詩小説: 経営断捨離の行方
新年度のキックオフで、人事部が新制度を発表しました。
「全社員の業務を価値貢献度でA・B・Cに分類します。Cは廃止対象です」
営業の佐伯さんは、顧客との雑談がCに落ちました。
「雑談がなかったら契約なんて取れないのに」
経理の若林さんは、毎朝の「おはよう声かけ」がC。
「雰囲気づくりも業績につながるだと思うんだけどね」
総務の田島さんは、毎月続けていた「新人の愚痴聞き面談」がCに分類されました。
「これがないと、みんな三ヶ月で辞めちゃうんだけどなあ」
翌週の朝礼で、社長はマイクを握ると、誇らしげに宣言しました。
「諸君、これが『筋肉質な組織』への変革だ。無駄を削ぎ落とし、純粋な利益のみを追求するのだ!」
まばらな拍手の中、最前列に座っていたAI導入コンサルタントが、スッと手を挙げました。
「社長、最後に一点だけ。この新制度のアルゴリズムを経営陣にも適応した解析結果が出ました」
スクリーンに映し出されたのは、大きな赤い文字。
【判定:C(廃止対象:社長)】
『現場のモチベーションを著しく低下させ、離職率を50%上昇させるリスク因子。
本人の業務(訓示・ゴルフ・会食)は直接的な価値貢献が認められず、AIで代替可能です』
社員たちから、盛大な拍手が沸き上がりました。




