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死後の世界は、ブラック企業でした  作者: 未光


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1/4

時の始まりは…

ぶら下がった縄の先を丸にしてくくった。

大きく息を吸い、大きく息を吐いた。

――もう準備は万端だ――

俺は縄に首をかけた。足は宙に浮いた。

これで俺は…解放される――

しかしいつまで経っても解放されない。締め付けられたからと言って苦しくなることも無い。

そんな事を考えながら首でぶら下がっていると後ろからよいしょの掛け声で持ち上げられる。そして首は縄から離れた。

持ち上げてきた中心部の人の顔をぼーっと見つめる。見つめられた奴は少しため息をしてから喋った。


「そうどうしてって目で見つめられてもな。解放されねぇから。ほらほら仕事に戻って」


他の奴も続けて言う。


「そうだぞ。そんなことしても無駄なんだから」

「そんな悲しい事言わないでくださいよ。やって見なきゃわかんない事だってあるだろ」

「その結果は」

「…生きてたよ。」

「ほらな、」

「この場からの逃げ道は無いのかよ」

「どうなんだろうな」

「どうして俺はこんなことに」



――時は遡り


俺はブラック企業に働く社畜だった柏木直哉。しかしその日は突如として現れた。俺は息をたった。

死因は――過労死だ。

「それでよ。ようやく解放されたと思ったらこれだぞ」

次に目が覚めると目の前には神様と名乗る者が居た。最初は訳も分からず、

死んでなかったのか?とその者に尋ねる。

神と名乗る者は俺の言葉を否定した。

そこで俺は自分が死んだ事を改めて分かった。

神はそんな俺の心情が分かったのか。何かと質問攻めをされた。

またもや困惑していると、神が口を開いた。

「お主は世界を救うのに向いてないようじゃの。だが、我を現世のお主の働きに惹かれた。ぜひここで働き給え。」

先程のよく分からぬまま質問された回答らで判断をしたらしい。

断ることも出来ずに今ここである――



「はぁ~死んでもブラック企業とかどうなってんだよ俺の人生はよぉ~」

「死んでも働くとは思わなかったよな。」


俺の独り言に慰めを入れたのは社内の母と言われる。黒沢拓真。よく皆の事を見て世話を焼いてくれるいい奴だ。


「てか、お前現実見たく無さすぎで草。何社畜だったって過去形なんだよ。今もだろ」


この悲しみの分かち合いに釘を刺したのは社内一の気分屋。伏見郁哉。


「少しぐらい夢見たってええだろが。それにお前の草とはなんだ。若者気取りか?」「実際お前より若いからな」

「若い自覚があるなら年上に向かってお前と使うな。まぁ~それはそれとしてつらかった世であったことだろう心底お察しいたす。」

「あぁ、お互い様で」

「よし、ようやく話に戻れるな。それもさ神の採用に受かった。奴らはよ。俺らの事なんざ知らなんだぜよ。異世界に言ったりしてるんだぜ。羨ましいにもほどがある。」

「ようやくってどんだけ愚痴言いたかったんだよ」

「え、これまで受けた理不尽くらい」

「うわぁ、ちょっと空気重くすんなよ」

「魔法とか憧れるよな」


重くなった空気を払ったのが滝本和希。面白くていざとゆうとき頼りになる奴。ただのんびりでマイペース仙人とか言われいる。


「それな~」

「それな~。でもよ、それより魔法とかよりのんびりスローライフが起こりたい。」

「それな~。のんびりのほほんとして、もふもふに障りたい。」

「わかる~。神が現れたときはさぁ。もしかして異世界でもふもふライフを。とか思ったのに実際はこれとかなんだよここは地獄かよ」

「それな」


ここに居る皆はみな、神の採用面接で不採用になったものの神に気に入られここで働く羽目になった奴だ。

俺含め皆現世で、ブラック企業に働いてきた者たちである。そのためよく愚痴を言っては分かりあって仲良くなってきた最高の仲間たちである。

いつも通り和気あいあいと愚痴を言いながらも仕事をしている中ガラッと大きなドアを開ける音がした。

一斉にみながドアの方に向ける。”アイツ”じゃありませんようにと願いながら。

しかしそこに居たのは我らが思っていたアイツ。そう神だった。神は俺たちの会話を聞いてたようで怒鳴りながら話に入ってきた。


「おいおい、ここが地獄だって」

「か、神様」


俺らは動揺が隠せなかった。


「ここはれっきとした死後のお仕事だよ。」

「その死後が地獄だって言ってんだよ」


誰かがこっそりと小声で言った。


「おい、いまなんつった。そんなにお前らはもっと仕事を増やしてほしいのか?」

「ひぃい」


神は俺らを脅すように言った。反射的に身を後ろに下げては怯えた。


「お前らの言う、地獄には神が居ったと言うのか?神が居るのは天国じゃろ。ならばわしの居るここはお前らにとって天国なのじゃ。分かったな」


「ハイ」


またもや反射的に俺らは神に向かって敬礼をした。それを見るなり神は、うむと頷くようにしては仕事頑張れよと言い残して去っていった。


「はぁ~いなくなった。てかもう神じゃなくて上司だよなあれは」

「それな、パワハラ上司。」

「てかアイツ結局何しに来たんだ。」

「さてなんだろうな」

「神とかはさ。こう可愛い女とかじゃねぇのかよ。」

「しゃーねぇーよ。これが現実なんだから。」

背中をさする

「ドンマイ」

「ほらほらでもよ。あやつは可愛い女じゃなかったけどよ。天使たちは可愛いよな」

「それな、」

「あ、」

「どうした」

「そんな奴らとお話が出来て異世界に言ったやつらにちょっと…な」

「あぁ~(察し)」

「噂によるとそいつ好みの子が来てくれたりするんだろ。イケメンとかも居るらしいぜ」

「へぇ~(興味無し)」

「でも、俺らはさ。頑張れはいつでもお話出来るんだぜ。あいつらと違って」

「頑張ればな」

「それな、それが出来ねぇ」

「ほらほら、皆さん早く仕事に戻りましょ」

「「「えぇ~」」」


仕事の話を持ち出したのは榊原慎吾。

分からない事があったらこいつに聞け。と言われるくらいの知識の持ち主。社内の図書館の二つ名を持つほど。

そんな榊原の仕事の話に皆は乗り気ではなかった。


「そうじゃな、早く終わらしてみんなで休むのが勝ちじゃからな」


そんな中、榊原の後押しをしたのが社内の最長年齢である。朝倉彰人。最年長という事もあってか。レジェンドと言われ、修羅場でも動じない頼れる存在として皆をまとめてくれる。鋼の心を持つ。伝説のプレシャー無敵マンなのである。


「そうだよね。ほらお菓子あげるから頑張ろ」


こうやっていつも皆を元気づけてくれる俺らの「社内の天使」北条温人。いつもおやつを常備していて社内のスナック係ともいわれている。


「あぁ?お菓子?俺にはチョコをめぐってくれ」


ゾンビみたいにチョコをねだるこいつは北条に餌付けされたカフェイン中毒の真田渉。

二つ名は歩くコーヒー豆。北条に一番懐いてると言っても過言ではない。


「いつまで遊んでいる。榊原らが言ってるように早く仕事をしろ。」


仕事をしろと怒鳴ってきたのは完璧主義の塩谷隆文。

塩谷は完璧主義なだけあって、チェックリストの鬼と言われている。

しかし塩谷はよく自分を責めがちな事を知っている。だから皆塩谷のことを鬼と言っても避けたりとかせず、素直に従うのである。

ちなみに神の次に上司ぽいのが塩谷なのである。そんな塩谷が続けて言う。


「ほらあいつ見習え」


塩谷の目の先には俺らがずっと喋ってる間も机に向かって仕事をしていた。

稲葉廉だ。稲葉廉は一番苦手意識がある奴だ。感情ゼロ社内ロボと言うわれるまであってずっと無言で仕事をしている。

そしてそれらほぼすべてが完璧にこなすまさにロボ。

俺らは机に戻り仕事の続きをした。

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