討伐任務1
「なんだこれは」
12月の中ごろ、回収任務を終えてからは掃討任務が増えていたのでしばらく安定してやっていったある日の任務の後。マキシムが液晶パネルを見ながら声を上げた。後ろから覗き見てみるといつものように液晶パネルに任務が書き並べられている。でもその中に見たことのない任務が書かれているのが見えた。
「討伐任務?」
「これは、カースの2段階を倒す任務だ」
カースの2段階、それはカースの元となった人がカースと出会うことでなる強いカース。普通のカースと違って襲ってくるし、強い。前に一度、合同任務として他の人と一緒に戦ったことはあった。
「それっておかしいの?」
「私たちのような下位の天使は二段階のカースの相手は早いから入っていないのだが、しかしなんで急に、ん?」
液晶の上の方に赤い文字が強調して書かれている。そこにはこう書かれていた。
『カースの回収任務にて異常が発生。カースを倒した者にもカースが出現すると言う例が発生したため回収任務は7階生以下は受けれないようになりました。代わりに討伐任務を追加いたします。同階層、階層差が1の者と協力が可能となりました。それではご尽力ください』
「これって、昨日のおばあさんのことじゃ」
「そうかも、知れんな」
「討伐任務って大変なの?」
「まあ死ぬ可能性があるってくらいだな。難しいのは入れられてないから大丈夫だろうが」
「でもどうするの?」
「そうだな、協力も出来るのか。とりあえずしばらくは誰かと一緒にするか、報酬もそれなりだからな」
見てみると報酬は7000E。いつもの数倍の報酬だ。
「でも協力なんて――」
会話を遮断するようにインターホンが鳴り、扉が開けられた。
「見ました? マキシム様。一緒に行きません?」
分かりやすいくらいに私を邪魔そうに見ながら、304号に住むティルもとい年増女が言う。
「そうだな、危険だからそうした方がいいな」
「ですよね? それじゃあ行きましょうマキシム様」
年増女が押し入って中に入ろうとしている所に
「オッス、っとティルさんが先約か」
片手を上げて軽い挨拶をして302号ショウが入ってきた。
「あらショウ、彼女と行ったらどう? 私はマキシム様と行くから」
年増女がショウに気付くと、私を見ながらそう言った。そのまま流れるようにマキシムの腕に抱きついていた。
「え? 良いのか、マキシム」
「えっとそれは、アミに聞いてくれ」
マキシムの方を見ると引っ付いている年増女が分かりやすいくらいに「行け」と、言わんばかりに嫌そうな顔をしている。
「分かった、行くわよ」
入口に立ち止まったままのショウの手を引き、傍に寄せる。
「な、なんか怒ってないか、アミ?」
「怒ってなんかない、行くよ、ショウ」
「良いのか、アミ」
ショウの住む302号の前に来ると聞いてくる。
「良いの!」
思わず叫んでしまって、お互い黙ってしまった。数秒の間があって、ショウが口を開いた。
「分かった、よろしくな」
そう言いながらショウの肩を掴んでいた私の手を外して握ってきた。私はそれを握り返した。




