討伐任務2
今回の任務は討伐任務。報酬は7千Eだけど二人で分けるから3千5百Eになる。マキシムは年増女と一緒行ったので、私はショウとすることとなった。行く前にマキシムがショウの部屋に来て鍵を渡してくれた。こちらが先に終わっていたら入れないからという理由からだ。
とは言っても受付で預かるんだけどね。
出発してから気づいたけど日記を入れていたポーチを部屋に置いて来てしまった。今から戻るわけにも行かないし、あぁもう! 全部あの年増女のせいだ!
目的の場所に着いた。その場所はたまに車が通る程度の交差点。場所は違うけれど亡くなった日のことを思い出した身震いしてしまう。
信号機の傍でスーツの男が立っていた。
「本日はどうもありがとうございます。ですが現在行方をくらましています。こちらでも探しますがそちらでもお探し下さい。よろしくお願いたします」
ということでしばらく自由行動することになった。
「合同任務の時みたいにはいかないんだな」
以前の合同任務の時は廃病院で、すでにその中に隠れていた。でも今回は
「そうね、でもどうする? こんなのは初めてだよ、私」
今まではカースの居場所はある程度は向こうから伝えられていて、そこから追いかけると言った物だった。だけど今回は一切の情報は無し。あるのは相手の特徴だけ。その特徴も曖昧で身長176センチの男性ということしか分かっていない。回収任務の時は名前も記載されていたけど今回はそれだけだった。
「とりあえず適当に回ってみるか」
そうして町を散策することとなった。
町は活気盛んとは言えないが寂れていると言うほどではない、そこそこな賑わい。商店街らしき所に入ると人通りは増えて行った。周りの店は弁当屋や本屋、ゲームセンターなどが建ち並んでいる。
こういった所に入ってのんびりしているのは久しぶりな気がするな。いつも町はずれの公園とか路地裏だったし。
「いろんな店があるな、どこか入って見る?」
「え? あっどこでも良いよ」
「どこでも? どこでもか……、あそこなんてどう?」
そう言って指さしたのはアクセサリーショップだった。断る理由もないので私は頷いた。 ショウの後ろに付いて店に向かっていると横から何かがぶつかってきた。びっくりして少し声を上げてしまい、ショウは私の異変に気づいて振り返っている。
見回すと状況が分かった。男性が私にぶつかってきたのだ。だけどぶつかった男性は私には気づいていた。何かが当たったような感覚はあったのだろうか、小首をかしげながら通り過ぎて行った。だけどそれを引き止めるのように男の怒声が響いた。
「おい! ぶつかって何もなしか!」
ショウが男性に向けて鋭い声をかけながら肩を掴んで引き止める。男性は何のことか分からず戸惑っているのが見て分かる。
「ショウ! ダメ! 視えて無いだけだから!」
私の声に顔をこちらに向けた。数秒して気づいたようで男性を掴んでいた手を急いでは離した。
「す、すいません、勘違いでした!」
すぐにショウは頭を下げた。男性はワケも分からず「ま、まあ気を付けてくれよ」と、戸惑いながら答えるとそのまま去って行った。ショウは頭を上げるとすぐにこっちに来て、再び頭を下げる。
「ごめん、アミ」
「ちょ、ちょっとだから見えてないんだって」
周りを見ると目立っているのが分かりやすいくらいに視線が集中している。私の声に再び気づいたのか、戸惑ってキョロキョロし始める。
「もう、さっさと入る!」
呆然としているショウの手を引っ張り、アクセサリーショップへ駆け込んだ。
店内はさまざまな色の照明で明るく、クリスマスらしい音楽が流れている。店内の商品はぬいぐるみやミニチュアの家具と言った物が置かれている。時期が時期のせいかクリスマス関係が目玉商品として大きく書かれている。
久しぶりにこんな店に入った。真っ先に思った、楽しい。見ているどれもが新鮮で、何もかもが欲しい。
見回すと傍でじっと待っているショウの姿が見えた。
「ごめん、暇だよね?」
「全然、楽しそうでよかったよ」
そう言いながら周囲の商品を忙しそうに見始める。
明らかにそうとは思えない、少し浮かれていたかも。
「ねえ、こういうのって好き?」
棚にあった犬の小物を見せながら聞くと「そう言うのあまり持ってないな。でもかわいいな」
そう言いながら手にとって楽しそうに見ている。しばらく見ているとこちらに視線を映して聞いてくる。
「アミはこういうの好きなのか?」
「まあ、好きかな」
小学生の時はよく買ってた気がする。中学になってからは身につける物はよく買っていたけどこういうのはあまり買ってなかったな。
「そうか、じゃあ買おうか」
「えっ?! 良いの? お金とか」
「こっちの金も一応持ってるからな。料理とかこっちのがおいしいし。たまにバイトしてるんだ、換金できないからな」
マキシムは全然してないな。外で買い物しないのってそう言う理由もあったんだ。天使ヒルズでの生活が普通になり過ぎてて全然気づかなかった。
価格は500円。手のひらサイズの子犬の人形。そのまま私が持ったら浮遊しているように他の人には見えるため、天使ヒルズにまで持っててくれることになった。
買い物を終え、店を出ると同時に私とショウ携帯から二つの着信音が鳴り、お互い見合わせながら画面を見た。
『出現しました、交差点までお越しください』




