを受け止めるから、ね?」

 鼻をすするような音が聞こえる。サチからだ、一定の間隔で体を大きく震わせて、押し殺す様な声が漏れる。

 私はゆっくりと抱きついていた手を離した。

 そして、サチと顔を合わせる。

 その顔は泣き顔のように歪んでいて、すぐに顔を手で覆った。そして泣き声を漏らした。本当に騒がしい、耳が裂けて意識が飛びそうなほどの泣き声を。

 見回すとカシューさんとマキシムが入ってきていてじっとこっちを見ている。2人はどうしたらいいか分からないのか、私たちに視線を忙しく映している。

「マキシム、カシューさん。もう少し時間くれますか?」

 泣き声の中、ハッキリと聞こえなかったかもしれないけど2人とも頷き、部屋を出て行った。

 私は泣き続けるサチの頭を撫で、背中をさすってじっと待つ。サチも幽霊だから触られる感触はハッキリと分からないかもしれない。それでも、お母さんに頭をなでられた時のことを思い出しながら撫でていく。

 私も泣きだしたい気分。でも我慢しないと。サチが私を心配するかもしれない。私は彼女のすべてを受けて止めないといけない。私が頼りになれるようにならないといけないんだから。


 〇

 

「サチ、もう平気?」

「うん」

 何分経ったか分からない。でも、今が一番大切だからそんなのは関係ない。

 いつもの無垢な表情に戻ったサチは力強く返事した。

「アミ、言うね?」

「うん、お願い」

「3番は人殺しをしたの。何人も何人も、知らない人を殺して、そしてお金を奪って行って。3番はこんな人、だからダメなの」

「サチは殺したくて殺したの?」

「違う! 違うの、守りたくて、……アミを、みんなを」

「私を守る?」

 通り魔になってたことが私を守ること?

「あいつが、しなかったら私の知り合いを皆を殺すって。そいつ、アミのことを知ってたから最初に殺すって。だから私は殺したの。本当は殺したくなんて無くて、カースがカースがカースが――」

 壊れた蓄音器みたいに同じ言葉を続け始めた。そろそろ限界かもしれない。私は再び抱きついて、落ちつかせるように名前を呼び掛ける。

 

 声が止んだ。代わりに鼻息が聞こえる。静かな静かな、スーと言う音。糸が切れたように身体がこっちに倒れ込んできた。

「寝ちゃってる」

 さっきから泣いたりしてたし、しょうがないか。

 寝ている表情を見ると、つい頬が緩んでしまっているのが自分でも分かる。

 やっぱり、サチはここにいたんだ。


「え?」


 嫌な物が見えてつい声が出てしまった。

 見えたのは私の背中。その映像は暗く、もう何度も見たことのあるアレ。一体何しに来たって言うの?


 帰れ、帰れ、かえー―


 それは目の前に現れる位置を変えた。目が合ってしまった。


「あれ?」


 何も起きない、カースはじっとこっちを見ているだけで、いつもの感じが無い。

「何、何なの?」

 何もしゃべらない。ニヤついているように見える裂けた口が余計に不気味さを醸し出している。何をしてくるわけでもなく、じっとこちらを見ている。

「ん、ううん? アミ?」

 やばい、サチが目を覚ました。

「どうしたの? ……」

 サチとカースが目を合わした。

 するとサチは素早く手を動かしてカースに向かって手を構えた、その手には何も無い。手の形から銃を構えているつもりだったのかも。

 でも、間違って私に誤射しないようにカシューさんに没収されている。

「アミ! どうしよう! 殺される! カシューさん!」

 呼び声に合わせるように扉が開いた。

「ど、どうしたの? ……」

「なっ、カース! しかもアミの」

 カシューさんが真っ先に鞭を構えた、その後ろでマキシムが銃を構える。

「ちょっと待って! このカース、ちょっとおかしいの。だってアレ、私のカースだよ」

 いつもと違うカース、一瞬マキシムとカシューさんの方を見たがこっちに向き直った。そして、歩き始める。

 サチは私の腕を思いっきり掴み、カースが近づくたびにそれが強くなっている。私たちの前に来ると見下ろしたまま、こっちを見ているだけ。

 アレは間違いなく私のカースだ。

 私のカース?

 と言うことは、アレはまさか。

「サチ、落ちついて聞いて」

「な、なに」

 完全に怯えきっている。それでも、してもらわないと。もしかしたら、それで終わるのかもしれない。

「あのカースに顔をしっかりと見せてあげてくれない?」

「い、いや!」

「お願い、アレは私のカースなの。サチをずっと探していた私のカース。しっかりと私の体を掴んでても良いから、お願い」

「……少しだけ、少しだけだよ」

「うん」

 縮こませていた顔を出し、見下ろしているカースを見上げた。

「これで、いいの?」

 恐る恐る、ビクついた声でサチが聞いてくる。同時に頭痛が少し来た。どうやら握っている手はさらに強くなっているみたいだ。

 カースが屈んできた、目の前に、顔を少し動かしただけぶつかりそうな所にカースが来た。その視線はサチを見ている。一方、サチは目を丸くして、さらに強く握っている。凄く痛い。

 静かな空間、聞こえるのはそれぞれの吐息。サチは恐怖で過呼吸気味に荒い息を、私も緊張でうまく息が出来ない。

 数秒だったのか、数分だったのか、凄く長い時間を感じた。

 いつの間にか、カースが消えていた。本当にスッと、初めから居なかったように。

「消え、た?」

 見たまんまのことを口ずさみながら見回すけど、誰も居ない。

「アミ!」 

 私の呼ぶ声と同時に周りが動き始めた。いきなり両肩に手が置かれる。

「どこも何も無いか、3番はどうだ」

「大丈夫、怖くて怯えてるだけみたいよ」カシューさんはサチを撫でながら言う。

 ぐずる様な声を漏らしながら腕を握っていまま離れようとしない。

「そうか、アミは大丈夫なのか?」

「うん。ちょっと痛いけど」

「痛い? どこか痛むのか!」

「あ、いや。サチが強く握るからそれが痛くて」

「そ、そうか。それだけなんだな?」

「うん。大丈夫」

 徐々に冷静になっていくのが分かる。同時に達成感のようなものが頭の中を通って行く感じがした。

 サチを見る。相変わらず腕を掴んだまま離す気配はない。

「サチ、もう大丈夫だよ? そろそろ離しても良いよね?」

「んーっ!」

 嫌だと言わんばかりに声にならない声を出して、首を大きく横に振る。カシューさんを見ると申し訳なさそうな表情をしていて、苦笑いを浮かべている。

 まあいっか。これくらいの痛みなんて大したことないしね。今までの痛みと比べれば、何でもない。

 それよりも、あのカースは何だったんだろう。サチを探していたカースだろうけど、どうして私は2段階カースにならなかったんだろう。

 サチがここにいたから? どちらにしても、もうカースは出てこなくなったのかな。そうだったらいいんだけど、一体何なんだろう、カースって。まあ私の知ることじゃないか。

 知った所で関係無い。ここにサチがいるんだから。 3度目のサチと会うことになった当日。

 私は前と同じようにプレゼントを持ってきてここへ来た。サチを見ると手に包装紙に包まれた箱を持っている。私と同じ、多分プレゼント用の代物。

 アレは一体何だろう?

「サチ、久しぶり」

「うん、久しぶり!」

 嬉しそうな笑顔を浮かべているサチ。この顔の向こうでは通り魔として強いられていた顔があり、私に対して怯えていた顔もある。

 その私に対しての怯えは落ち付いてきたのか、今日は初めから調子が良さそう。

「これ! アミに」

「私もこれ」

 いきなり渡してくる物だから、私も釣られて渡した。

 なんか照れくさくて笑みが漏れてしまう。サチは「開けて良い?」と上目づかいで聞いてくる。

「良いよ、私も良い?」

「うん!」

 いっしょに包装紙を外していき、プレゼントを開けていく。そして、開ける同時に「えっ!」と、同じ言葉を漏らした。

 お互いの中身を見比べる。

 中身は日記帳。デザインは違うけれど、同じ物がそれぞれ入っていた。

「サチ、どうしてこれを?」

「え、えっと。アミのこと思いだしてたら日記のこと思いだして、カシューさんに交換日記をしてみたらって言われて」

 凄く不安げで泣きそうな声で言う。表情も今にも泣きだしそう。

 私はその言葉に思わず笑い声を出てしまう。

 それに合わせるようにサチの顔は不思議そうに目を大きくしていた。

「ご、ごめん。私もね、そうしようと思って買ったの。サチはよく日記付けてたから。じゃあ2冊でしよっか。私とサチのと2冊で」

「う、うん!」

 さっきの表情が嘘のように太陽を顔に浮かべた。

 予想外なことになったけど、おかげで緊張が解けた。今なら、全部うまくいきそう。

 私は立ち上がる。いきなり立ち上がったせいかサチはびっくりして少し縮こまった。そんなサチに近づいて背中から抱きついた。

「好きだよ、サチ。会いたかった」

「だ、だめ!」

 急に暴れはじめるけど、私は外さない。そのまま「どうして?」と、聞く。

「私は誰にも、幸せになっちゃいけないの! 止めて!」

「でも、サチは私に会いたかったんでしょ? それとも嫌いなの?」

「嫌いじゃない! 嫌いじゃないけど、ダメなの! ダメダメダメ、カシューさ――」

 いけない、このままだとまたやり直しになってしまう。もう、目のようにはしたくない。


「サチ!」

 

 自分でもびっくりするくらいに大きな声が出ていた。同時に時間が止まったようにすべてが静かになった。動かないサチの身体を見ると震えている。

「サチ、何があったの? サチの口から聞かせて。私は何もかもを受け止めるから、ね?」

 鼻をすするような音が聞こえる。サチからだ、一定の間隔で体を大きく震わせて、押し殺す様な声が漏れる。

 私はゆっくりと抱きついていた手を離した。

 そして、サチと顔を合わせる。

 その顔は泣き顔のように歪んでいて、すぐに顔を手で覆った。そして泣き声を漏らした。本当に騒がしい、耳が裂けて意識が飛びそうなほどの泣き声を。

 見回すとカシューさんとマキシムが入ってきていてじっとこっちを見ている。2人はどうしたらいいか分からないのか、私たちに視線を忙しく映している。

「マキシム、カシューさん。もう少し時間くれますか?」

 泣き声の中、ハッキリと聞こえなかったかもしれないけど2人とも頷き、部屋を出て行った。

 私は泣き続けるサチの頭を撫で、背中をさすってじっと待つ。サチも幽霊だから触られる感触はハッキリと分からないかもしれない。それでも、お母さんに頭をなでられた時のことを思い出しながら撫でていく。

 私も泣きだしたい気分。でも我慢しないと。サチが私を心配するかもしれない。私は彼女のすべてを受けて止めないといけない。私が頼りになれるようにならないといけないんだから。


 〇

 

「サチ、もう平気?」

「うん」

 何分経ったか分からない。でも、今が一番大切だからそんなのは関係ない。

 いつもの無垢な表情に戻ったサチは力強く返事した。

「アミ、言うね?」

「うん、お願い」

「3番は人殺しをしたの。何人も何人も、知らない人を殺して、そしてお金を奪って行って。3番はこんな人、だからダメなの」

「サチは殺したくて殺したの?」

「違う! 違うの、守りたくて、……アミを、みんなを」

「私を守る?」

 通り魔になってたことが私を守ること?

「あいつが、しなかったら私の知り合いを皆を殺すって。そいつ、アミのことを知ってたから最初に殺すって。だから私は殺したの。本当は殺したくなんて無くて、カースがカースがカースが――」

 壊れた蓄音器みたいに同じ言葉を続け始めた。そろそろ限界かもしれない。私は再び抱きついて、落ちつかせるように名前を呼び掛ける。

 

 声が止んだ。代わりに鼻息が聞こえる。静かな静かな、スーと言う音。糸が切れたように身体がこっちに倒れ込んできた。

「寝ちゃってる」

 さっきから泣いたりしてたし、しょうがないか。

 寝ている表情を見ると、つい頬が緩んでしまっているのが自分でも分かる。

 やっぱり、サチはここにいたんだ。


「え?」


 嫌な物が見えてつい声が出てしまった。

 見えたのは私の背中。その映像は暗く、もう何度も見たことのあるアレ。一体何しに来たって言うの?


 帰れ、帰れ、かえー―


 それは目の前に現れる位置を変えた。目が合ってしまった。


「あれ?」


 何も起きない、カースはじっとこっちを見ているだけで、いつもの感じが無い。

「何、何なの?」

 何もしゃべらない。ニヤついているように見える裂けた口が余計に不気味さを醸し出している。何をしてくるわけでもなく、じっとこちらを見ている。

「ん、ううん? アミ?」

 やばい、サチが目を覚ました。

「どうしたの? ……」

 サチとカースが目を合わした。

 するとサチは素早く手を動かしてカースに向かって手を構えた、その手には何も無い。手の形から銃を構えているつもりだったのかも。

 でも、間違って私に誤射しないようにカシューさんに没収されている。

「アミ! どうしよう! 殺される! カシューさん!」

 呼び声に合わせるように扉が開いた。

「ど、どうしたの? ……」

「なっ、カース! しかもアミの」

 カシューさんが真っ先に鞭を構えた、その後ろでマキシムが銃を構える。

「ちょっと待って! このカース、ちょっとおかしいの。だってアレ、私のカースだよ」

 いつもと違うカース、一瞬マキシムとカシューさんの方を見たがこっちに向き直った。そして、歩き始める。

 サチは私の腕を思いっきり掴み、カースが近づくたびにそれが強くなっている。私たちの前に来ると見下ろしたまま、こっちを見ているだけ。

 アレは間違いなく私のカースだ。

 私のカース?

 と言うことは、アレはまさか。

「サチ、落ちついて聞いて」

「な、なに」

 完全に怯えきっている。それでも、してもらわないと。もしかしたら、それで終わるのかもしれない。

「あのカースに顔をしっかりと見せてあげてくれない?」

「い、いや!」

「お願い、アレは私のカースなの。サチをずっと探していた私のカース。しっかりと私の体を掴んでても良いから、お願い」

「……少しだけ、少しだけだよ」

「うん」

 縮こませていた顔を出し、見下ろしているカースを見上げた。

「これで、いいの?」

 恐る恐る、ビクついた声でサチが聞いてくる。同時に頭痛が少し来た。どうやら握っている手はさらに強くなっているみたいだ。

 カースが屈んできた、目の前に、顔を少し動かしただけぶつかりそうな所にカースが来た。その視線はサチを見ている。一方、サチは目を丸くして、さらに強く握っている。凄く痛い。

 静かな空間、聞こえるのはそれぞれの吐息。サチは恐怖で過呼吸気味に荒い息を、私も緊張でうまく息が出来ない。

 数秒だったのか、数分だったのか、凄く長い時間を感じた。

 いつの間にか、カースが消えていた。本当にスッと、初めから居なかったように。

「消え、た?」

 見たまんまのことを口ずさみながら見回すけど、誰も居ない。

「アミ!」 

 私の呼ぶ声と同時に周りが動き始めた。いきなり両肩に手が置かれる。

「どこも何も無いか、3番はどうだ」

「大丈夫、怖くて怯えてるだけみたいよ」カシューさんはサチを撫でながら言う。

 ぐずる様な声を漏らしながら腕を握っていまま離れようとしない。

「そうか、アミは大丈夫なのか?」

「うん。ちょっと痛いけど」

「痛い? どこか痛むのか!」

「あ、いや。サチが強く握るからそれが痛くて」

「そ、そうか。それだけなんだな?」

「うん。大丈夫」

 徐々に冷静になっていくのが分かる。同時に達成感のようなものが頭の中を通って行く感じがした。

 サチを見る。相変わらず腕を掴んだまま離す気配はない。

「サチ、もう大丈夫だよ? そろそろ離しても良いよね?」

「んーっ!」

 嫌だと言わんばかりに声にならない声を出して、首を大きく横に振る。カシューさんを見ると申し訳なさそうな表情をしていて、苦笑いを浮かべている。

 まあいっか。これくらいの痛みなんて大したことないしね。今までの痛みと比べれば、何でもない。

 それよりも、あのカースは何だったんだろう。サチを探していたカースだろうけど、どうして私は2段階カースにならなかったんだろう。

 サチがここにいたから? どちらにしても、もうカースは出てこなくなったのかな。そうだったらいいんだけど、一体何なんだろう、カースって。まあ私の知ることじゃないか。

 知った所で関係無い。ここにサチがいるんだから。

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