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プレイヤーキルは現実より軽い6
「さて、ヨル。悪いけど、ここからは連れて行けないんだ」
そう言うと、ヨルは急に不機嫌になり、伏せて上目遣いで見つめる。
「そんな顔しないでよーヨルー」
膝を折り目線を合わせる。
「わかりやすい性格してんなーオメェ」
ヨルの頭に手を置く。
所詮、AI。
たかが、AI。
でも、ヨルにとってはここが現実であり、世界であり、このデータで出来た体が全てなんだ。
だから、一度たりとも失いたくない。
私は、好きな物は何一つとして失いたくない。
例え───────誰かを殺してでも。
ここで止めたのは、理由がある。
街が見えたという事は、人と出くわす可能性が高い。
なるべく単独行動できる方がいい。
黒狐を出したままにしておくのも悪くはないとは思うが、黒狐には、HPと攻撃力の数値がない。
一定のダメージで消滅といっても、どのくらいかわからない。
だから、守りに意識が向きすぎてしまう。
「もう、そんな目をしてもダーメ。戻れ─────式神」
すると、ウィンドが開き、『現在、式神は戻せません』と表示される。
「あーもう! わがままだなぁ! わかったよ! 私が折れればいいんでしょ!」
そう言うと、ヨルがパァと明るい笑みを見せる。
「ほんと、わかりやすい」




