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カース ~親友と天使と化物と~  作者: 世良
7話 さらに上へ
35/51

部屋の紹介

 隣の802号室、インターホンを押したけど反応はなかった。

「おーい、居るのは分かってんぞ。出てこい」

 ドアを叩きながら面倒臭そうに返事を待つヒロさん。10秒くらい叩いていると扉が少し開いた。

「はい、なんでしょう」

 口周りの無精ひげが目を引く、ぼさぼさの髪をした男性。頭をかきながら眠そうにあくびをしながらゆっくりと出てきた。

「ったく、言っただろ。今日は新しい人が入るって」

「ああ、そうだった」

 手を合わせて、思い出したかのように答えた。

「さて」そう言いながらこちらに視線が移した。

「私はシンドウと言います。えっと、夫婦ですか? お若いですねえ」

 同時にヒロさんの平手が頭に振り降ろされた。

「アホか! 何時までも寝ぼけてるんじゃねえ! 見りゃわかるだろ、彼女は幽霊、幽霊だ」

 叩かれた頭を擦りながら「冗談ですよ、では、昨日は遅かったので私は仮眠を取りますので」

「遅いってお前、ゲームしかして無いだろが!」

 ヒロさんの言葉を最後まで聞くことなく、扉は閉められてしまった。

「ま、まあこういう奴だ。次行くぞ次!」

 

 その隣、803号室。同じようにインターホンを押すと今回はすぐに開けられた。出てきたのは私と同じ服装をした男の子だった。

「おう、マロウか。パパを呼んできてくれ」

 頷くと閉められた。

「あの子、幽霊?」

 服装が私と同じローブを着ていた。見た所、私よりも慎重は小さくて、小学生くらいの子供に見えた。

「そうそう、マロウは吃音症だったか。上手く喋れないらしいから話ずらいかもしれないが、仲良くしてやってくれ」

 扉が少し開けられるとゆっくりとした口調で男性が出てきた。

「……何か?」

「お前もか! 言っただろうが! 今日は新しい人が来るから挨拶まわりに来ると!」

「……ああ、そうだった。マロウがちゃんと見ていましたよ」

 アルさんの言葉に、大きなため息が聞こえた。

「とりあえず自己紹介だ、自己紹介しろ!」

 ヒロさんの叫びに動じることなく、マイペースに自己紹介を始めだした。

「……アルアエです。アルで良いです。この子はマロウです」

 扉を完全に開け、アルさんの後ろに私と同じ幽霊が隠れている。返事をするわけでもなく、頷くと奥へと行ってしまった。

「……これでいいですか?」

「分かった分かった。良いか、何度も言うがお前が読まないと意味がないからな。マロウに任せっきりに――っておい!」

 ヒロさんはまた大きなため息を漏らしていた。

「さて、と。次へ行こうか」



「さてさて、今回は大ジョブ大ジョブ! ……さてと。マキシム、インターホンを頼む」

 いきなり私に向かって両手を合わしてきた。

「え、私?」

 激しく、無言で頷き続ける。

 インターホンを押すと、すぐに女性がしっかりとチェーンをつけたまま、半開きで顔を出している。

「あら、マキシム。じゃあ、あなたがアミさんね」と言いながらやたらキョロキョロとしている。


「ねえ、ヒロ居なかった?」

 一緒になって見回すとマキシムの後ろに隠れていた。

「まあ良いわ、私は――」

 ドアのチェーンを外し音と同時にヒロが前に出た。それに気付いた804号の女性は閉めようとしたが、足を挟めている。

「酷い、ひどいなあ。閉めることないでしょ?」

「あんた分かっててやってるだろ! いいから除けろ」

「自己紹介しないと、ねえ」

「私のことならマキシムが知っているから、後から顔を合わすことくらいあるし」

 そう言いながら入りこんでいる足を踏み続けている。そんな攻撃を意も解せず体を押し入れていく。

「そんなこと言わずにさあ、な?」

 身体半身入っていて、中へと入ると扉が閉められてしまった。

「えっと、どういうこと?」

「あいつらは、昔からあんな仲だ。気にすることはない。さて帰るか」

「ほっといて良いの?」

「今さらだ、死ぬことはないさ。言うだろう、嫌よ嫌よも好きのうちと」

「はぁ、そんなものなのかな」

 扉の向こうでは二人の口論とガタガタと言う音が響いている。隣の805号室に戻っても女性の怒声が響いていた。

「そういえば、あの人の名前って?」

「ああ、カデナだ。まあヒロと一緒で知り合いだ。あいつも話しやすいと思うぞ」

「そうなんだ。知り合いって、カシューさんの部下だった時なの?」

「いや、それ以前からだ。同期といったほうがいいか」

 同期ってことは、二人はマキシムのことが詳しいかもしれない。聞ける機会があったら、聞きたい。

「明日からはいつもどおりやっていくからな、気を引き締めろよ」

「了解」


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