日向あきらの影・・・あきらちゃん5歳、両親がケンカして・・・
オレの名前は日向あきら。
5歳になったばっかだ。
みんな「あきらちゃん」って呼ぶけど、オレはそんな女の子っぽい呼び方、気に入らねぇよ。
男っぽく生きてんだから、一人称はオレで決まりだ。
公園で遊ぶ時も、泥んこになって木に登ったり、男の子たちと喧嘩したりするのが好きだ。
ママはいつも「女の子なんだからもっとおしとやかにしなさい」って言うけど、オレは聞かねぇ。
パパも笑って「まあいいよ、元気でいいさ」って許してくれるんだ。
今年、オレが5歳になった年。なんか家の中の空気がおかしくなった。
パパとママがいつも喧嘩してる。
パパは19歳で、ママも同じ。
オレが生まれた時、二人はまだ14歳だったって聞いたことある。
早い結婚だったらしいけど、オレにはよくわかんねぇよ。
ただ、パパはいつもオレを抱き上げて「オレの宝物だ」って言ってくれる。ママは優しくて、でも時々遠い目をしてる。
ある日、パパが仕事から帰ってきて、突然大声でママを怒鳴りつけた。
オレは部屋の隅で縮こまって聞いてたよ。
パパ「おい、説明しろよ! あきらがオレの子じゃねぇって、どういうことだ!」
ママの顔が真っ青になった。
ママ「何言ってるの? そんなことないわよ……」
パパはスマホをテーブルに叩きつけた。
なんか、SNSで変な噂が流れてたらしい。
ママの昔の写真に、オレに似てる男の人が写ってて、誰かが「これ、あきらの本当の父親じゃね?」みたいなコメントを付けてたんだ。
パパの友達がそれを見せて、パパに伝えたらしい。
パパ「元カレだろ? あの野郎! オレと付き合う前に、アイツと寝てたんだな! あきらの目、鼻、あの髪の色……全部アイツに似てるじゃねぇか!」
ママは泣きながら首を振った。
ママ「違うの……あきらはあなたの子よ。信じて……」
でも、パパは信じなかった。
オレは怖くて、ベッドの下に隠れた。
パパは家を飛び出して、ママの元カレの家を探しに行ったんだ。
ママの昔の連絡先から、住所を調べてさ。
その夜、パパは血まみれで帰ってきた。
手に包丁を持って、震えてた。
パパ「やった……あのクソ野郎、刺し殺した。オレの家族を壊しやがって……」
ママは悲鳴を上げて、オレを抱きしめた。
ママ「何やってるの! 警察呼ぶわよ!」
パパは座り込んで、ぼそっと言った。
パパ「呼べよ。もうどうでもいい。オレの子じゃねぇなら、何も残らねぇ……」
警察がすぐに来た。
パパは抵抗せずに捕まった。
ニュースで流れたよ。「19歳の若者が、元恋人の男を刺殺。動機は浮気疑惑と子どもの親権問題」。パパは殺人罪で裁判にかけられて、長い懲役になるらしい。
オレは今、ママと二人で暮らしてる。
ママは毎日泣いてるけど、オレは強がってるよ。
あきら「オレ、パパの子だろ? だって、オレも男っぽい性格だぜ」って言ったら、ママは苦笑いした。
ママ「あきら……本当はね……」
ママは最後まで教えてくれなかった。
でも、オレは知ってる。
血がつながってなくても、パパはオレのパパだ。
オレはこれから、もっと強くなるよ。
誰もオレの家族を壊せねぇように。
オレは日向あきらだぜ




