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カース ~親友と天使と化物と~  作者: 世良
6話 環境の変化
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新しい場所

 引っ越しを終えて、一週間。今は603号室だ。窓からの景色が変わったくらいで、部屋の使い勝手などの変化は一切ない。変わったと言ったら他のこと、ほとんど嫌な方向に変わった。

 私は、この階層が大嫌いだ。

 

 年も変わって1月、年初めから凄く憂鬱だ。

 心の中で毒づきながらも6階生初めての討伐任務へと向かった。

 

 

 ここは工場。中は静かで、いくつもある窓から差す光で薄暗く中を照らしている。ここに居た人には出ていってもらっているそうだ。

 注意事項に中の物は壊さない様にと、少し難易度が高くなった感じはする。

『そっちはいたか?』

 携帯越しに男の声が響く。男は外で工場の周りを警戒中。もし見つけたら駆けつける、逃げたら仕留めると言う手はずだ。

「いや、いない。本当にいるの?」

『居るはずだ、分かっているだろう』

「まあ、そうだけど」

『じゃあ、また後で掛ける』

 携帯の画面をカースの居場所を表示するマップに切り替えるとカースを示すアイコンは場所は被っている。

 今回の任務は討伐任務。2段階カースはこの中に隠れているそうだ。でも、いつものようにいけるかは分からない。

 音が聞こえた。これは金属音、何かが落ちただけかもしれないが、鋭く高い音が響いた。

「マキシム、近くにいるかもしれない」

『わかった、今から向かう』

 プツッ、と切れる音に続いて別の乾いた音が近づいてきていた。

 まずい、すでに近くまで来ている。

 見えたのは右腕が巨大な剣になっている。

 それはもう振り降ろされていた。 

 向こうの大剣はかなり大きかったせいか、動きが遅く、無茶苦茶な体勢ながらも何とか避けることが出来た。

 でも、やばい。

 顔を上げると、すでに次の攻撃に入ろうとしている。避けるのは難しい、急いで剣を――

 再び振り下ろされる剣に向けて、急いで背中の剣を手元へ持ってくる。

「キャッ?! ちょっ!」

 鞘から出さないまま襲ってくる剣を防いでいる。思いっきり力を入れても全然押し返せない。

 それに、妙にみしみしと軋む音が聞こえる。

「マキシム! 早く来て!」

 銃声が響く、数発もの激しい轟音と共にカースが大きく動いた。カースの持っていた大剣が上へと跳ね、胴体にいくつもの風穴が開く。

「大丈夫か、アミ!」

 遅れて現れた声、足音と共に近づいてくる。

「た、助かったぁ」

 傍には動かない幽霊が倒れている。マキシムが手を差し出してくれたので掴んで立ち上がる。

「体調はどうだ? ケガはしてないか」

「大丈夫、あっ!」

 体は大丈夫、でも持っていた剣に異常が起きていた。刃の中央くらいに剣が曲がっている。鞘もヒビが入っていて、使い物にならないのは見て分かる。

「これって、どうなるの?」

「これは、買い直しだな。それに言っただろう、今の階生のカースにこれはキツイと」

「でも、壊れるなんて……それにお金だって使うわけにはいかないんだよ?」

「形ある物はいつかは壊れる。しょうがないさ、後で武器を買うぞ」


・任務名、カース討伐

・報酬、9500E


 そう言うわけで、武器を新しく購入することになった。

「うわっ、たかっ!」

 液晶画面にずらりと表示される大量の武器、安くても1万E、だけどそれを選ぼうとすると「それじゃあダメだ、最低でもこれくらいはないと」と、言って指差すのは5万Eもする武器だった。

「でもさ、これ買ったら残金半分くらいになっちゃうし」

 今の残金は11万2200E。毎回討伐任務が都合よく来れば大丈夫かもしれないけど、そんな都合よくいくものかな?

「ふむ。しかし、これくらいはないとまた壊されるかも知れん」

「本当に大丈夫なの?」

「それは保障する」

 5万5千E、名前は絶霊刀ぜつれいとう、何と言うか中二病臭い。

 説明書きには『どんなカースでも綺麗に切れる大きな剣。振ると刃が現われ、切れるようになる。誰でも気軽に使える逸品』

 正直、私にはどれが良いのか、悪いのか分からない。ここはマキシムの言葉を信じておこうかな。剣が壊れたのは話を聞かなかったせいもあるし。

 

 結局、この剣を買うこととなった。届くのは明日だそうだ。

 せっかく上の階に上がったのに良いことなんて一つもない。出来ることなら前の部屋でいつものようにやって行きたい。

 もっと上に行けば、変わるのかな。

 

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