回収された先は
「そう言えば、連れて行った人ってどこへ連れて行かれるの? 私みたいなのは研究対象になるっていうのは聞いた、今日捕まえたような人はどうなるのか聞いた事が無いんだけど?」
「ん? ああ、カウンセリングのようなことするんだ」
「カウンセリング?」
「そうだな、実際に見に行った方が分かるか」
この会話から次の日、私は研究室へ見学へ行くこととなった。
エレベーターからB1と書かれたボタンを押して地下へ。数十秒の機械音が聞こえ、チャイムと扉を開かれる。その先には扉と同じ幅の通路が続いていた。しばらく歩くとエレベーターと同じような扉があり、一緒に居たマキシムが傍の壁にあり、パネルに何かを入力をすると機械らしい音を立てながら扉は開かれる。
扉の先はさっきと違い広い部屋で、目の前に受付のようにカウンターがある。その向こうにスーツを着た人が居て、その人の後ろには二つ扉があるのが見える。カウンターの前まで来るとスーツの人が聞いてきた。
「お名前は?」
「303号のマキシムだ、予約は取っているはずだが?」
そう言いながら部屋のカギを手渡した。
受け取ると傍に会ったパソコンに何かを入力し始める。手の動きが止まるとカウンターの左端が下りて、カウンターの向こうへ行けるようになった。左の扉から同じようなスーツを着た人が出てきて、空いた左端からこちらに来た。
「では、どうぞこちらへ」
スーツの人の案内で左の扉の中を見ていく。中に入ると左右の壁がガラス張りの通路が広がった。ガラス越しに面接のようなことをしている人が何人も並んでいた。
「こちらが回収対象のカウンセリング室です」
机越しに白衣を着た人が質問をしてそれを手に持っている紙に書き込んでいる。聞かれている人には頭にヘルメットのようなものを付けている。そこからは線が出ていて傍にある大きなパソコンみたいな物に繋がっていて、その画面に連動しているように何かの数値が出ている。
よく見ると昨日私が捕まえた男もその中にいた。あの大きなパソコンが何を表わしているのか分からないけど、とりあえず本当に研究しているんだ。
「こんなことをしているんだ。これが終わったらどうなるの?」
「異常が無ければ解放、もしも異常が生じているのであれば奥の養生施設で回復するまで保護と言う形になります」
「その養生施設って見れるの?」
私の言葉にスーツの人は頷き通路の先にあった扉に来ると立ち止り、「はい、ではこちらへ」と、中へと道を開けてくれた。
公園が広がっていた。遊具や砂場と言った典型的な公園。その中で大人も子供も無邪気に遊んでいた。だがその中には入れなかった。公園へはガラスで隔てられ、私が居る所は砂場では無く、コンクリートの床だった。まるで観察がするためような、そんな場所だった。
パッと見は普通な感じがした、けどよく見ていると子供は子供らしく、大きな大人は子供みたいにはしゃいでいる。それが凄く違和感と言うか不気味と言ったら良いのか。とにかく気持ち悪く見えた。
マキシムを見るとその光景を見ることなく、休憩所のようになっている所のイスに座ってボーっとしていた。
「どうした? もう良いのか?」
「う、うん」
「それでは、案内できるのはここまでです、それでは戻りますがよろしいですか?」
マキシムと同じように休憩所に居た案内係が聞いてくる。
「あそこは、ダメなの?」
入口の傍にあった扉。今までの扉と違っていて、赤い円のマークが施されていて、今までとは少し違った印象を受ける。
「ここから先は関係者以外立ち入り禁止です。ですから案内することはできません」
「マキシムって関係者にならないの?」
「私はこことは無関係だからな。研究と天使は別だ。だから研究者にならないと無理だ」
「そうなんだ」
でも明らかに怪しい。あの奥では何があるんだろう。研究って言うくらいだし、さっきまでのよりも踏み込んだものだろうし。もしかして危険な研究とか、なんかそう考えると怖くなってきた。
「あ、あの。一つ聞いても良いですか?」
「はい、何でしょう」
「あの中では、何をしているとか、教えてくれますか」
「すいません、それも禁止されていますので」
やっぱり教えてくれない。ますます怪しい。だけどマキシムも知っていなさそうだし、今回は無理そう。とりあえず怪しいってことは覚えておこう。
「それでは、出口まで案内いたします」
私の質問に答え終えると何事もなかったように機械的に案内を開始し始めた。




