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プロローグ2

 またこの夢だ。まるで古い映画のようにノイズの入った映像。見えるのは暗い道路と足元には白い線。

 私は何をしているんだろう。こんな所を歩いて、何を。

 突然、映画で聞いたことのあるような銃声が、凄い音で全身に痺れとひどい頭痛が走った。

 目の前に白線が目の前に飛び込んでくる。どうやらこけたらしい、立ち上がろうと手を使う。足で地面を踏もうとしたけど、何も感触が無かった。

 不思議に思いながらそちらに視線を向けると右足が無くなっていた。そこに痛みは無い、代わりに頭痛が針で刺すように痛む。

 地面を這いずりながら動いていると足音が近づいているのが分かった。近づくにつれて恐怖心が募って体動かせなくなった。

 唯一、動かすことができた首をゆっくりと動かして後ろを見た。

 あんたは、さっきの――

 

 

「キャーっ?! はぁ、はぁ。今の、なに?」

 今、撃たれた。地面を引きずりながら動いている私に向けて、頭に銃口を。それよりも、その相手が、何者?

 電気を付けて壁掛け時計を見ると午前3時、吐き出しそうなほど心音が激しく鼓動している。数分、深呼吸を続ける。落ちついてきたけど代わりに喉が渇いていることが分かってきた。

 音を立てないように静かに台所へ向かい、コップに水を汲む。

「……ぅ、ん。ふぅ、何だったんだろう、あの夢」

 喉が潤うと気分が少し落ちついた。

 なんで夢の中であの男に、明日も学校あるのに、早く寝ないと。

 欠伸を漏らしながら部屋に向かってベッドに潜り込んだ。横になるとさっきの映像が頭の中に流れた。おかげで心音が高鳴る。

 全然気持ちが落ちつかない。つまり、眠れない。

 その日は明かりを付けて布団に潜り込んだままで夜が明けてしまった。

 

 いつものように学校。気分はいつもよりも悪い。とりあえず、眠い。

 行くのが嫌で母さんに駄々をこねてみたけど「受験が近いんだから行きなさい!」と、怒鳴られたのでしょうがなく通学。学校に着いてからも凄く体がだるくて、持っている鞄がいつもより重く感じて辛い。

「おはよー、亜美」

「おはよ」

いつものように恵理が肩叩いて挨拶。昨日よりも酷く低い声で返事したと思う。

「なんか今日は昨日よりもひどいねー」

「うーん、色々あってね」

「ま、まぁ気分悪くなったら言ってね?」

 戸惑いながら恵美は言うと離れて行った。

 眠たい、けど寝たらまたあの映像が襲って来そうで眠れない。でも、体調は良くない。休むように机に顔を突っ伏せた。

 それからは前と同じように復習や受験対策ばかりの授業。自習もそこそこあったが特に何かするわけでもなくただ寝たふりをしただけ。 

 そんな調子で過ごしていると、下校時間、今日学校で何しに来たんだろう。

 前かごに鞄を乗せて漕ぎ出す、数分こぎ続けるとあのT字路まで来てしまった。

 さて、どうしようか。

 

 

 嫌な予感しかしないのに、昨日の夢のことが気になってしょうがない。

T字路を左へ曲がって奥へ、横断歩道が見えてきた。それと一緒に見たことのあるコート姿の男が立っている。

男を見ると同時に夢の映像が流れた。全身に悪寒が走り身震いする。

ブレーキを引き、反転する。向こうはこちらに気づいて走ってきてるのが一瞬見えた。目一杯ペダルに体重をかけ、無我夢中でこぎ出す。

立ちこぎで、今まで出したことのないような速度で道を駆け抜ける。ある程度走って所で後ろを見たが姿は無かった。

 肩で息をしながら確かめるように自問自答して行く。

 大丈夫? もう追ってきて居ない? 大丈夫! ――なんて安心している場合じゃなかった。

 気づいた時には遅かった。目の前に信号待ちをしている車が、ブレーキを握るが間に合わない。

 結局、抵抗むなしく激突した。

「い、いたたっ」

 ぶつかると体が一瞬前に飛ばされそうになり、鼻や口から何かが飛び出そうな感覚がした。幸いブレーキのおかげで少し失速していてこける程度で済んだ。

「おっおい大丈夫か?」

 優しそうな初老の男が車から出てきてこちらの心配をしている。自転車は前輪が走ることが出来ないことが分かるくらいに曲がっていた。向こうの車はタイヤの形に少しへこんでいる。

「あっ、はい。だ、大丈夫です」

「そうか、良かった。でもこれは……ひどいねぇ」

 自転車とぶつかった跡を交互に見ながら言う。

「す、すいません! 急いでて、それで」

「とりあえず電話番号を――」

 男がそう言いながら車の中へ入っていく。車のアイドリング音だけだったはずなのに、後ろからやけに響く靴音が、まさかと思って後ろを向くとコートの男が近くまで来ていた。

「キャーっ!」

 思わず声を上げる、そして、立ち上がり無我夢中で走り出す。

「ちょ、ちょっと、待ちなさい!」

「行くな! まだそっちは――」

 二人の男の止める声が聞こえる。

 止まれない、止まったら殺される。でも、叫び声は少し違った意味を含んでいたことに気がつかなかった。

 ぶつかった車の横を走り抜け、そのまま道路へ。同時に左の方から大きな音がする。

 この音って――

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