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カース ~親友と天使と化物と~  作者: 世良
6話 環境の変化
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不満な日々

 新しい武器は使いやすかった。何より、鞘が必要ないと言うのは凄く丁度の良い。

 いつも背中から手前に持ってきて鞘から出していた物が、今は背中から一気に出すことができる。

 当然切れ味だって違うし、本当に使いやすくて今までと雲泥の差。背中に羽でも生えたのかもと思えるほど気軽に戦うことができるようになった。

 おかげで任務のペースも上がって、剣の代金を取り戻せたのは2週間ほどだった。11万3千Eとほぼ元通り。あとこの約五倍を稼げば借金のような物は終わるんだ。

 

 

「アミ、最近ペースが早いぞ」

 今日も軽く討伐任務を済ませて、移動用の車で天使ヒルズに戻っているといきなり聞いてくる。

「そう? いつも通りじゃないの?」

「いいや、剣を買い換えてからだ。何と言うか、躊躇いがない」

 躊躇いの意味は分かるけど、何が言いたいのか分からない。

「どういう意味?」

「とにかく、急ぎ過ぎだ。もう少しゆっくりと――」

「はいはい、分かった。わかりました、気をつけます」

 何イラついてるんだろ、私。

 

 いつものよう報告を終えて6階へ、エレベーターから出ると601号室に住むイルさんが立っていた。

「こんにちは」

 こちらの挨拶に気にも留めず、まるで初めから私とマキシムが居なかったように素通りしてエレベーターへ入って行った。

 思わずため息が漏れてしまう、これがこの階層での普通だ。

 

 603号室へ入る。内装には一切変化はない、変わったのは外の風景だけ。それと同じ階層の部屋の人達。

 こちらが挨拶しても無視、分かりやすいくらいに関わりを持とうとしてくれない。いきなり6階生になったのをねたんでいるのか、他に理由があってのことなのか、一切会話に応じてくれないからどっちなのかは分からない。ここの階層の人達は皆、さっき会ったイルさんと同じ反応。

 マキシムに話しても「しょうがないさ」と、まともに取り合ってくれないし、凄く居心地が悪い。

 当然、任務もずっとマキシムと二人でこなしている。協力任務が出来るのは階層差が1だけ、それ以上離れている人とは出来ないからショウやティルさんと一緒にすることはない。

 

 そう言えば先日ティルさんが4階層に上がったとか。

「追いついて見せますから、待っててくださいね!」と、捨て台詞を残して、最近は全く連絡を取ってない。

 ショウは特に変わった感じはなくて、3階生でずっとやっている。こっちに引っ越した日以外はあったことはない。

 ここにきて1ヶ月くらいしか経ってないのに。3階生だった時のことが昔のように感じる、それくらい今の空間は好きじゃない。

 

・任務名、カース討伐

・報酬、11000E


・残金、124000E


 液晶は表示を終えると暗くなる。

「明日は、休憩で良いな?」

「うん、分かった」

 部屋の奥へ行くとテレビをマキシムはテレビを付けた。私は傍で日記を付けていく。最近はずっと任務をこなしたと言うことばかり、特に変わった話題も無くて2,3行で終わっているのがほとんど。

 今日も同じような内容を書き記しておしまい。終わってからは私もテレビをゆっくりと見てみるけど面白く感じない。

 力なく倒れて横になり、ボーっと前を見ているだけ。凄く退屈な時間。

 そのまま私は瞼を閉じた。

  

  ○

  

 周りは一面黒、遠近感の分からない真っ黒な空間に立っている。

 1メートルほど先に誰かが現れた。マキシム、隣にサチが立っている。

 学生服の、一番最後に見た姿のサチ。マキシムは彼女に向けて銃を構えた。

「ちょっと! なに……あっ」

 サチは力なく倒れた。姿は暗闇に飲み込まれていく。

 マキシムが姿を替えた、カシューさんだった。

 そして、隣にまたサチが現れた。

 今度は手に持っている鞭でサチを叩いた。

「止めて! 何なの!」

 カシューさんは手を休めず、鞭で縛る。そしてもう一人、あの時のローブの人が現れてでかい銃で撃ち抜いた。

「許さない、絶対に許さない!」

 手には絶霊刀、それでカシューさんを切り裂いていた。そして、ローブの人へと向かう。

 何もしてこない同じ服装の人に思いっきり振り下ろす。何の手ごたえもなく、音もせず、支えの無くなった物のように倒れた。

 よくもサチを。こいつは、何者なの?

 頭までしっかりと被られているローブのフードを外した。そこには、サチの顔が。

 安らかに瞼を閉じていて、揺さぶっても反応はない。

「ちょっと! なんで、何でサチなの! さっきあんたがサチを殺したのに!」

 頭の中が真っ白。私は動かないサチに向けて怒声をぶつけるだけ。

 そんな最中に耳触りな音が響く、この音は携帯の電子音だ。

  

  ○

 

 視界が変わった。ここはベッドだ。上体を起こすとマキシムが振り向いた。

「起きたか」

「う、うん」

 外は暗くなっていて、電灯が部屋を照らしている。マキシムは珍しく携帯をいじっていて、そのまま話しかけてきた。

「どうやら、明日は休憩にならんみたいだな」

 枕元にあった携帯を見るとメールが一件入っている。確認すると、天使ヒルズからメールが一件。タイトルは『合同任務』だった。


  

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