久々の合同任務3
記憶がはっきりしない。ずっと真っ暗で、何も分からなかった。
起きた時には建物の傍で倒れていた。足元にはボロボロの男女二人、アンラさんは電話を掛けていたのが見える。マキシムの姿は無かった。
「お、起きたか」
上体を起こして周りを見回していると、電話を掛け終えたアンラさんが話しかけてきた。今までと違い、明るめの声で聞いてくる。
「えっと、なんでここに?」
「さあ、分からん。ただ出口側にあんたら3人が倒れていたからな。お前はケガが無さそうだし、二人を連れて来たんじゃないのか?」
「え、え?」
分からない、さっきまであの城の前に居たのに。何で外に出てるの?
「そう言えば、あいつはどうした。一緒にいた男は」
そうだ、マキシムが居ない。
「ねえ、この人たちはもう大丈夫なの!」
「あ、ああ。しばらくすれば天使ヒルズの黒服が来るだろうからその心配はないはずだが。一応応急処置はしたから死ぬことはないだろうな。しばらく動くことはできないだろうが」
携帯を見るとまだカースのアイコンは残ったまま。ここにマキシムが居ないってことは、まだ中に居るってこと。
「急がないと」
「おいっ、どこへ」
「中、マキシムを探すの!」
「中って、まだこいつらをやったカースが残っているんだぞ。お前だってやられるかもしれない、分かっているのか」
「私なんてどうでもいいの!」
中へ入ろうとすると腕を掴まれた。
「何、邪魔しないで」
壮年の男性は大きくため息をついた。
「その何だ、手伝ってやるから落ちつけ。無駄にケガ人増やされてもかなわん」
「どうして急に?」
今ままで邪険にしていたアンラさんと一緒に建物の中に入ることになった。
ちょっと前は、こんなことになるなんてありえないと思えるほどに話しすらできなかったのに。
「ちょっとした気変わりだ。それに今はいざこざする場合じゃない。しかし、どこにいるんだ」
「ここのどっかにある城みたいな建物なんだけど」
どうやってあの二人を抱えながら出たのかさっぱりで、そもそもあの城に着いたのもマキシムが先導して付いてって付いた所だし。
「その言い方だと分からないって感じだな。まあ、急に勝手な行動するな。何か見つけたら声を掛けるようにするんだぞ」
「うん」
ゆっくり奥へ奥へと進んでいく。聞こえるのは最初と同じ、足音だけ。男性を後ろを照らし、その先の道を照らす。その単純作業が凄く疲れさせて、徐々に気分が落ちているのが分かる。
どこにいるんだろう、そう思いながら歩き続けた。
携帯のライトは変わらず黄色い光を放っている。目をつむるとその光は消えて真っ暗。
そう言えば、普通こんなに暗いかな、目を閉じると。
「おい、何か通らなかったか?」
いきなり男性が聞いてきた。分からなくて「そう?」と聞き返すしか出来なかった。
「あそこを左に何か横切ったように見えたんだが。行ってみるか」
少し前も同じようなことがあったような、偶然?
それから数分、同じように城が現れた。
「ここか、変わった建物だな」
男性はその変わった建物をまじまじと見ながら立ち止った。
「マキシム!」
建物を照らしていくと、城の壁に寄り添って座っているマキシムの姿が見えた。
「アミか、大丈夫だったのか」
「そっちこそ大丈夫なの!」
「休んでいただけだ。それよりも、何も無かったのか?」
「何もって?」
私の問いにこちらを見ていた視線を落として、首を振りながら「いや、何も無いなら良いんだ」と、言いながら立ち上がった。
「この中に、まだカースは居るのか?」
「そりゃいるけど」
携帯の画面を見ると二つのアイコンは動いていない。まだこの中に居るのは携帯が壊れていない限りは確実に居る。
「よし、じゃあ行くか」
「ちょっと待て。お前ら、倒しに行くってのか! 他の二人はぼろぼろだぞ、危険すぎる」
意気込むマキシムの声、反抗するように怒声が響いた。マキシムはきょとんとした表情でとぼけた声を漏らした。
「誰だ? いや、なぜここに他の人がいるんだ?」
「マキシムを探すの手伝ってもらったの」
「そうか、ありがとう」
マキシムの言葉に答えるように怒声が飛ぶ。
「そうじゃねえ! 危ないって言ってるんだ。今回は上の連中に任せてここを出るぞ。今の俺たちじゃ危険すぎる、相手がどんなのかわからん、無謀だ」
「じゃあ、私たちが死なない様に手伝ってくれ」
「何でそうなる! 俺は帰るって言ってるんだ!」
「お金をなるべく早く集める必要があるからな。稼げるときに稼がないと、だよな?」
喋りながらこっちに視線が移った。戸惑いながら私は頷いた。
確かに、稼がないといけないけど。でも、何でだろう、らしくない気がする。
だって、昨日は私に「急ぎ過ぎだ」と説教してた気がするのに、今はマキシムが焦っているような。
マキシムの言葉に答えるように大きなため息が聞こえる。
「事情はよく分からんが、お前たちが死なない様にしっかりと見張っといてやる。いいか、死ぬなよ」
「私はもう死んでるけど」
「じゃあケガをするな、無茶をするな。分かったな? そしたら行かせてやる」
そう言いながら男性は携帯でこちらを照らしなら銃を構える。
私は頷いた。隣では「ああ、了解した」と言う声が聞こえた。




