それからの任務
2月の中旬、20万E貯まった
今回は討伐任務、最近はずっとシンドウさんと一緒に任務をしている。
シンドウサンの部屋に行ってから数日後、急に私の元へシンドウさんが来た。理由はあの日以降、毎日のように(誰)が来ているそうだ。
それで匿うついでに手伝うことになったと言うわけだ。
「それでは、今日もよろしくお願いします」
「はい」
「ああ、よろしく」
「それでは、アミさんはここへ」
シンドウさんと一緒にやってからは任務の効率が凄くよくなった。
やり方は任務の場所をあらかじめ調べて、私の所へ陽動。このくらいはマキシムと二人でやっていた時でも何度かやったことがある。でも、たまに意に背いた方向へ行くことがあったりしてそうなると一気に面倒になることもあったからあまり使うことはなかった。
でも、シンドウさんと一緒になってからは正確無比、全く狂いがなく任務が進む。
『そろそろそっちに行きますよ、私たちも追いかけていますので』
「はい」
電話を切るとまっすぐこっちに向かってくる影が見えてくる。
町の裏路地、後ろを抜けると人通りの多くなる大通りに出てしまう。そこに出たら作戦失敗、と言うことになっている。
「邪魔だ!」
足を止めて叫ぶ、そんな言葉に耳を貸さず私は剣を抜く。
男性は舌打ちすると体が変化した。黒い姿、赤い瞳、腕は片方だけで槍の矛先のように鋭くとがっている。
狭い裏路地、ギリギリ二人ほど通れそうな隙間に槍を正面に構えて突撃してくる。横には避けるのは無理、上は障害物もなく、飛んだ所で何かに邪魔されることはなさそう。
普通なら上に飛んで避けるんだけど、後ろに通すわけにはいかない。
かといって剣で受け止めるには危険、ただのカースなら大丈夫だろうけど、これは2段階カース。どのくらいの威力かは分からないのにそんなことをやるわけにはいかない。
よし、決めた。
私は軽く飛んだ。丁度、男の身長くらいを。
男は何事もないように突きぬけていく。その背中に向けて剣を振った。
あっ、早い。
男の動きが思った以上に早くて、剣は掠りもしなかった。私の体は宙に浮いたまま、逃げる男を追いかけるために傍の壁を蹴った。そして、男と同じように矛先を相手に向けて前に突きだしながら飛びこむ。
男は逃げ切れたと思ったのか、突撃を止めて黒い姿から人の姿に戻り変えている途中だった。その背中に向けて私の剣が突き刺さる。同時に鈍い叫び声が響いた。
私はめちゃくちゃな体勢でワケが分からない。顔を上げると男は身体から剣を引き抜いてゆっくりと歩いて居るのが見える。
背中、縦の切れ目が綺麗にはいっている。剣を握り直し、立ち上がろうとすると声が響いた。
「アミ、動かなくていぞ」
マキシムの声、同時に誰かが上を飛び越えた。飛び越えた人は剣を逃げる男性に斬りつける。悲鳴一つ上げずに、男性は倒れた。
「アミさん、無理はいけませんよ?」
剣を持ったシンドウさんがこちらに振り返り、手を差し出してくれたので手を掴み、立ち上がる。
「でも、この先に逃げられたらダメっていったでしょ?」
「確かに言いましたが、それでもいけません。ケガ一つでどうなるか分からないのですから」
「そうだぞ、シンドウの言う通りだ」
「分かったよ、もう」
いっつもこんな調子。保護者が二人になった感じ。少しくらいほめてくれてもいいと思うんだけど、はぁ。
シンドウさんが私たちと一緒に任務をすることにはもう一つ理由がある。
「アル―ルはいますか?」
「ううん、いないよ」
1週間に2,3回ほどのペースで待ち伏せしている時がある。
シンドウさんにアル―ルくんのことを聞いた次の日。任務から帰ってきたら居たらしく、その日は上手くやり過ごせたらしいけど、必死に頼み込まれて一緒にすることになった。
一緒に任務をしている時はこういう風に先に確認を取ってからシンドウさんは家に着くという日々を送っている。
「大変だな、あいつは」
「確かにね」
今回は7000E。これとは別にシンドウサンから2000円もらっている。Eは譲渡することができない、だからシンドウサンはEではなく円で払っている。
「しかし、円とは便利だな。これ1枚で色々な物が買うことができる」
嬉しそうに1000円札を透かしながら言う。このお金は私と1000円ずつ分けている。マキシムはいつもこのお金で近くのコンビニで食べ物ばかり買っている。どれもジャンクフードばっかりだけど。
私もこのお金で新しいシャーペンとかクッションを買ったりしたんだけどね。今は使うあてがないから貯まってばっかりだけど。
いつも通り100円で買った貯金箱に1000円を入れる。
「それじゃあ買い物に行ってくる」
「はいはい、行ってらっしゃい」
足早にマキシムはいつものコンビニへ行った。私もいつものように鍵を閉めて、チェーンを付ける。
何があるか分からないからしておけと、マキシムから言われているからいつも出て行った時はしている。
コンビニに行く時、毎回言われた。最近は言わなくなったけど、何があるか本当に分からないし、いつも通り私はやっている。
しばらく待っているとインターホン。開けるとマキシム、となりにヒロさんが居た。
「やあやあ、調子はどうだい、アミちゃん」
「なんでヒロさんが?」
「行く途中で会ってな」
マキシムは無表情、どことなくむすっとしているように見えた。




