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プロローグ1

 サチが居なくなった、サチは私の親友で、幼稚園のころからずっと仲が良かった。あまりに仲が良いから「まるで姉妹みたいね」なんてことを両親に言われたことがあるほど。同じ小学校を通い、同じ中学校にも通った。小学校でも中学校でもこの友情は変わらない。

いつも一緒、一緒になれる機会がある時ならいつでも。

中学3年の5月。本日、3日サチはどこにもいなくなった。


 今でも信じられない。

 

 昨日まで「また明日ね!」って言ったのに、明日になっても会うことは無かった。居なくなったのは下校途中で別れてすぐだったと言う話だ。いつも別れる場所から自転車で3分もかからない横断歩道。普段は車の通りも少なく、事故なんてほとんど起きない、そんな場所で亡くなったらしい。

 詳しいことは教えてもらっていない。事故だったのか、それとも噂になっていた通り魔だったのか。私にはただ亡くなった、それだけしか教えてもらえなかった。

 そんなことより、何もできなかった自分が一番悔しい。もしもあの時、私が向こうに行っていれば助かったかもしれないのに! そんな気がしてならない。

 最後に別れた時、サチは体調が悪そうにしていた気がする。もしかしたらそれが原因で何かあったのかも知れない。

 だとしたら、私は、私は……

 

 

 9月、夏が過ぎて木の葉の色が変わり始めて秋を感じさせる。今年の夏休みは夏季講習で潰れ、終わると学校。この秋を越え、冬が来ると受験が始まる。

 憂鬱な気分のまま今日も学校へ。

「おはよー、亜美」

「おはよ」

友達の恵理が肩叩いて挨拶。出来る限りの声で返事した。

「元気ないねー、夏期講習のせい?」

「それもあるけど他にも色々」

「なんか大変そうだねー、あっ先生が来た」

 サチがこの学校から居なくなって4か月経つ。みんな受験勉強に忙しくて必死に勉強している。

 当然、私も例外じゃないけど。

 夏休みに入る前はクラスのみんなも気にしていたけど、今はその話題には誰も触れようとはしない。忙しいのか、それとも忘れてしまったのか。



 最近、体がいつもよりだるい。変な夢を見るようになってからだと思う。

 初めはハッキリとしなかったんだけど、成績のことで親と揉め始めてからそれが鮮明になってきた気がする。

 いつもサチと下校する時に別れるT字路。私は右でサチは左。その左右の別れ道を左に少し進んだ所にある横断歩道の上をうろうろするだけ。それ以上は何もない。一度誰かがここを通ってて出会った時、私の顔を見るなり逃げていったような記憶がある。

 今日、下校ついでに行ってみようかな。昨日まで夏期講習でそんな場合じゃなかったし。

 退屈な授業、もう教科書の内容は終わっていてどの授業も復習ばかり。午後4時、下校時間になったので適当に友達と別れの挨拶をして自転車を漕ぎ出した。

 

 コンクリートの壁とアスファルトの道路に囲まれたこの道路。目の前に左右に別れる道が現れてくる。いつもは右に曲がるけど今日は左に曲がる。そこから少し進むと横断歩道が見えた。

 人通りは無く、静か。聞こえるのは風の音くらいだ。横断歩道の傍に花束が置かれていた。一緒にお菓子やジュース置かれている。

 親にはここで亡くなったってことは言われた。サチの両親にもそう言われた。

 自転車を傍に止め、しゃがんでボーっとそれを見続ける。話によると事故としか教えてもらっていない。どのようなことがここで起こったのか、誰も教えてくれなかった。

 

「お前は、甲本幸の知り合いか?」

 

 後ろから男の声がした。全身がビクッとして鳥肌が立った。

 ゆっくりと呼吸をしながら後ろを向くと男性が立って居た。

 灰色のコートを着た長身の男性。話しかけられたけど、今までこんな男性には会ったこともないし話したこともない。何時から居たのか分からないけど、暗い服装のせいか、凄く不気味。

 でも、話した内容には凄く惹かれた。この男はサチの名前を知っている。甲本幸、サチのことを。

 もしかしたらこの事故のことを何かを知っている? 大きく深呼吸をして息を整えて答えた。

「はい、そうです。同じ中学の友達です」

「中学、なるほど。そう言えば16時頃に終わると聞いていたな。ふむ」

 口に手を当てながらこちらをじろじろと見てくる。明らかに何かを探っているのが見てとれた。

「何か?」

「いや、最近変な夢を見なかったか?」

「変な、ですか。どんな夢ですか?」

 夢、確かに見たけどすぐには答えたくなかった。明らかに怪しくて信じられなかったからだと思う。

「……いや、何でもない。変なことを聞いたな」

 そのまま男性はどこかへ行ってしまった。

 何だったんだろう、あの人は。

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