日向あきら8歳。いじめや悪口が始まって・・・
日向あきらの影 ~小学三年生の頃~
オレは日向あきら、もう8歳だ。小学校三年生になったぜ。
給食費は相変わらず払えてない。毎月先生に呼ばれて、職員室で
「日向さん、次こそはちゃんと持ってきてね」って言われる。
オレはいつも
「すみません……忘れちゃいました」
って頭を下げるだけ。
もう慣れたけど、先生の目がだんだん悲しそうになってきて、それが一番嫌だった。
でも、給食の時間になると、オレはおかわりをやめられない。
腹が減ってるんだもん。
家に帰ってもママはご飯作らないし、万引きするのも怖くなってきて量が減ってる。給食は唯一、ちゃんと温かくてお腹いっぱい食べられる時間だ。
おかわりトレーに行って、「おかわりください!」って何杯も言う。
最初は先生も「お腹すいてるのね」って笑ってくれたけど、三年生になるとクラスみんなが気づき始めた。
ある日、給食の後でクラスのボスみたいな男の子、佐藤ってヤツがオレに近づいてきた。
「おい、日向。お前、給食費払ってないくせに、いつもおかわりばっかしてズルいぞ」
周りの子たちがクスクス笑った。オレはムッとして言い返した。
「ズルくねぇよ。腹減ってるだけだ」
「払ってないヤツが一番食うなんておかしいだろ。先生に言われたばっかなのに、厚かましいな」
それから、だんだんみんながオレを避けるようになった。席の周りに誰も座らなくなった。休み時間に誘われなくなった。
最初は言葉だけだった。
「万引き女」って囁かれた。どうやら、オレがスーパーで変な動きしてたのを誰かが見てたらしい。ママと一緒にいた時だ。
「給食泥棒」
「お前の分まで食ってるんだろ? 払えよ、貧乏人」
オレは強がって笑ってたけど、心の中はぐちゃぐちゃだった。
ある日、給食の時間にまたおかわりに行ったら、クラスの女子たちがトレーの前でわざと立ちふさがった。
「おかわり禁止~。払ってない人はダメ~」
先生がいない隙を見て、オレを囲んで笑ってる。オレはトレー持ったまま固まった。
「どけよ……」
「やだよ~。お前のせいで給食減っちゃうんだもん」
結局、その日はおかわりできなくて、午後ずっと腹が鳴ってた。
いじめはエスカレートした。机の中にゴミ入れられたり、上履き隠されたり。オレが男っぽい性格だからって、男子も女子も一緒にからかってくる。
「女のくせに男子みたいなの気持ち悪い」
「パパは人殺しだって聞いたぞ」
それが一番効いた。パパのこと、みんな知ってたんだ。
ニュースで昔流れたのを誰かの親が話して、広まったらしい。
オレはトイレで一人で泣いた。でも、すぐに顔洗って、笑顔作った。
泣いてるのバレたら負けだ。
家に帰っても、ママは気づかない。
気づいても「うるさいわね、自分でなんとかしなさい」って言うだけ。
オレは思う。もう誰も信じない。友達なんかいらない。オレ一人でいい。
給食の時間、オレはこれからもおかわりする。腹減ってるんだから仕方ねぇ。
みんなに何て言われても、絶対やめない。
いつか、オレはこの学校から抜け出して、誰も知らない場所で生きてやる。
オレは日向あきら。8歳だけど、もう誰にも負けないぜ。絶対に。




